「ストーリーとしての競争戦略」要約
本書の結論
「優秀な戦略とは、非合理(変)だと思われるようなポイントを盛り込むことである」
なぜ戦略を立てるべきなのか
☝戦略を立てる:
山を登る時に、どのルートや上り方をすれば、効率よく確実に上ることができるのかを考えること
☝戦略を立てない:
何も考えずに、いきなり山を登ろうとすること
優秀な戦略とは何か?
優秀な戦略とは、ストーリー性のある戦略のこと。
☞思わず誰かに話してしまいたくなるような、面白いストーリーが盛り込まれていることが条件。
そして、こういう戦略こそ、長い利益をもたらすことができる。
ストーリー性のある戦略を立てるためには、どうすればよいのか?
☞「一見、非合理だと思われるような要素を戦略に盛り込むこと」
一見、非合理とは、「何でそんなことをするんだ?」「ばかなのか?」と、他人が言いたくなるような合理的ではない考えのこと。
一見、非合理な要素を入れるポイント
ただ、考えなしに非合理なことをすればよいということではない。
戦略を「全体的」と「部分的」の2つの側面から考える。
ここでいう、非合理な要素とは、戦略の中での「部分的」な部分のみにすべきである。
☞「全体的」には合理的な戦略だが、「部分的」に非合理だと思われる戦略を盛り込むことでストーリー性のある戦略ができる。
こういう戦略を、筆者は、
「そんなばかな」→「なるほど」と、人が納得する過程をあらわし、
「バカなるな戦略」と称した。
なぜ、全体的にも部分的にも合理的な戦略は優秀ではないのか?
多くの人は全体的にも部分的にも合理的な戦略を立てようとする。
そういった戦略は社内の中では、認められ、企画なども採用されやすくなるが、それが商品として、外に出てみるとどうだろうか。
☞どの会社も合理的であるがゆえに、同じような戦略になってしまう。
結果的には、模倣と価格競争が起こるようになり、資源や技術が高い会社だけが勝つことになってしまう。
だからこそ、一見、非合理で誰も模倣をしようと思わないような戦略であることが差別化においても重要なのである。
一見非合理な戦略をとった代表例
☞「スターバックス」が代表例。
彼らは、日本進出をした時に、フランチャイズ方式ではなく、直営店方式で店舗を増やしていった。
リスクを避け、スピードも早いという点では、フランチャイズ方式の方が合理的であり、主流である。大手飲食店も多く取り入れているくらいだ。
しかし、コストをわざわざかけて、土地も自社で仕入れるという手間をかけてまで直営店にこだわったのは、「バカなるな戦略」があったからである。
☞「スターバックス」のコンセプトは、家でもなく、会社でもない安らげる空間(サードプレイス)を提供すること。
これが「全体的」な戦略。この考え方に非合理な要素はない。
しかし、もし、フランチャイズ方式にして、オーナーに経営を任せてしまうと、どうなるだろうか。
オーナーは利益を追求するため、「サードプレイスを提供する」というコンセプトとは、かけ離れた行動をとってしまう。
例えば、客席を増やそうとして、席の間隔を狭くしたり、回転数を上げるために、時間制限を設けたり、など。
☞この全体的なコンセプトを守るために、「スターバックス」は、部分的には非合理だと思われる直営的方式にして、自社の社員をオーナーにして運営しようとしたのである。
この「バカなるな戦略」がはまり、大きな成功を収めることができた。
これから、他の価格帯が安いカフェが出てきたとしても、客はサードプレイスを求めて、高いお金を出してまで入ってくるということだ。
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