見出し画像

【雑感】新入生サポート3年目の春: 先輩と後輩と同級生と先生と職業像と場所。

教職っていいなあ。

ということを思う日々が続いている。


大阪大学教職学生の自主活動、22年度の教職新入生サポートは、ガイダンスが終わって、このごろはオンライン相談会である。新入生に大勢zoomに来てもらい、上回生が相談に乗ったり、ゲームをして盛り上がりながら交流したりする。任意で連絡先を交換する人もいる。

運営は、すべて学生でやる。先生たちは、積極的に傍観してくださっている(本当にありがたい)。

教職は、みんなで情報をやり取りしながら乗り越えていく面がある。だから、「頼れる上回生と仲良くなる」「これから友達になる同級生と仲良くなる」ことは、その人を助けてくれる。

仲良くなることが強制されてはいけないが、仲良くなれる機会がちゃんとあることは、とても大事だと思う。教職に対して、100パーセント本気の人もいれば、そうでない人もいる。いろんな人がいるから面白いし、いろんな人と出会えるから面白い。


20年度、私が新入生だったとき。

コロナ禍で、誰も先が見えない中でオンライン授業が続き、新入生が文字通り孤立していた時期に、この活動の原点がある。のちに大変お世話になることになる、敬愛する教職の先輩とお仲間が、「新入生のために何かしてあげたい」と、これを始めた。

(自宅でのリモートライフをそれなりにのらりくらりと楽しんでいた)私も、オンライン交流会に参加した。「自分たちのことを思ってくれてる人がいるんだなあ」というのに加えて、

大学って、学生主体でこんな自由に活動ができる場なんだなあ

と思った。背中の大きなその先輩は、zoomの小窓の中で、とにかく楽しそうに見えた。


季節が巡って21年度。

楽しそうだった先輩のマネがしたくて(何かをしたくなるときは、たいていマネがしたいときである)、今度は私たち新2回生が新入生サポートをしよう!ということになった。先生たちも、心地よく見守ってくれた。

20年度に自分たちが助けてもらったから、今度は自分たちがやる番だ、という空気は、それなりに自然に共有されたと思う。

21年度新入生サポートには阪大教職から生まれた高大連携教育団体SUITのメンバーがたくさん参加していて、私のごときSUIT以外の人間はかなり少なかった。

楽しかった思い出しかない。


同級生で何回も打合せをして、見守ってくれる大学の先生や職員の方とも話を重ね。

教職ガイダンスに向けて漫才を練習し、本番に臨み。

オンライン交流会でみんなが仲良くなれるアイスブレイクのゲームの知恵をみんなで絞り、実践し。

意外に申し込んでくれている新入生の数が少ないとなれば、全教の教室をゲリラ的に回って先生の許可のもと教職の授業前後に告知し。

新入生の数が伸びてきて、逆に相談に乗る上回生側の人数が足りないとなれば、そこはこの1年で友達になった教職の同級生や先輩にどんどん声をかけて。

交流会の後はみんなで振り返りの時間をもち、次の手を考えて。


なんだ、全部この1年の教職でやってきたことを実践したり、試したりしているんじゃないか。(「よく聞き、話す」「打ち解ける」「行動あるのみ」「縁を大事に」「振り返り」)

それは、学びがリアルに結実する瞬間だった。"特別活動"ってこんなに楽しいんだと思えるときでもあった。実際、これに関わった上回生は、ホクホクとした感謝の感想を後で残している。


同級生の中でのつながりを感じられたのも大きかった。普段はばらばらの専門で、ばらばらの個性で生活している同級生が、見えてきたひとつの方向性に向かって手を貸し合う感覚。提案すれば面白がってくれて、実現に向けてみんなで動く感覚。それを通じて仲が深まる感覚。ふしぎな充足感があった。

特に、上回生集めで教職の知り合いに声をかけて、「お!そんなら○日行けるよ!」と言ってもらえて、続々と集まってもらえたときの感激といったら忘れられない。


交流会で新しく出来た縁もあった。オンライン交流会で、私を含め小さなブレイクアウトルームに割り当てられたメンバーでたいへん盛り上がり、後日アフター会のzoomをもう1度しようということになった。その後、外出自粛が続くオンライン期間の間欠泉のように週に1度のzoomお楽しみ会は続き、30回を超える定期的なzoomを経て、いまや時にご飯に行くような関係性のメンバーになれた。そんなことって、普通あるんだろうか?


