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SIGMA fpL を手に入れた話

今夏カメラ機材を一新しました。
特に計画的にというわけではなくて、なんとなくポチポチしてしまっていたと言う感じで、気がつけばあんなに大好きだったGFX50RとX-T4は一台の小さなカメラに置き換わってしまいました。
カメラ機材を買うという行為は、一般サラリーマンの私にとってはそれこそ清水寺から飛び降りる覚悟を必要とする一大イベント。
今まではそれなりに検討を重ねて買い替えてきました。
求めるものは主に画質性能で、基本的には現状より良い画が撮れる物を追い求めていました。
買ってみたものの、こりゃダメだとなると大変な事になりますので(すぐに他に買い替える余裕はないのです💦)慎重すぎるぐらい慎重に検討してきました。

それが今回はなんとなく、フワッと物事が進んでいました。
本当に自分でも不思議な感覚でした。

数年前、GFX50Rを手に入れた時、とりあえず画質的には自分の範疇ではMAXだろうと思いました。
同時にX-T4も購入し、使い分けでスナップや動き物、そして動画はこれで大丈夫と思いました。
実際本当にこの組み合わせはとても良くて、撮れないものは無いと言えるほどさまざまな場面で大活躍でしたし、これからもしばらくはやっていけると思っていました。
富士の色も大好きでしたしね。

Fujifilm GFX50R

ですが。
魔が刺すとはこの事なのでしょうか。
今手元には一台の小さなカメラ。
シグマのfpLです。
なぜこのような事態になったのか今だに判然としませんが、とにかく突然思いつき、比較検討もそこそこにポチってしまったのです。
今までの慎重な機材選びからするとあまりにも大胆な選定でした。
売却の為にGFX50rとX-T4を箱に詰めている時には正直少し不安にもなりました。

そこから約1ヶ月半。
結論から言うと、現状とても満足しています。
とりあえずなんと言うかフィーリングが合う感じなのです。
使っていて手に馴染むし、シャッター音とかボタンの感触とかが肌に合う感じ。
使い始めて間もないのにすぐそう感じられるカメラというのはある意味貴重です。

見た目もシンプルで最高です。
ただの四角い黒い箱にレンズが付いているだけ。
なんとなくrollei35に通じる部分があるような気がしています。
レンズもコンパクトな物を選べば本当に気兼ねなくonでもoffでもどこにでも持っていけます。
その上フルサイズ6000万画素の画が撮れるどころか、RAW動画も撮れる。
最高じゃないですか。
購入直後の高揚感を差し引いたとしても満足度は歴代カメラの中で上位に位置しています。

SIGMA fpL

ただしfpLは決して万能なカメラではありません。
というか皆さんご存知の通りかなりのクセありカメラです。
事前リサーチで覚悟はしていましたが、欠点は多岐に及び完全に使う人を選ぶカメラです。
あれ?今電源スイッチ押したよね?って確認してしまうくらい起動はのんびりだし、AFも暗所では行ったり来たり。
ボディ内手ぶれ補正もありません。
ファインダーも無いので必要ならばオプションで別途購入の必要がありますし、グリップも無いのでそのままでは非常に持ちにくいです。(こちらもオプション品あり)
バッテリーの持ちも良くないですし、シンプルにボタンの数も最小限のため様々な機能割り当て等も厳しいです。
更に電子式シャッターしか無いのでローリングシャッターの問題が顕著です。
動く物は歪んでしまいます。
AF性能の点からもスポーツや車、飛行機、走り回る子どもなど動き物には向いていません。
つまりは最近のオートでなんでも撮れる、全部入りのカメラとは全く違うカメラです。

SIGMA fpL

多すぎる欠点にめまいがしてきました。
ここからは良い部分のご紹介。

まずは画質。
画質はfpLの売りの一つではありますが、正直初見は大きな驚きはありませんでした。
こう書くと怒られそうですが、今まで中判の画質に見慣れてしまっていたので致し方ない部分ではあります。
ですがフルサイズ6000万画素ありますので必要にして十分ですし、特にシグマのARTレンズと組み合わすと時折GFX50Rでも感じる事が無かったような、ハッとするような画が出てきます。
カメラやレンズの特性を考慮しながらその旨みを探すのも撮影の重要な部分。
この辺りはこれから楽しみです。
ダイナミックレンジは中判と比較する事自体どうかと思いましたが、なんのなんの。
数値的にどうかは分かりませんが、実感として大差はないように思います。
私はRAW撮影派ですが、確かにハイライトは若干飛びやすい傾向があるように思いますがローライトはすごく粘ります。
ですので基本暗めに撮ることで調整は可能です。

