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カメラと行く建築さんぽ#3 佐川文庫庫舎 高知県
Data
所在地 高知県高岡郡佐川町
竣工年 1886年(須崎警察佐川分署)
1930年 移築(青山文庫)
1968年 名称変更(佐川文庫)
1978年 移築(佐川文庫民具館)
2009年 移築
撮影機材 Fujifilm GFX50R GF30mm F3.5
佐川文庫庫舎の歴史
こんにちは。
だいぶ日中は暑くなってきた今日この頃、なぜか鼻水ズビズビでPCをポチポチしている平熱です。
さて本日はこの前行ってきた高知県佐川町にある【佐川文庫庫舎】をご紹介。
高知県にはあまり無いレトロな洋風建築。
東京や大阪の豪華絢爛な洋館とは比べ物にはなりませんが・・・
なかなか味がある、ほっこり建築でありましたよ。
まずはざっくりその歴史を。
1886年(明治19年)須崎警察署佐川分署として管内各村からの寄付により建築されたのが始まりです。
1922年(大正11年)に佐川警察署として独立し、その後1930年(昭和5年)に新警察署の完成、移転に伴い青山会に払い下げられました。
青山会とは簡単に言えば図書館、博物館を運営していた財団法人です。
佐川郵便局長であった川田氏が私費を投じて創設した高知初の私設図書館であった川田文庫。
その思いに共感した、同じく佐川町出身の田中光顕伯爵が基金と蔵書を寄贈され、町民有志により青山会が結成されます。
名称も川田文庫から田中伯の雅名であった青山文庫へ変更され、払い下げされたこの建物を図書博物館として移築、その歩みを再びスタートさせます。
1963年(昭和38年)に高知県立郷土文化会館が新設されると一時期休館状態でしたが、1968年(昭和43年)に佐川文庫と名称を変え再び図書館として開館しました。
それでも1978年(昭和53年)には閉鎖され、所蔵物は佐川町総合文化センターへ移されます。
建物自体も再度移築され、今度は民具の展示館として使用されました。
そして2009年(平成21年)に現在の場所へ移築されました。
移築だけで3回。
用途変更は4回に及びます。
そりゃその歴史も複雑にもなりますよね。
それでも都度都度取り壊しされず大事に使われてきた姿に、町民の皆さんに愛された建築だと思わずにはいられません。
白亜の洋風建築
それでは早速お邪魔します。
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瓦葺木造2階建て。
移築の度に補修や塗り直しなどもされたのか、全体的にあまり古さを感じません。
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高知県では古い洋風建築はあまり無くて、佐川文庫庫舎は県内最古の木造擬洋風建築との事です。
ちなみに擬洋風建築とは日本の大工などが西洋の建築家が設計した建物を参考に、見よう見まねで建てた西洋風の建築物との事。
当時は流行っていたのでしょうか??
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玄関周り。
青山文庫のフォントがかわいい。
それに柱上部のあの部分。
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ここ、ここ。
完全に猫の手ですね、これは。
遊び心があって、ゆとりある建築に感じます。
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青空に白亜の建物が映えます。
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裏側の出入り口。
リブ付きの枠がなんともおしゃれ。
シンプルな室内
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それでは早速中へ。
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入るとすぐ土間スペースとなっており、正面と右側に手すりがあります。
樽型の縦格子が特徴的。
靴を脱いで上がらせて頂きます。
ちなみに見学は無料、予約も必要無いようです。
ありがたい〜
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ちょうど今放送中の朝ドラ、らんまんの展示パネルがありました。
そう、ここ佐川町は牧野富太郎博士の生誕の地でもあります。
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モスグリーンに白色の壁がおしゃれ。
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このドアノブは竣工当時からの物でしょうか?
かなり古く見えます。
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2階への階段。
入り口にもあった特徴的な手すり。
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階段下のアーチ。
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2階に上がってきました。
シンプルながらも配色とライティングのおかげか凄くおしゃれな空間になってます。
中央には黒木の円卓が。
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ご自由にとの事でしたのでそそくさと座ってみました。
大きな部屋の中央にポツンと置かれたテーブルですので、控えめに言って全く落ち着きません〜〜
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壁際には庫舎の歴史を紹介してくれる大きなパネルがあります。
詳しく書かれていて大変参考になります。
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隅っこにガラス張りの部屋が一つありました。
そんなに広く無いですが・・・
今は民具館の名残か、古い農作業用の道具が展示されていました。
痛恨の撮り忘れ・・・
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建物のおでこの部分についていた、警察署時代のシンボルマークです。
現在は青山文庫マークが付いています。
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窓の鍵・・・と思われる物。
撮り方がヘボくて見えにくいですが、年季があり良い感じです。
やはりいろんな物の操作する部分や触る部分は当時の人々の営みを想像しやすくて見入ってしまいます。
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窓の鍵・・・と思われる物2。
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手すりは新しい物っぽいけど、階段はかなり年季を感じます。
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十分満喫して降りてきました。
外はカンカン照り。
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お邪魔しました。
最後に
それ程大きい建物では無かったのでサラッと見学する事が出来ました。
特別貴重な展示品がある訳でも無く、建築自体も凄くシンプル(特に建物内)なので短時間で見学可能です。
2階にある説明パネル(詳しくて読みやすい)を読み込んで細部を見ていくとジワジワ味が出てくる気がします。
ぜひ当時に思いを馳せながら過ごしてみて下さい。
1.高知では貴重な洋風建築
そもそもレトロな洋風建築が少ない高知県。
県内最古の木造洋風建築は貴重です。
それだけで訪れる価値があります。
特に白亜の外観は中々に存在感もあり、美しいです。
白い外壁なので、やっぱり晴れた日がおすすめ。
2.見学無料、予約必要なし
ありがたい事に開館中はいつでも見学可能です。
しかも無料・・・
本当にありがたすぎる・・・
更に撮影もokです。
3.佐川町は他にも見所たくさん
今放送中の朝ドラの舞台にもなっている佐川町。
小さな町ですが歴史のある地なので見所がいろいろあります。
新旧の酒蔵が並ぶ酒蔵通り、竹村家住宅、名教館、桜の名所牧野公園、土佐三大庭園のある乗台寺と青源寺などなど。
アクティビティ系は少ないようですが、グルメはなかなか充実しているっぽいです。
のんびり街ぶらしながらの大人旅にピッタリの街だと思いました。
ではでは、また。
最後まで読んで頂きありがとうございました。