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生活に使えるMBA理論~蜘蛛の糸~(14)  One step forward 一歩を踏み出す勇気

起業クライアントさんたちから、ボクから得た一番大きなモノとしてあげていただくのが、前に進む勇気だそうなのでこれを書いてみます。

「一歩を踏み出す勇気」と聞いてどんな場面を想像しましたか?
重い脚を、力を振り絞って、頑張って、一歩前に踏み出す。
そんなシーンでしたか?

日本人は頑張ることを評価しますよね?苦行が大好きですよね?苦行は正義、我慢は偉い。

ボクは頑張ったことがあんまりありません。好きなことだから勝手にやってただけです。何かを成し遂げると「よくがんばったね」って言われるんですけど、全然ピンと来ないんです。

みなさん、ちょっと立ち上がってください。
立ち上がって上半身、胸を前に出してみてください。腰を曲げずに。
もっと
もっと
倒れる前に脚が出たでしょう?

これと同じことです。全く同じことです。
こういうのをKPI(Key Perfomance Indicator)って言います。
テストで100点を取るという目標を目指すとき、それだけだと何をしたらいいのかわかりません。年号を覚えたり、単語を覚えたり、テストの問題を解ける準備が必要ですよね?じゃぁどんな準備をするか?書き取りを10回やるとか、計算問題を100問解くとか、100点取るために今やるべきことが浮かび上がってきます。

勇気を出して一歩踏み出すときも同じです。

頑張るってどう頑張るのか?
今、踏み出せていないのはなぜなのか?
その原因を見つけて、障害を取り除くにはどうしたらいいのかを考えるといいと思います。

勇気を出して一歩踏み出したいというのは本当に今したいことなのか?
まずそんな疑問を考えるところから始めてみるといいと思います。

既に書いたつもりだったのですが、まだ書いてないので、解説は後でまた書きますけど、「人生で一番大事な、幸せの公式」
簡単です。そんなの当たり前じゃんと思う人がほとんどだと思います。
(収益) = (収入) - (費用)
これを私たちの生活に置き換えると、
(しあわせ) = (うれしいこと) - (苦しいこと)
となると思います。
この公式自体は当たり前で簡単なんですが、じゃぁこの公式にあなたの生活を代入してみ?と言われると途端に難しくなります。
一歩を踏み出す勇気が出なかったのは、(得られる(将来の)うれしいこと)よりも((今すべき)苦しいこと)の方が大きいと思っているからではないでしょうか?つまりマイナスのしあわせ(不幸せ)ということ。
じゃぁこの公式がプラスになるように、うれしいを増やし、苦しいを減らすにはどうしたらいいかを考えれば、勝手に足は前に出るんじゃないですか?

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ボクは銀行に入ってすぐ、本部のディーリング部署に配属になりました。
普通は全国の支店に配属されて銀行業務の基本を身に着けるんですが、「こいつはお客様の前には出せないな」と判断されたんだと思うんですが、銀行の基本業務をすっ飛ばして、鉄火場に入りました。
新人の時にやる外為研修も「お前国際部門にいるんだから今更外為の知識なんて勉強に行くな。仕事で覚えろ」なんて無茶言われて行かせてもらえませんでした。だから外国為替送金事務とかは全然知りませんでした。(後にコンプライアンスとして知るべきになったので管理しながら覚えました。)

ディーラーの仕事は、「安く買って高く売る」ただそれだけです。
The greediest front line on earth where arts meet sciences.
「芸術(感情)と科学(知性)が鬩ぎ合う地球上で一番欲でドロドロした混沌」
金融市場のことをボクはそう呼んでいます。

ディーラーは、担当の商品を売ったり買ったりして差益をあげるのが仕事です。

怖いんですよ。

ドル円の為替で言えば、150円でドルを買って、160円でドルを売るみたいなことなんですけど、意味ある収益を上げるためにはそれなりの金額で取引をしなければなりません。
過去1年のドル円相場の日中の値動きは平均約1円でした。
実際には1円抜きなんてことは日中はそう簡単にはできなくて、5銭とか10銭とかで売買を繰り返すのが日中のディーラーです。
10,000,000ドル(1千万ドル=約15億円)の売買で5銭抜きで50万円です。
1分もかからずにです。
もちろん逆に動けば50万円の損です。

15億円の現金なんて見たことないけど、ボクらは時には何百億円、何千億円の売買をすることがあります。一瞬で逆に持っていかれることだってしょっちゅうあります。ボク個人で、一日で億円単位で収益を上げたときもあるし、その逆もあります。

怖いんですよ。
(収益) = (収入) - (費用)
??? = (儲かるかも知れないし、損するかも知れない未来の損益) - (怖い)
収益がプラスかマイナスかわからない。怖さが勝つんです。
取引に入れないんです。

取引しなければ損はしないけれど、利益も生みません。
ボクは香港で債券・金利・外国為替・株式の総責任者のチーフディーラー(ヘッドトレーダー)をしていました。
ボクが採用するディーラーは、損をしないディーラーではなくて、取引をするディーラーでした。
怖がってろくに取引をしないから(でも頭がいい、スタンフォードの理系卒)リスク管理に異動させた部下もいます。アヒルだからです。

