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日本の子どもはどこにいる?

 少子化は日本全体の課題ですが、中山間地域に住んでいると、同じような地理的条件であっても局所的に子どもが多そうな印象を受ける地域もあり、一様ではないことに気付きます。こうした局所的な状況は、市町村ごとの統計を見てもよくわかりません。
 そこで今回は、公開情報だけを使用し、市町村からさらに解像度を上げて、小地域別に見た数値を地図に表示し、せっかくなので日本全体を可視化してみました。  
 使用したデータは、2020年国勢調査の小地域集計(男女,年齢(5歳階級)別人口,平均年齢及び総年齢-町丁・字等)です。
 このデータから今回は、小地域(町丁・字等)別の10歳以下の人口の割合を表示してみました。

地域内に10歳以下の子どもが6~7%住んでいる地域が最多

 2020年の日本全体では、総務省のデータ上で232,020の小地域(町丁・字等)があります。この小地域に10歳以下の人口の割合を表示したのが以下に掲載する地図なのですが、約86%の200,495が着色されています。残りの空白の小地域は、そもそも誰も住んでいないか、10歳以下の子どもが住んでいないか、個人が特定されてしまうくらい子供が少数かなどの理由により、空白としています。

 データが表示可能な200,495の小地域(町丁・字等)を、10歳以下の人口の割合別にグラフにしたところ、6~7%が最頻値で、最大は49~50%となりました。小地域内に10歳以下の子どもが6~7%住んでいる地域が最多ということです。また、49~50%というと、小地域内の住民の半分が10歳以下ということになるのですが、これは特殊ケースです。
 ちなみに、2023年の日本人の平均寿命は、女性が87.14歳、男性が81.09歳です。単純化するために平均寿命を80歳として、現在の10歳以下の人口が全員平均寿命を全うし、かつ人の出入りもないと仮定すると、現在の人口規模を維持するためには、おおよそ、10歳以下の人口割合12~13%が目安になると思います。

小地域(町丁・字等)別10歳以下人口の割合(全国)

 小地域(町丁・字等)別10歳以下の人口割合を表示した地図を、白地図と衛星写真の2種類の背景で掲載しておきます。一応、まずは全国から掲載しておきますが、見にくいですね。

全国
全国(背景は国土地理院の 世界衛星モザイク画像)

小地域(町丁・字等)別10歳以下人口の割合(地方別)

 今度は拡大して、地方別に掲載しておきます。

北海道
北海道(背景は国土地理院の 世界衛星モザイク画像)


東北+新潟
東北+新潟(背景は国土地理院の 世界衛星モザイク画像)
関東甲信+静岡
関東甲信+静岡(背景は国土地理院の 世界衛星モザイク画像)
東海+北陸
東海+北陸(背景は国土地理院の 世界衛星モザイク画像)
近畿
近畿(背景は国土地理院の 世界衛星モザイク画像)
中国四国
中国四国(背景は国土地理院の 世界衛星モザイク画像)
九州
九州(背景は国土地理院の 世界衛星モザイク画像)
沖縄
沖縄(背景は国土地理院の 世界衛星モザイク画像)

中山間地域で子どもの割合が高い場所

 地図を眺めていると、全体的な傾向として中山間地域は、当たり前と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが10歳以下人口割合が低い場所が多いことがわかります。一方で、中山間地域も一様ではなく、中には10歳以下人口の割合が高い場所があることに気付きます。そこで、10歳以下人口の割合が10%以上の場所だけを表示してみました。

1ポリゴンの面積が大きいのもあるけど、道東は子どもが多い地点が多そうに見える

 中山間地域で10歳以下人口の割合が高い場所をいくつか調べてみました。割合が高い理由として、若者定住住宅やクラインガルテンなどの子育て世代が住みたいと思える住居がある場所、集落独自で地域づくりに力を入れていて子育て世代が移住している場所などの理由が推測できる場所から、衛星写真で見ているだけではよく分からない場所まで、いろいろありました。
 より深く理解するためには、足で稼ぐ必要がありそう。

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