SRE Kaigi 2025 セッション聴講・登壇レポート、聴講者・スピーカーとしてのぼくのTips

2025年1月26日(日)に開催された、SRE Kaigi 2025 にセッションスピーカーとして参加し、最後の懇親会まで楽しみつくした感想や、聴講したセッションの感想を、本Noteでレポーティングします。


SRE Kaigi 2025の感想

SRE Kaigi 2025は、本年度初開催のSite Reliability Engineeringの分野をテーマにしたカンファレンスで、中野セントラルパーク カンファレンスでオンサイト開催でした。

公式発表では、来場者数は約350人とのことです。日本のSREが350人一つの会場に集まっていたのはすごい熱気でした。

会場入口
Hall
懇親会

私自身XやSocial media上で関わりのあった方々や、一方的にファンだった方に、Ask the speakerや懇親会、会場廊下で直接挨拶できて、ずっと興奮しっぱなしな一日でした。

Hall, Room A/Bの三セッション制で、30分セッションが27、6つのLightning Talkがプログラムとして組まれています。各セッション後は、Ask the speakerの場で直接質問聞きに行ける場が用意されていて、私は聞いたセッションはほぼ全部突撃いろいろ質問させてもらいました。間に合わなかったものも、あとで直接話しかけて質問・雑談させてもらいました。

すごくおもしろかったのが、一つのルームでおでんやクレープの出店があって、かつ指圧の無料サービスまで用意されていました。おでんもクレープめっちゃ美味しかったです。私のセッションが午後一だったので、それらを急いで駆け込んで食べたのですが、30分走り切るエネルギーになりました。

おでん・たこ焼き・クレープ屋さん

すごく余談ですが、社内のレポートのためのプレゼン資料作ってる際に、公用語英語なので英語でこの話を書いていて知ったのですが、クレープってCrêpe (crepe) で、フランス・ドイツ発祥の食べ物なんですね。

さきに、カンファレンス運営の方々へのお礼などを伝えると、まず会場運営及びそれまでの準備にあたった方々、約スタッフは28名だったと伺いましたが、凄くスムーズで「さすが歴戦の猛者たちや!」と感激しました。PHPコミュニティに馴染みがあった私にとっては、顔なじみのある方々がたくさんコアスタッフの中にいて、すごく懐かしい、ちょっと同窓会に来たくらいの気持ちで会場に入っていけました。はまこーさん、あおごへいもちさんが会場入口にいるのをみて、3年ぶりのカンファレンス参加のちょっとした緊張が一気にほどけました。

カンファレンス企画はユニークでチャレンジングなものがたくさんあって、初開催にも関わらず果敢にチャレンジしているスタッフの方々、尊敬です。ありがとうございました。

こういうブログは、特にスタッフやスピーカーがフィードバック・感想を見るために開いてくださると思いますので、大事なことは先に書いておこう精神のブログ構成になっています :)

セッション持ち帰りと感想

今回は後にも言及しますが、圧倒的にプレゼンテーションの準備が万全に完了した状態で当日を臨めたので、すごく集中して他の方のセッションを聞けました。おそらくこれだけセッションに集中できたのは、10年前くらいの大学生時代の就活以来でしょうか。

質問するためのTips

まず、最初に最近私が使ってる方法が、あえて紙のメモ帳にノートを取る、というもので、これが結構ワークしてるので先にご紹介します。私はとにかく質問をその場で考える・後でしに行くってのがすごく苦手で、Ask the speakerを活用したり、社内ミーティングでもその場で質問できない人間だったのですが、最近紙のメモ帳を使うと、すごいすんなり質問できるようになってきました。

セッション中に取ってたメモ

聞きたい質問だけをここに書き残すようにしていて、PCは開かずに話に集中します。耳で話を聞くことに集中していると、わりと素直な質問が頭に出てくるので、結構自分にはワークしてます。

この方法は、2022年にオーストラリアのシドニーで開催されたSRECon 22 APACに参加した際に、すべてのテーブルにメモ帳とペンが置いてあって、参加者は時々メモしながら聞いていて、ほとんどPCを開いてる人はいなかった、という体験からインスパイアを受けました。

この方法を直近の社内のAll hand meetingでやってみたら、すぐに聞きたい質問が頭に浮かぶようになったので、これからもこの方法を使っていこうかなと思ってます。結構おすすめです。