SIGMA fpL

京都のお寺なんかをローキーに撮るには最高のカメラだと思います。
私自身、ちょっと影のあるような暗い画が大好物なのでこれは嬉しかったですね。
解像感は必要充分。
fpと違ってfpLはローパスフィルター搭載なので解像感は若干失われているのかもしれませんが、6000万画素のお陰で気になりません。

センスの良いカラーモードも豊富です。
富士フィルムの色味が大好きだったのですが、fp Lも負けていません。
先にも書きましたが、私はRAW派なので家で現像する事が多いのですがカラーモードを基準にちょいと彩度を調整する程度でうっとりしてしまうような画が作れたりします。
富士フィルム機を手放す=あの色味を失うと感じていたのでこれは嬉しい誤算でした。

SIGMA fpL

拡張性の高さも売りの一つ。
何気に私が一番惹かれたのはこの部分かもしれません。
とにかく最初はシャッターボタンがついただけの、ただの箱なんです。
これを個々が必要に応じて色々なパーツを追加して機能を拡張できるようになっています。
その時の気分とかシュチュエーションによって簡単に足したり引いたりできます。
これは本当に楽しいし合理的。
例えば普段使いやスナップではファインダーレスでコンパクトに使いつつ、しっかり撮影に集中したい時はファインダーをつけてみたり。
リグを組んでポータブルSSDやモニターを載せたり、長時間の撮影時にはモバイルバッテリーを追加してみたり。
アイデアと工夫で様々なスタイルに作り上げる楽しみがあります。
長い時間をかけてカメラを自分なりに使いやすく”成長”させていく。
なんてロマンに満ち溢れているのでしょうか。

SIGMA fpL

動画性能の高さも魅力的。
なんと12ビットのRAW動画(cinema DNG)が撮れます。(外部SSDが必須ではありますが。)
内部SDカードでも8bitのRAW動画が撮れるのです。
これは本当に凄い。
PCのスペックやストレージをどうするか悩みはつきませんが、とりあえず撮れるだけでもありがたいです。
X-T4でも動画はたまに撮っていたのですがなかなか自分の好きな色に調整できなくて悩んでいました。
LOGで撮っていたのですけど、正直ピーキーでなかなか調整が難しいですよね。
私の撮り方と編集テクがショボいだけなのかもですが・・・
RAWならより自分の好きな色味が出しやすくなるのではと期待しております。

下にテストで撮影した短い動画を貼っておきます。
写真も混じっているので悪しからず。
お暇な方はぜひどうぞ ↓↓↓

以前はカメラは写真を撮る道具でしかない。
良い画が撮れるならなんだっていい。
画質の為には少々重くてもいいや、持ちにくくてもなんとかなる、カメラの形なんか全部一緒でしょ、みたいなノリでした。
とにかく優先されるのは出てくる画の画質であり、それを満たすカメラスペックでした。
中判→フルサイズなんて以前の自分ならまず選ばなかったと思います。
ですが。
今回初めて、画質やスペック抜きにこれを使ってみたいというカメラに出会いました。(と言いつつfpではなく画素数の多いfpLを選ぶあたりまだまだ引きずっています💦)
購入してからは撮りに出れない日もひっきりなしに防湿庫から出してきては触ってみたり、眺めてみたり。
もう変態です。
確かに今までも使い込んでいくと自然とカメラ自体に愛着は湧いたんですが、カメラを眺めながら美味い酒が飲めるみたいな感情は今まで一度も経験した事がありませんでした。
それが今回は違いました。
本当に自分でも不思議なくらいモノとしてこのカメラが気に入っています。
とても不便なカメラなのに。
なんなんでしょうか。
今までの私のカメラへの価値観をガラッと変えてしまったfpLの持つ魔力。
その根源はなんなのか。
これからゆっくりその謎を解き明かしながら使い込んでいこうと思います。

これからfpLでどんな体験が待っているのでしょうか。
本当に楽しみです。

SIGMA fpL




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