「卒論、書いておくに越したことはない」と個人的に思った話
前職で新卒の部下ができたときに感じたことがありました。
私は新卒のときからメールをわかりやすく書いたり、文書でまとめたり、なにかについて思考したりすることが得意だったのですが、その新卒君は苦手でした。
漢字を読むことが苦手、などでしたらそれまでの漢字との出会いによりますが、文章の書き方・まとめ方という所謂文章力が特に不十分に感じました。
そこで私は、新卒君に質問しました。
大学を出ていた新卒君でしたので、聞いたのはこの質問。
「卒論って書いた?」
答えはNOでした。
これは大学に入学してから知ったことですが、卒論って必須じゃないところもあるのですね。私が所属する学部学科もそうでした。
ここからは個人的に思った話。本題の卒論は書くに越したことはないと思った話です。
卒論を書くメリットはいくつかあると思います。何か一つのことを究める経験、思考方法の学習、文章の書き方、大学で学んだ成果をアウトプットする機会…など。
その中でも、社会人になって改めて感じたメリットは、「文章力」「思考力」「まとめる力」です。管理部門の人間としての立場からお話します。
1.文章力
これは管理部門にいる人間だからなおさらだったのかもしれません。管理部門たるもの、社外に提出する文書も多ければ、社内では従業員の規範となる立場。採用面では応募者にとっての会社の顔です。間違った言葉は極力避けたいものです。
すべてを完璧に、というわけではありませんが、最低限の言葉遣いは気を付けなければなりません。
「語彙力を上げる」とかではなく基本的な文章マナーを守るということです。
例えば「~たり、~たり」「ら抜き言葉」など。一般的には普通になってきた使い方でも、社外文書などは誰がどう思うかわかりません。もしかしたら採用応募者からナメられることもあるかもしれません。自分の文章によって会社のことを低くみられてしまうきっかけをなくす。売上を出さない管理部門だからこそ、会社の看板を汚すようなことは少しでもなくしたいものです。
卒論を書くことは、これまで卒論、修論、博論、学術論文、など多くの文章を書いてきたスペシャリストである指導教員に自分の文章を見てもらえるということです。初稿を提出したら、驚くほど真っ赤になって帰ってきた論文を思い出します…こんなにも…間違って…いたのか……
2.思考力
管理部門は”事務方”ですから、ルーチンワークばかりと思われがちですが、違います。経理、人事でも分析、分析、そして分析。新しいルール作り、ルールのない事例への対応、社長からの漠然とした依頼、社内からくる様々な相談…とにかく考えることは盛沢山。
特に会社と従業員と法律と、いろんな方向から考える必要があるものも多いのです。そこで役に立つのが多角的な視点からの思考。
この論理は誰も何も言えないだろう!!とか思っても突っ込まれるのが卒論。容赦なく崩されていく証拠、繋がり、自信、振り出しに戻る論文…もう何が正解なんだか全然わからない…正解なんてこの世には存在しないんだ…私はだれ…あなたは何者…
という気持ちになりつつも、めげずにいろんな角度からの想定をして、それを一つずつ検証して、それでも残った課題をどうするのかを考え、なんとか完成させるのが卒論。
ここで得た経験が、いろんな立場からの想定をし、課題のつぶし方を検証し、新しいルールを生み出すことに繋がっている気がします。
いろんな視点を考えることは管理部門にとっても必要なスキルです。
3.まとめる力
管理部門ではなくてもめちゃ重要と個人的に思っているのが「まとめる力」です。
仕事を依頼されたときに内容を理解しまとめる力、メール・チャットなどで要点をまとめて送る力、的確な報連相をするためにまとめる力。
要点を取り違えて無駄な仕事をしないため、また、相手に無駄な読解をさせないために、まとめる力は重要です。無駄があると生産性が落ちます。
でも、要点をまとめるって意外と難しいんですよね。何が重要かを見極める必要もありますから。学生時代に小論文の要約課題があったときには全然見当違いなことを書いたこともあったっけ。全部重要にみえるんだよなぁ…
そして卒論もいかにまとめられるかが大事。
一文が長くなってはだめ、ここはいらない、これは何、無駄、いらない、ここもいらない、なにがいいたいの?と次々と無駄がそぎ落とされ、私が大切とおもってたものは一体…無駄のそぎ落とし作業により、卒論の文字数が足りなくなって焦ったこともありました。一体なにを書けば文字数足りるの?
まぁでも、鬼のような指導教員のおかげで何が無駄なのか、どう書いたらわかりやすいのか、要点は何かを把握するのが楽になったように感じます。
とかいいつつ、今書いているこのnoteはかなり無駄で溢れていますが、まぁ仕事じゃないしね。趣味で書いてるだけだし。うんうん。
すべてがすべてじゃない
もちろん、卒論を書いたからといって絶対良いというわけではないし、卒論以外でもこれらを習得する術はあると思います。現に論文を書かないような専攻の方や高卒の方でも活躍されている方は多くいます。
私の場合は、指導教員に恵まれていたというのも大きく作用していますし。
卒論を書く時間は膨大なので、その時間にできたであろう経験は私はできませんでした(アルバイトしたり、もっと旅行に出かけたり、留学したり)。
それでも、卒論書いててよかったなぁと思いました。大学に進学することで得たことがあったと、思えたので。
もし卒論を書くか悩んでいる学生さんがいるのであれば、途中でやめてもいいのでひとまず書いてみるというのもいいかもしれません。
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