ただ、Xの実況は他の方におまかせすることにはなるので、とくに英語圏のカンファレンスでワークしやすいかもしれないですね。

以下、聴講したセッションの感想を書きます。登壇者の方への手紙と思って書いてるフシがあるので、実際に資料を見たいという方はとりあえずGooglingしたら見つかるだろうという希望的観測でリンクなどを貼るのをサボらせてもらいます。すみませぬ。ぬぬぬ。

Site Reliability Engineering on Kubernetes by nwiizo

懇意にさせていただいているにゅーぞーさん。一番前のテーブルを真っ先に確保して聞きました。できるだけ広く・多くKubernetesでSREをするためのテクノロジー及びナレッジをカバーして、明日のアクションアイテムを探してもらいたい、という想いをひしひしと感じるエネルギッシュなセッションでした。

「30分でこれだけの内容は厳しそうだぞ」と直前に公開された資料を同じスピーカー目線で怯えていたのですが、飛ばす前提でぽんぽんすすめていらっしゃったので、「30分って話これだけ入れられるっていう観測とギャップが生まれがちですよね、すげぇわかるわぁ」と共感・頷きしながら、すごく長い時間をかけて準備されたことへの敬意を感じました。後ほど、Ask the speakerで伺ったら、すべての要素に対して技術的検証をして動作するアイデアであることをデモ可能なレベルで用意していたらしいので、それはそれはすごい時間をこの30分に費やしてもらったんだと推測します。ありがとうございます。

Ask the speakerでは、OpenStackの現況や、Argo CD/Rolloutsの導入のモチベーション出どころ、cross planeの運用負荷とクラスタ構成、などについて伺いしました。

CDEvent、Keptn、KubernetesプラグインバージョンなどYaml内のバージョンをrenovate対象にするアイデア、すこし止まっているOpenSLO/sloth、と、新しいキーワードを知ったのと、にゅーぞーさんのセッションは参考資料を豊富に紹介して、聴講者にHomeworkを与えてくれるのが素敵だなといつも思ってます。Cloud Observability in Action, Continous Deployment, Argo CD Up and Runningあたりは、最近本当に本を読むという行為をしていないので、SRE Kaigi 2025の熱量ドリブンでOreillyを開きたいな、開けるかな、とりあえず今読んでるアオアシ(漫画)を読み終わるか、などとうだうだしてます :)

実践: Database Reliability Engineering ~ クラウド時代のデータベースエンジニアの役割 ~ by 粟田 啓介

にゅーぞーさんのAsk the speakerでめっちゃ喋らせてもらったので、途中参加です、すいません!背景として、自分自身現職でAmazon RDS for Postgresのユーザー管理とかバージョンアップグレード、DBパラメータ管理などをしていたので、ペインがすごく身近で、かつ、作り込みのアイデアも興味深かったです。

たとえば、一時的な本番オペレーション向けのユーザーを作成するツーリングや、DBパラメータグループを可視化するツーリング、「われも類似の質問をエンジニアから受けてたからそういうのあればよかったかぁ」と感涙しました。

懇親会で最後に話させてもらって、時間が足りなくなって色々飛ばしてしまった、というところにスピーカー共感をしたりしていました。なんせ、自分も事前の練習の1回目が50分かかって「おいおいまじかよ」となった末、6回目の練習あたりでスライド資料の内容を大幅に間引いてようやく29分で安定するようになった背景があります。

ともかく、DBRE視点のIdeationの種として自分の脳内ストックにため込めたセッションでした。

SIEMによるセキュリティログの可視化と分析を通じた信頼性向上プロセスと実践 by 川崎 雄太

coconalaのHead of Informationの川崎さんのSIEMの取り組み、特にセキュリティログの可視化・分析。Cレベルの役割というのもあるのか、話し方が落ち着いていて素敵だな〜という小並感のある安心感を抱きながらセッションを伺っていました。

ELBの4xx/5xxエラーによって潜在的なセキュリティイシューのアラーティングするアイデアが興味深くて、403を返すようにすると相手が諦めがち、っていう実体験に基づくエピソードもすごく参考になりました。Ask the speakerで、「アプリケーション起因の場合もあるけど一次トリアージどうしてる?」という質問に対して、アプリ・セキュリティそれぞれ別のアラーティングになっている体制を教えていただいたり、ログ集約のコストは社全体のコストとして計上している話、あと個人的にcoconalaさんに働いていた友人についてプライベートな話をさせてもらったりと、特にAsk the speakerで結構な時間参加させてだいてうれしみでした。

