幕末諸々備忘録 その五 『端軸要塞砲』
「幕末諸々備忘録」として、旧住所ブログからいくつかエントリをサルベージしておきたくなり、その五。
(2015/12/1)
「なんか気になるな?」―――というものごとに対して、絶対に必要な知識であれば、七転八倒して調査せねばならないわけである。
が、そこまではいかなくて、なんとなくおおまかにはわかってはいるので、とりあえず今は棚上げでいいのでは?というものごとの知識については、まったくもって隔靴掻痒なわけであり、ようするに「なんか気になる」。
最近の自分のそれは、「前装砲」の具体的な操作法で、おおまかには立太先生のイラストなどで把握はしているものの、やはりそのディテールは不明だったわけである。
で、こうしたニッチといえる悩み相談は、ようつべ先生にお伺いをたてると、相当な確率でたちまち正解を突きつけられてしまうので、未来というか、ようつべ先生はすごい。
The Noon Gun - YouTube
↑ は「午砲」の発射の様子で、かなり儀礼的な所作とはいえ、実際の戦闘でも同じような段取りで要塞砲はローディングされていたはずで、ことに梃子棒(ハンドスパイク)の使い方に「こんな風に照準を調整するの!」と感心し、そんな操作手順の知識が脳に入り、賢くなってしまったのだった。
帆船時代、欧米の巨大な戦列艦のガンデッキにずらりと並ぶ前装砲も操作は基本的に同じだろうから、なるほどなるほどと。
Battle Stations_ HMS Victory (War History Documentary) - YouTube
↑ の18:50あたりから、艦砲の操作手順が。
トラファルガー海戦のドキュメントと思われる。
‥‥‥‥‥‥
(2016/3/31)
↑ のエントリの続きで‥‥‥↓は現在の壇ノ浦の様子‥‥‥
並んでいる大砲(の砲架)は、あまり正確ではないレプリカで、端軸要塞砲という括りの前装滑腔砲(カノン)である。
この砲のデザインを最初見たとき、自分はてっきり、砲架の横についてる「車輪」は、砲座からはずして移動させるためのものだと早合点したものなのである。
その早合点の元凶イメージがこちら ↓
I号自走重歩兵砲(シュトルムパンツァーI バイソン)!!!
砲架の構造は、↓ のようつべ先生で確認いただきたい。
Barbette-Mounted 24-pounder Gun Nomenclature - YouTube
↑ の動画でもわかる通り、南北戦争や、ベアトが撮影した馬関戦争の写真などをよくよく見れば、「車輪」が、牽引させるための装置では全然ないことに気づく。
『ドキュメント幕末維新戦争』(藤井尚夫・河出書房新社)には、こう説明されている。
複座用移動ハンドル。砲架上部は、発砲時に砲架下部の上を後方に移動するので、発砲後に砲架上部を前方に移動させる。
砲架上部の「車輪」のようなリングは、砲架上部を下部の上で移動させる「ハンドル」であり、リングの中央部分のみが車輪である。
「車輪」ではなく「ハンドル」であると!
が、その「ハンドル」をどのように使うのかがわからない。
素手ではいかんともしがたい重量だから、おそらく梃子棒(ハンドスパイク)を用いてどうにかするのだろうということは想像できる。
では、どんなふうに梃子棒を使うんだべか?というモヤモヤに支配されていた時期が、自分にはあったのだった‥‥‥
そんなこんなで、以下の画像をご覧いただきたい。
謎が解けかけた!
なるほど、あそこのあれに梃子棒をあれするんや!
↑ の画像の撮影場所は、合衆国ノースカロナイナ州のメイコン砦州立公園というところで、ぐるぐる先生にお願いしてみると、またしてもようつべ先生がやらかしておられた!
Fort Macon 32 Pounder Battery Fire Aug. 28, 2013 - YouTube
↑ 冒頭、0:15あたりからと、11:05あたりからをご覧いただきたい‥‥‥
Fort Macon's Wayne County Connection - YouTube
↑ 0:48あたり‥‥‥
すっきりしないだろうか???
‥‥‥
※参考動画 ↓
Cannon Firing at Fort Henry - YouTube
Live Fire With a Civil War Cannon - YouTube
船の大砲の撃ち方 - ニコニコ動画GINZA