ディーラーがする判断が正しいか、間違っているか?
取引を始める段階ではそんなものはありません。結果でしか答は出ません。

ディーラーが取引に入るとき、ディーラーが欲しいのは「納得感」です。
今の値段は○○だ。経済をどうたらこうたら、需給関係がうんたらかんたら、そんなこんなを考えると、この値段はおかしい。もっと上がる(下がる)はずだ。じゃぁ買おう(売ろう)。
考えて考えて、分析して分析して、自分の行動を理論武装して取引に入ります。
怖さ(儲けたいという欲望も裏返し)という感情と
その裏付けとなる理屈
が混じり合ったところという意味で
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なのです。
結果として勝つこともあれば負けることもあります。それは結果論です。
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「失敗したらどうしよう?」の怖さを払拭する道具の一つは納得感です。
自分は正しいはずだ。筋道立てて理屈を考えた結果の自信を持つこと。
それで負けたら仕方ない。負けを認めるしかない。取引を閉じて次の取引をする。

みなさんの場合、公式における(費用)には「他人の目」もあると思います。
理屈では解けない問題。
そういう怖さは、細切れにして考えると気が楽になります。

生活に使えるMBA理論~蜘蛛の糸~(2) 5つの線を引く Draw 5 lines|Aggrieved Duckling (note.com)

5つの線を引く

みんな同じと教育されている都合上、同じはずなのに一つのことで意見が違うと全人格を否定されたように感じるという場面を何度も目にしました。
「フツーはそうは思わないはずだ。こう思うはずだ。」
なんだか「全世界 VS 自分」みたいな構図になるんですよね。なぜか相手が「全世界代表」w 根拠は特にないのに。
それはそれ、これはこれ。
この議論の意見が違うからといって、ボクはあなたの人生を全否定しているわけではありません。おまえのかぁちゃんデーベーソーとも言っていません。あなたのお母さんに会ったこともないのだから。

Agree to disagree
(ある一つの論点で)意見が違うということで意見が一致する。

海外のいろいろな拠点で現地の経営陣と大げんかじゃなくて大議論しても合意に達しないことはよくあります。
出張してるときはちゃんと人並みの時間で仕事を切り上げることが多くて(その間に東京では書類が積み上がっていくんですが)、おいしいお店に現地の人が連れてってくれます。
そのときは仕事の意見の不一致は忘れて、友人として馬鹿騒ぎします。
それはそれ、これはこれ、だから。

このように、物事を細切れにして整理できれば、他人の目を気にして躊躇する度合いは減ります。
もちろん、それはそれ、これはこれ、と割り切れるようになるのは、自分だけではなく、社会全体がそうできるようになればより一層失敗を恐れることはなくなるはずです。


人に笑われるとなんなの?死ぬの?

他人の目を気にして、笑われるのは恥ずかしいという怖さについては、笑われることのダメージを過大評価していませんか?
考え直してみてもいいのかもしれません。
だって死なないもん。
どーしてもイヤな人は、アヒルの幸せ戦略の方をおすすめします。
ボクのディーラーチームには採用できませんけど、そんなの興味ないですもんね。

生活に使えるMBA理論~蜘蛛の糸~(1) アヒルの幸せ戦略|Aggrieved Duckling (note.com)

ほかにも公式の数値の見直しの例はいっぱいあります。

例えばボクの場合、仕事がはかどらないのは机に向かうのがおっくうだからという理由がありました。

ボクは無理して机に向かうのではなく、向かいやすい環境を整えました。
机に向かうのがイヤな理由を分解してみました。
冬の寒い日、ボクの部屋は暖房が弱くて、机だと寒い。
じゃぁ布団にくるまりながらできるようにノートブックを買う。
ノートを買ってみると、字が小さくて見えない。
ノート作業用の老眼鏡を新調する。

夏は暑い。
ボクの部屋は冷房も弱い。
涼しいリビングに机を買って、31インチのモニターをつけた。

こんな環境作りをするだけで机に向かう時間は増えました。


やりたい気持ちをもっと強くするというのも方法の一つです。
なぜやりたいのか?さっきと同じように論理立てて整理します。
(期待値の計算。期待値は不確実性が高いと低くなります。)
そして、できたときの未来の予想を、より鮮明に、そのとき自分はどんな風に思うかを明確に想像してみてください。
より明確に想像できればできるほど期待値はブレが小さくなります。
(この辺は実は金融論。生活に使えるMBA理論~蜘蛛の糸~(7) お金の値段 金利の話|Aggrieved Duckling (note.com))
ハートって大事だと思うんです。やりたい!という気持ちを明確にすると、身体、上半身が自然と前に行くんですってば。そうすると足は前に出ます。

一歩を踏み出す勇気とか、頑張るとか、
精神論が好きな人はそれでもいいと思うんですが、ボクはそういうのは苦手なので、勝手に前に足が出るメソッドを使って、勇気なんかひとっつも出さずに、頑張ることもなく、極めて平常心で前に進んでます。
もっと前に行きたい気持ちを持っちゃえば、前のめりになっちゃえば、
脚は勝手に前に出ます。謎の頑張りは不要です。精神論は要りません。


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