ガバメントクラウドに向けた開発と変化するSRE組織のあり方 by kazeburo

前職のころから、すこしだけ関わりがあったものの、リアルでガッツリお話させていただいたことはなかったkazeburoさんと、スポンサーブースや懇親会とたくさん話せた気がして嬉しかったです。

組織・会社として、SRE Kaigi 2025を通じて一番魅力が高くなったのがさくらインターネットさんでした。本セッションにて、ガバメントクラウドに向けた2025年のロードマップと推進、その中でSREがどういう役割を果たしているか、拡大させていったか、とてもおもしろかった。

直接セッション後質問させていただいて、オブジェクトストレージを提供するならS3 compatibleであることはかなり基礎的な要件となっていることや、Embded SREとしてほかチームを支援する際の最初のオンボーディングの難しさとアプローチ、各プロダクトエンジニアリングチームのポストモーテムにSREがどのくらい参加してるのか、採用面接を巻き取っていった話はEMを採用して最終的にまたそれぞれのチームに移譲していくという構想、どれもすごくmake senseしていて、セッション内容と合わせてすごく腑に落ちて参考になりました。

また、その後大ファンのyuukiさんに初めてリアルでお会いさせていただいて、「大ファンなんですよ!」と直接話させていただいたんですが、その中でGPUサーバーを自社で開発する際のサーバー・ネットワーク設計がCPUと全然違う点とその難しさ・面白さ、最近の研究動向等、懇親会までの間長い時間話させていただいて、めちゃうれしかったなぁ。

あと、尊敬する後藤さんがいつのまにかさくらに入社されていて、他にもロックスターがさくらに行くらしいぞ、とさくらインターネットにレジェンドが集結しているのか!と日本のSRE人材市場の動向を間近に感じた一日でした。

そして、ガバメントクラウドたる国産クラウドを自分たちで開発する機会というのは日本ではなかなか限られるので、私は今外資エンジニア市場が採用市場的にはメインフィールドになるけれど、もし日本の会社・日本語が公用語の会社を選ぶならさくらインターネットさんに応募するかもしれない、とそのくらい魅力が急上昇したのでした。

AWSにおける横断的なログ分析とコストの管理 by 山北 尚道

AWS Organizationsベースで多くのアカウントのログ・コスト管理というのは現在進行系で色々取り組んでいるものだったので、このスポンサーセッションは興味があるトピックでした。Homeworkとしては、"The state of Observability in 2024"よんどこうかな、っていうのが一点で、あと Ask the Speakerにもお邪魔して、TerraformのmoduleとCI/CDについてお話できたのが参考になりました。
自動applyは事故の元になりがちだから、GitHub Actionsでterraform applyを手動トリガーできるようにしている、というアイデアは自社でも設計して提案しようかな、と漠然と考えていたラフなアイデアを後押ししてくださる議論をさせてもらいました。ありがとうございました。

あと、Sentryのアラートは最近のコード化結構対応しているよ、っていう情報がためになりました。おっ!そうなんだ、チェックしとこっておもうなどしてます。

SREとしてスタッフエンジニアを目指す by tjun

現在、Senior SREとして働いていて、この先のキャリアステップアップに関して結構大きな壁というか閉塞感を感じている背景が自身にあって、なのでSREとしてStaff Engineerってどういうことっていうこのセッションは本当に考えをまとめる・言語化する大きな手助けになりました。

tjunさんの話を伺って、Series BのAutifyにおいてStaff SREは今のEMがになってくれてるんだ!というのが一番大きな気づきでした。現在、Maxim GashkovがAutify SREのEMをしているのですが、彼は、People managementである我々ICの評価や1on1をしてくれているのに加えて、アーキテクトチームの中でSRE視点からのアーキテクチャレビューをしていたり、ステークホルダーとの調整やビジョンの策定や、Incident management, On call strategy, SLI策定などにInitiativeをもっていたり、SREのProduct managerの役割も果たしています。

tjunさんのセッションの中でStaff SREとしての仕事・責務は、そういったアーキテクトやProject lead/Team leadの側面を言及されていました。本セッションによって個人的に「これ言語化したらMaxがやってることか!」とすごくハッキリしました。めっちゃ感謝です。

Ask the speakerでは、EMを介している経歴がどうキャリアにインパクトを与えたかを聞かせてもらいました。その時のPlaying managerとしてのEMだったからこそ、というかチームをリードしていた結果としてEMだっただけくらいの温度感で、例えば大きな会社でPeople managementの役割とかManagementの比率が高いEMのロールを経由するのとは少し話が違う、という温度感はすごく参考に!

