『台風一過』 植本一子
写真家で文章も書く植本一子さんの新刊が先週出て、いつもの通り一気に読んでしまった。
植本さんの文章は、『かなわない』から読み始めたのだが、何か惹きつける中毒性がありいつも一気に読んでしまう。好きか嫌いかといったら、好きな文章なのだけど、その一言では表しきれない、痛みというか何というか不思議な魅力がある。
もしかすると、植本さん本人の人柄がにじみ出ていて、植本さん自体の魅力に惹きつけられているのかもしれない。お会いしたことはないのだけど。
旦那さまで、ラッパーのECDさんが亡くなってから一年間の日々が、書かれている。読後は、はーと深いため息。
ぼくも、現実に目を背けず、がっぷり四つで、日々を生きるしかない。と、思った。
あ、そういえば植本さんの文章には良く食べ物や、ご飯の記述がよく出ていて、そこも惹かれる要因の一つなのかもしれないと思う。単純に自分が食い道楽で、食べ物が美味しそうと感じることもあるけど、食べる=生きるという感じがして、生々しい生命力を感じるし、それをのぞいているような背徳感みたいなのもある。誰かが亡くなっても、残されたものは食べる。寝る。
僕も同じく、食べて、寝る。単純だ。