私と、私以外。

私の中での一番古い記憶は、父親との別れの日でした。
父はとても優しくておっとりとしたイメージの人でした。
仕事に出かける父を見送り、母と兄と引越しの荷造りをする。
パパは新しいお家にいつ来るん?」
何度も母に問いかけました。
「お仕事終わったらな」
同じやりとりを何日もしました。いや、恐らくしたであろうと思う。
記憶が曖昧でその日しか覚えてないから。

次にある記憶は、児童養護施設へ入所した日のこと。
「頑張ってね」
ただ一言。さようならもなく母は去っていった。

たくさんの子供たちに囲まれて質問責めに合ったのを覚えている。

入所初日に伸ばしていた長い髪も耳の丈までバッサリ切られた。
この日初めて両親は離婚したのだと察した。
母に捨てられた事が、なのか
両親の離婚が、なのか
父に会えないから、なのか わからないけれど
悲しくて悲しくてただ泣いた

しばらくして母から手紙が届いた。​

元気ですか?兄弟ができました。弟かな?妹かな?
どっちかはまだわからないけど、楽しみだね。

は????????????????

私の率直な感想だった。
兄弟?何で?その子は母に会えるのに私はなぜ会えないのか?
納得いかなかった。
まだ4歳だった自分にとって妊娠がどういうもので
赤ちゃんが十月十日お腹に居るとも認識していなかった。
ただ、母親をまだ見知らぬ赤ちゃんに取られたと思い込んでいた。
兄は手紙を読みながら嬉しそうに泣いていた。

何故兄が泣いていたのかわからなかった。

勿論、母の気持ちも到底理解もしていなかった

そして、児童養護施設での朝はラジオ体操の放送から始まる。

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ももも。
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