あと、私の現職Autifyが公用語英語で、SREチームでいうと私以外英語話者という背景から、英語力が壁になってる課題感について壁打ちさせてもらって、tjunさんもEnglish speakerのICがメンバーにいたからnon techな話やfeedbackを伝える時に相手の文化とか価値観にうまく合わせるってのがすごく難しかったと話されていて、「うぅ、それまさに自分がEMにはなれないなぁと思ってる理由だぁ」と共感と重要なケーススタディをもらいました。

Staff engineerとして他のICメンバーにアイデアや課題意識を共有することに関しては、Staff engineerとしての課題提起をしっかりチームの目標にブレークダウンされていれば、あとはそのチーム目標・Objectiveの納得感という話になる、っていう考え方を教えてもらって少しStaffに対するハードルをさげてもらえました。

スピーカーとしての感想

私は、Room Aにて13:35からのランチ明け一番の枠で発表いたしました。血糖値バク上がりの中でも集中して聞いてくださって、アイコンタクトしていた中で頷いてくれてる方もいて、すごく話しやすい環境でやらせていただきました。

目視レベルでだいたい100人前後くらいは来てくれてたのかな?どうなんだろう。80人〜くらいは少なくともいたような気がします。とにかく思ったより来てくれてすごい嬉しかったです。なにせ、HallおよびRoom Bのセッションもすごく魅力的だったので、準備段階では何人来てくれるかわからないけれど、それでも来てくれる人のためだけに100%のパフォーマンスとエネルギー、情熱が出せるようにしよう、と意気込んでいました。

Room Aを選んでくれた方々、本当にありがとうございました!

2年間を30分に圧縮した、と冒頭話したので、関連するトピックで本筋のストーリーからはすこし枝葉部分になるものは、資料末尾の付録に逃がしています。

GKEクラスタのアップグレード戦略・ゼロダウンタイムでSPOFシステムをメンテナンスするための設計、Helmチャートを横展開しやすいようにするリポジトリ設計などに興味がある方は、ぜひご覧ください。

今回の発表に際して、X上では25人のアカウントから40以上のPostを投稿していただきました。

Ask the speakerでは、一人暇になる時間はほとんどなくて、自分のスロット時間の間まるまる埋まるくらい、遊びに来ていただいて嬉しかったです。ちなみに来ていただいた方には、Autifyの超限定グッズをお渡しさせていただきました。

ちなみに、社内レポート用にまとめた1月27日時点の反響はこんな感じです。これも後で書くのですが、丸二ヶ月くらい準備にかかってるので、しっかり良い反響をいただけて、おそらく有意義な30分を提供できていて、安堵しています。

社内Tech presentation用に用意したスライド

今回のプレゼンテーションをどう準備したか

今回のプレゼンテーションの準備は結構よかったな。何十回・たぶん70+めくらいのカンファレンス登壇の中で一番成功したカンファレンス準備だったと思ったので、自分の備忘録を含めてどういうアプローチをしたのかまとめてみます。まず、SRE Kaigi 2025では10月18日に採択の連絡が来てそこから3ヶ月強あったのでスケジュールに余裕がありました。その上でタイムラインはこんな感じです。

  • 2024年10月18日 採択

  • 10月22日 準備スケジュール・マイルストーン作成

  • 10月25日 必要な追加調査タスクのリスト化

  • ~11月26日 種となる社内資料やドラフトスライドを作成

  • ~11月26日 プレゼンテーションの大枠をMiroで構成

  • 11月26日 本番資料作成開始

  • 2025年1月16日 資料初版完成

  • 1月17日 最低限の社内レビュー完了・運営提出

  • 1月19日 有識者レビュー用の英語ドキュメント作成・レビュー完了

  • 1月19日〜1月24日 通しプレゼンテーション練習 * 6

  • 1月26日 カンファレンス当日

資料集め

Autifyでは、SprintごとのGoogle Slideでデモンストレーションをしているのと、ドキュメンテーションの文化でだいたいの意思決定はNotionドキュメントかGitHubにあるので、それらをキュレーションすることから始めます。おそらく50か小さいものまで含めると100くらいは見返しました。なんせ本セッションは2年間の取り組みを30分にまとめるものなので・・・。

プレゼンテーションに入りそうな意思決定とかは文章をコピペしたり、簡単なダイアグラムをGoogle slideでつくったりして、とにかくここでは発散させるフェーズですね。

