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Fury ~ M4A3E8 シャーマン イージーエイト

前住所ブログのアクセス解析を見ていて、わりと頻繁にPVされてるエントリがあり(画像検索とかでかしら?)、そのいくつかをこっちにサルべージしてみようとさっき思ったのだった。

で、そのひとつが「戦車馬鹿映画」であるところの『フューリー』〔2014〕についてのエントリで×2――― ↓

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ティーガー戦車が動く&戦う!映画『フューリー』メイキング映像 - YouTube

「アーマーモデリング」(2014年4月号)をИС-7の作例目当てに覗くと、『フューリー』〔2014・監督デヴィッド・エアー〕には本物のティーガーIが登場するとの情報が!

ブラッド・ピット主演のそういう戦車映画が封切り間近らしいのは知っておったが、なんと、ボービントン(英)の実動する唯一のティーガーIにご足労願ったとは‥‥‥

しかしここで、意識の高い!戦車馬鹿としては、ボービントンのティーガーIが北アフリカで鹵獲された初期型であり、映画の舞台の欧州戦線最末期(1945年4月)には相応しくないということを指摘しておきたい!

ゴン!
ガン!
石つぶてが飛んできた!

ようするに映画のプロット的に、ラスボスとしての存在感が重要なのであろうから、それならば、ティーガーII、つまりケーニヒス・ティーガーのほうがよりぴったんこだったのではなかろうか。

ソミュール(仏)には実動する王虎があるじゃあないかと!

King Tiger Saumur 2014 - YouTube

参考 → ★★TAMIYA INC. 株式会社タミヤ/ソミュール戦車博物館 取材レポート

制作サイドがソミュールに打診を試みたのかどうかはさておき、一般的にティーガーの記号としては、たしかにIIよりIのほうがそのフォルムが周知されておるような気はする。

『戦略大作戦』からの~
『プライベート・ライアン』からの~

そういう意味でのティーガーIだったのかしら。
(2014/11/17)

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Fury |2014| All Tank Battles [Edited] - YouTube

唐突に―――ハリウッド映画で、21世紀のポリティカル・コレクトネスの敷衍、一般化と、映画の題材としてのナチズムの絶対悪度の高まりは比例していると思っていて、もちろんナチズムは絶対悪に決まっており、映画の中で武装SSが虫けらのように殺戮されるシチュエーションなど、まあそりゃそうだろうなのだが、それとは別にナチの絶対悪度は映画のプロットにおける都合にすぎないともいえ、もやもやするのである。

タランティーノの『イングロリアス・バスターズ』〔2009〕くらい戯画化されていればわはははと笑ってすませられるものの、ブラピつながりで『フューリー』〔2014〕となると、かなり疑問符がつく。

なぜなら『フューリー』は戦車馬鹿勢が渋々(!)満足する高水準の戦車映画だが、実はこの作品の本質は「西部劇」であり、『駅馬車』〔1939〕や『赤い河』〔1948〕や『ワイルド・アパッチ』〔1972〕のリメイクといってもよいような異文化との衝突にある。

すなわち『フューリー』の武装SSはインディアンの偽装にすぎず、『フューリー』の最大の欠点はラストに騎兵隊が突撃ラッパを鳴らして救援にやってこないことに尽き(?)、その点さすがにスピルバーグは『プライベート・ライアン』〔1998〕でP-51にティーガーを爆撃させてみせた。
(といいつつ、武装SSの少年兵が見逃してくれるシーンは嫌いになれない)

Saving Private Ryan (7_7) Movie CLIP - Capt. Miller's Last Stand (1998) HD - YouTube

とにかく『フューリー』は作品全体がフラーの『最前線物語』〔1980〕のオマージュにみえるのに(オープニングなどそのまんま)、『最前線物語』に横溢するアナーキーで硬質なユーモアは全然ない。

The Big Red One -- Opening Sequence - YouTube

ようするに真面目すぎるわけで、戦争やナチを語るのにユーモアなど必要ではないといわれればその通りなのだが、映画は所詮映画なのであって、そのクソ真面目な姿勢に21世紀の澱が何処かに凝縮されつつある気がして憂鬱なのだった。

画像1

画像2

で、『フューリー』といえば、本物のティーガーI初期型以上にM4A3E8シャーマンであり、イージーエイトといえば近年発掘された朝鮮戦争における↑のカラー写真はすこぶる興味深いものであった。

(映画で使用されてるのは、米陸軍は使用しなかったディーゼルエンジンのM4A2E8らしいが)

(2018/4/23)

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