インターネットが雲から降ってくる
GAFAと呼ばれる四大企業があります。Google, Amazon, Facebook, Appleの頭文字をとったものですが、これら四つの企業を面白く分析した良書にthe fourがあります。
彼らの戦略とお互いの牽制模様を描き出し、これらのtech企業がなぜここまで強大になったのかを、人間の深層心理まで遡って考えているところにおもしろみがあります。
たとえばAppleはLouis Vuittonと同じブランド力をその力の源泉としており、デジタルネイティヴの若者を中心に崇拝に近い念を抱かせている。筆者はこれを、サンバーナーディーノ銃乱射事件を例にとって説明します。
犯人のiPhoneのブロックを解除せよとのFBIの要請を拒んだAppleの対応について、ある番組でそれを擁護せず批判したところ、大量のヘイトメールを受け取ったらしいです。またココ・シャネルの言葉
Some people think luxury is the opposite of poverty. It is not. It is the opposite of vulgarity.
を例にとり、Appleが人間の自己顕示欲と承認欲求にうまく訴えかけているとします。Apple Storesが、人々をApple製品の魔法にかける一種の媒介作用を果たしているという指摘には頷かされました。リアル店舗にそのような効果があると見込んでいたということですね。
またさらに、Amazonが最初本のe-commerceから入ったのは人間(特に男性)の獲物を巣に持って帰り溜めておく習性を掴んだものだという説明にはさすがに笑ってしまいましたが、重要なことは、このように顧客の行動心理を掘り下げて、掘り下げまくっているのが彼らの強さなのです。徹底的にマーケット・インで、かつそこから得る資金力を盾にリスクをとっていく。Amazonの武器庫をみると恐ろしい思いがします。Amazon Goでは顧客はレジでの支払いなしの購入体験ができるうえ、顧客の買い物の様子を膨大な数のセンサーでデータに置き換え分析します。これを次の購入体験に繋げていくことで、ロイヤリティを獲得する。いまやAmazon Primeの加入者はアメリカで銃保持家庭を上回っているそうです。またAmazon Marketplaceでのレコメンド機能やレビュー機能の効果(インターネット効果によってユーザーと評価者、出品者が指数関数的に増大していき、プラットフォームの価値が接続者の自乗に比例して増大する(メトカーフの法則))はいうに及ばず、Amazon Basicsというアマゾンのブランドでは顧客行動を分析し、ある類似の商品群(価格帯の異なる商品など)のどれも購入しないターゲットを特定し、そこに向けた商品を展開しているのです。(かゆいところに手が届く!)さらにドローンでの宅配や完全にロボティックスで自動化された倉庫など、AWSのクラウドサービスに加えて、リアルな世界での宅配網(インフラ)も着々と固めています。将来はコンビニもアマゾンのインフラの一部になるのだろうか。とどめはAlexaによる音声認識とそれによるブランド力の消失です。筆者が指摘するには、音声だけで購入が済んでしまうことにより、ブランドの視覚的情報がすべて欠如、差別化が難しくなっていくのだそうです。Amazonこわい!仕事なくなってしまう。筆者も凡人にとって非常に厳しい世界がやってくると言っています。
ソフトウェアがフィジカルな世界を包み込んでその境界を無くし始めています。人間の行動は一元的にデジタル化され、それをGAFAのようなプラットフォーマーが分析、最適化された流通網によって即時に顧客のニーズを満たす。ソフトウェアが世界を喰い尽くす。
人々の移動も、次の次元に進むときが近付いています。車の所有からシェア・サービスのサブスクライブへ。
人の生活そのものもサービスになります。もう家賃や駐車場代・水道代・ガス代、インターネット代なんかを分けて支払うこともなくなるでしょう。生活する上で生じる様々な不便が、個人で解決する問題ではなくなり、都市の提供するサービスの一部となるでしょう。
このような時代にあって常に必要となる視点は、「幸せってなんだろう」という考えを個人個人が深め、テクノロジーをその手段とし、テクノロジーに使われないことだと私は思います。
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