Miroを使ってストーリーを紡いでいく

私はここから結構停滞することがこれまで多くて、どこまで終わってるのかいまいち自分でもわかってない、みたいな状況が多かったのですが、Miroをつかってストーリーを文章構成にしながらスライドも作っていくっていうアプローチがめっちゃワークしました。具体的にはこういうMiroボードの中で一枚一枚スライドの下書きとスピーカーノートを作っていくように、文章で何を話すかを書きながら、それに対応するダイアグラムとスライドデザインを構成させていきます。

プレゼンテーションストーリーの全体像
叙述的で台本レベルで文章を書きながらストーリを紡ぎあげていく

このスクショはほぼ完成版に至ってるときのものですが、わりと白紙ベースのボックスで、「この次はEKSのアーキテクチャについて説明する」とか「Selenium HubのSPOF問題について3つ問題を言及する」とか、そのレベルから始めて、その後スライドの完成度上げていく中でここの文章も精緻なものになっていきます。

Miroの文章とGoogle slideを同時に完成版にしていく

この同時にってのがワークして、最終的にはプレゼン可能なレベル、つまり本番レベルのスライドになることが目標なので、

「Google slideの構成を考える」->「うまくアイデアが出ない」->「Miroで何を話すか文章を考える」->「話す内容にインスパイアを受けて必要なダイアグラムやデザインを作る」->「スライドを作りながら話す内容も調整する」

これをずーっと繰り返していきます。もともと最初のドラフト150枚あったので、私はこれを永遠とイテレーションを繰り返していて、色々構成が固まっていく中で取捨選択・削除して、最終的な90枚(プレゼンで言及したのは60枚)になりました。ちなみに完成したところにチェックマークをMiroでつかていくので、全体でどのくらい進捗しているかもこれでわかりやすくなりました。

Archiveスライドを用意することでバンバン修正する

完成版にする中で、「やっぱりこれしっくりこないな」とか「こっちのほうがいいかも」みたいな迷い・試行錯誤がたくさんあるので、それを勇気持ってやれるために、Archiveスライドっていうのを別途作っていました。いわゆるゴミ箱でいつでもRollbackできるようにするSafety guardです。

アーカイブスライド

このアーカイブスライドには最終的には170枚がゴミ箱で入っていて、試行錯誤の結果生まれた旧バージョンや捨てた社内資料があります。このアーカイブは後ほど聞いてきて、最後の微調整でスライドを直していく中で「このアイデアたしか前やったな」となった時にここに探しに来て再利用できるんですよね。すごい便利だったし、バンバン今のスライド実装を消せたのでよかったですねぇ。

すべてのスライド完成後、一回口頭で時間を図る

私のアプローチではストーリーを積み上げてスライドとしては本番でもいけるくらいになったタイミングで一回口に出しながら所要時間を図ります。最初は30分に対して50分かかりました。まぁこれはみんなやってると思います。

Spreadsheetでスライドを一覧・論理的なタイムマネジメント設計

そうすると、次にSpreadsheetで一枚一枚のスライドの中でどれだけ時間がかかるかを一覧化します。これは、妥当な速度で話すことが前提です。

一枚一枚の所要時間

更に大前提として、「スライドに書いてるものを読む」わけではないので、このスライドの中で何に重点をおいてどう説明するか、を意識したうえでの時間です。たとえば、ソリューションのProsConsをテーブル化したような資料は全部読むわけではないので、プレゼンテーションではこういう内容を話して1分かかる、そういう推論の仕方です。

軽いGlueスライドは10秒としていて、割としっかり話す系はたとえば1分とか、一枚一枚に時間を割り当ててSumします。そうすると、論理的に妥当な速度で話してこのくらいかかるよね、50分だね、そうだね、となります。

だいたい全部の内容が必ずプレゼンテーションの本筋にいるわけではなので、聴講者がセッションタイトル・内容を読んで期待する内容と比較したうえで、枝葉なものは資料末尾に移していきます。結果17枚のスライドを付録に移して、きっかり30分くらいになるセッション内容へと着地させます。

iPhoneで録画しながら立ちで通し練習

セッション完成後、通し練習をします。

iPhoneを立てて録画する

これはSRE Con 22 APACでの英語プレゼンをしたときからやってるプラクティスです。

https://note.com/hgsgtk/n/n4ae2ab7030fc

この通し練習によって、どこで詰まりやすいのか・スライドが見えにくい箇所・あまりイケてないスライドデザイン、立ち姿、効果的なジェスチャーの入れどころ、そういった箇所を確認することができます。

