あの屁よりもでけぇだろ
舌打ちじゃねぇな、不細工なキスみたいな音を出してきやがった黒い男は、
「これでどうや兄ちゃん!」
流石に受けるやろが、fox暗殺計画ぅ……と蚊の鳴くような声を追加しながら、大量の札束をテーブルにひっくり返した。foxはテロリスト集団のキャプテンやってるガキらしい。
返事の代わりに特大の屁をかましてやると、
「それは引き受けたっちゅーことかいな!」
と急に威勢が良くなる。鼓膜が破けるわ殺すぞ!の意を込めて銃口を向けてやったら低い声で唸りやがる。
「他にあるんかい」
「尻で返事するやつはみたことぉねーわボケが……」
尻すぼみの声量がうぜぇ。反吐の代わりに唾を吐きかけてやった。
「どうすんだ」
「どうするって何がだ!」
「foxの殺し方に決まってんだろ。爆破か、銃殺か、選べよ」
「んなもん……」
爆破や!と目を血走らせながら言うもんで、充血が赤い導線に見えて仕方なく、俺はハイになってきた。
「ばぶぅ!!!!」
赤子の泣き声でもねぇ、花火でもねぇ、爆破でもねぇ。屁が出ちまった。
「さっきから汚ねぇんだよ!」
「爆破で殺すタァこの事だ」
「あ?ふざけてんのか!」
「もっとでけぇ音聞きてぇか」
「あん?」
ばぶぅ!!!!と返事してやった。赤子が泣くよりうるせぇやつを。
【続く】