22年度。

後輩たちが新入生サポートをやってくれる予感はあった。

21年度の春や初夏のころに、もう、当時の新入生たちが、「来年は私たちが新入生の悩みに応える側に回りたいです!」と言ってくれていたのである。そうかあ、こうやって「気持ち」は連鎖するんだ…と、感慨深かったのを覚えている。

こうなったら、来年も新入生サポートが続いてほしい。今度は後輩たちが主役だ。

小さい背中の私は、一生懸命考えた。よし、熱のさめないうちに、もう手を挙げてくれている新入生たちでゆるいグループを作ろう。それで来年の春までの本格始動までの間に、ほんの少しお互いが関われる機会を作ればいいんだ。

直接の因果はないのだが、結局この小グループが、いまの楽習隊の流れにもつながっている。結局、同じにおいの人は同じところに集まるのだ。そういうわけで22年度教職サポートには、楽習隊の人が多い。

予備ミーティングと称して冬に1回集まるといった「つなぎ」の1年を経て、春。コロナ禍の新入生サポートは3年目を迎えた。

ひとつ下の2回生を中心に、去年の取り組みを踏襲しながらもさらにバージョンアップ。過去2年の「オンライン交流会」は、装い新たに「オンライン相談会」に。

前2年はコロナの影響が色濃く、まずは楽しく仲良く交流することが第一目標で、参加者も教職を取ると決めた人にほぼ限定していた。ところが今年は教職を取るか迷っている人も参加できる日程にして、そのうえで本格的に、履修相談に乗っている。

ニーズが移行しているのかもしれない。このあたりは、肌感覚として2回生の判断がより正しいはずだと、私は思っている。


「後輩を中心に自主活動を進める中で、去年を経験している先輩はどう関わるのがほどよいか?」というテーマも、ただいま現在進行形で体験しているところ。

主役は後輩なので、基本的に「一から十までおまかせ」。後輩から出される提案や指示に沿って、1プレイヤーとして動く。逆に私が提案しすぎると後輩も動きづらいだろう。だけど、私もメンバーの1人だから、当然「こうしたほうがいいんじゃない」とかを思うときは出てくる。ここが難しい。まさに特別活動論だ。


そんなこんなで今年も大いに学んでいるのだが、一番の醍醐味は、人とたくさん触れ合えることである。

キラキラの新入生は言うに及ばず、上回生側で話しているのも楽しい。去年の新入生サポート以来顔を合わせていなかった先輩とお話しすることもできた。

今年の2回生が、新入生を相手に「教職はいっぱい友達ができるから、もうほぼサークルだよ!」とか「この交流会も、この1年で知り合った同級生に声をかけたら続々と集まってもらえて、人に恵まれてたんだと思った!」とかと言っているのを聞いて、少しだけ、胸を熱くしていた。そうだ、去年、自分も同じ感激を味わっていたんだった。



背中の大きい先輩と、愉快ということばが似合う後輩と、何でも面白がってくれる同級生と、ほどよい距離感で見守ってくれる先生と、そんないろんな人をしなやかにつないでくれる教師という職業像や大阪大学という場所。私は「教職は部活!」と言っているが、本当に、素敵な人たちに出会えているのだ。

教師志望じゃない人間がしみじみと思う。教職っていいなあ。

そんなことを考えていると、村上春樹のようなタイトルの記事になってしまった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?