録画したものはiPhoneとか比較的小さい端末で見るのもTipsで、基本的にスマホネイティブな世界なので、最終的にYouTubeにあがるところまで意識すると、iPhoneでみるのが結構よいです。

さらに、家事をしながら耳で聞くのもやって、それで話し方が遅すぎないか、早すぎないか、あるいはどこをゆっくり強調するべきでどこはさくっと流したほうがいいのか、こういったプレゼンテーションのコントロールの精緻さを上げていけます。

スライド資料もPDFとかにあげてiPhoneでみるのをよくやりました。それによって見えにくい箇所・文章・色合いが浮き彫りになります。

この通し練習を最後の一週間に6回やることでプレゼンテーションは29分に安定するようになりました。この通し練習を繰り返しやったことは重要で、当日マイクトラブルがあったり、拡張ディスプレイ非対応だから強調ポイントを書いておいたPresentator noteが見えなかったり、iPhoneのタイマー設定忘れてセッション中今何分経ってるかわからないっていう中でやったのですが、きれいに29分で最後のあいさつに着地して、タイムコントロールとしては完璧に終えることができました。

念の為フォローしておくと、運営の方々の現場の障害対応・フォローはまじでベストパフォーマンスでしたので一切不満ないです!最高でしたまじで!

結び:コミュニケーションを心の底から楽しんだ

とにかく、すごく楽しかったです。本当に。これはなにより、日曜日丸一日をカンファレンス参加にあてるために、1歳8ヶ月の子どもをワンオペでみてくれた妻の協力あってでした。このカンファレンスの懇親会も最初は無理かなって思っていたのですが、「見ておくから行ってきな」と背中を押してくれました。子どもが生まれてから、夕方6時に家にいないという事自体がこのカンファレンスが初めてで、懇親会すっっごくたのしかったし、帰りそーっと静かに家に入るというミッションも含めて、感謝しきれない。本当にありがとうありがとう。この事例を解禁できたので、逆に妻にも、会社の飲み会とか気軽に参加して家を開けてもらおうと思います。

あと、結構たくさんカンファレンスに参加してきてるのですが、初めてコミュニケーションを心の底から楽しんだ一日でした。これは自分自身が歳と経歴を重ねて来て少し余裕があったりするのと、カンファレンスに参加するという機会が極めて限られるライフステージにいる点、そしてプレゼンテーションの準備に時間をかけることをサポートしてくれたSREチームの協力のおかげだなと思います。

おかげで、スポンサーブースでもいろいろな話ができました。なんかめっちゃグッズたくさんもらいました、会社に展開しに行きます!

いただいた様々

懇親会でも話したい人・直接あってみたい人、たくさん話せました。話しかけれるようにもなりました。例えば、fujiwaraさんに懇親会で話しかける際には、kazeburoさんとかに「fujiwaraさんどこにいるか知ってますか・・・?」と探して「俺の記憶ではこの人な気がするぞ」という半分賭けで話しかけてみたり、yuukiさんに合うために技術顧問されてるTopotalさんのブースに言って「あのぉyuukiさんって近くにいますか・・・?><」と突撃してみたりと、なんか勇気が出るようになったな、って思いました。なんでだろう、劣等感とか満ち足りていなかった若者時代の焦りとかそういうのがいい意味でも悪い意味でも抜けたのが功を奏したのかな?

fujiwaraさんステッカーもらった、うれしぃ

ともかく、これからのカンファレンスもすごく楽しめるような気がしました。もう最近、わりと絶望していて、「この世界は不快と不調和でしか構築されていない地獄なんだとおもったくらいが生きていける」とすっごくネガティブに生きているのですが、そういった中でもSRE Kaigi 2025の一日は「ただ楽しかった」です。

改めまして、こういった機会の準備をしてくださった運営の皆様、ありがとうございました。

最後に個人的な参加者Tips

Name holder結構裏返っちゃうことがあるので、自社のシールと名刺組み合わせて裏返っても最悪何者かわかるようにしてて、「それいいですね」と、ぴんくもひかんさんとかに言われた気がしたのでご紹介して終わりまするーるるる。

マスコットキャラクターのシール貼ったのは、自分のプレゼン資料で度々このキャラクターがでてくるから一貫性をもたせるためでした。
うらがわにも名刺くっつけて、裏返ってたときはこのまま名刺の情報を見せてました。

余談

本セッションのプレゼンテーションのために黒のシャツとパンツを新調しました。合計35000円くらいでした。スキンケアグッズも新調してました。余談過ぎました。はい。

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