ドイツ短期留学を経て体感したことと、以後数年の進路の変化について
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先日の11月3日から20日にかけて、正規留学の事前視察と語学留学を兼ねてドイツに渡りました。
これはあくまで一度きりの短期留学の生活の詳細だったり感じたものを綴る文章ではなく、ドイツへの正規留学を目指す者が、現在のドイツを生で見てきて、長期滞在をすること、正規留学することというのはどのような意味を持つことなのかを見つめ直したその考えを綴ったものです。
数年前のネットの情報と現実の乖離
もしあなたが留学に行くと決めたら、どのように情報収集しますか?
私の場合は最も頼ったのはインターネットでした。
まだ渡航の月、渡航の年すら決まっていない正規留学の相談にエージェントに行くものなのでしょうか。もしかしたらその方が賢明だったかもしれません。
正確に言えば、インターネットで好んで情報収集をしたというよりは、インターネットの他に情報を得れる手段がなかったというのが実情です。
私は数年前から「留学」と言って咄嗟に想像されるような英語圏の国々ではなく、ドイツの大学への入学を目指していたため、そのような経験がある者はおろか、周囲に同じ目標を掲げる者すら先日の短期留学で初めて出会ったほどでした。
私がドイツへの正規留学を目指し始めたのは今となっては四年以上前の話で、情報収集したのがそれだけ昔であれば情報の精度が落ちていることは言うまでもありません。
また、留学というのはコロナ禍において最も打撃を受けた業界の筆頭であっり、渡航に関する規制がなされる中留学をする学生は著しく減少し、同時に直近の留学の情報について発信する人もまた減少していました。
実際に短期で留学してみてかかった費用はネットで調べてすぐ出てくる相場をはるかに上回りました。例えばネットで一ヶ月留学の費用の相場が30−60万と言われているのに対して、実際はそれより短い三週間弱の滞在にも関わらず70万円程度かかったようなイメージです。
それもそのはずで、当時のネット記事に記述されている生活費をはじめとした留学費用を今のユーロ円のレートに変換したとしても、日本円における必要額は1.3-1.4倍ほどになります。
加えて、ドイツはロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーの急騰などを要因に2022年10月にインフレ率12.8%に達するなど歴史的な物価上昇が見られました。現在は以前ほどのインフレ傾向は落ち着いたもののウクライナ危機前、コロナ前の物価と比較すれば物価が大きく上昇したことは否定できません。
このように短期間で円安と物価高が進行しているのにも関わらず、大手のエージェントすらネットに掲示する留学費用の変化を今なお更新していないのは紛れもない事実であり、実際に行くことでしか得られない情報の一つであったと思っています。
三週間弱のドイツにおける生活を通して、
“ 日本の生活の質は非常に良く先進的と言えるものの、日本人、特にアルバイトの最低賃金で働く学生は欧米諸国に出れば決して豊かではない ”
ことを強く肌で感じました。
現地における資金調達の重要性
少なくとも私の収入源は現状日本にしかなく、費用面の心配はしなくて良いと保証してくれる人がいるわけでもありません。間違いなく私の留学の命運は実際に海外に渡った際の私の現地における経済力が握っています。
日本で問題なく生活費を賄えるほどのバイトをしている私が、これから海外で働く上で課題となるのは語学力でしょう。
物価の上昇を実感するとともに、少なくともドイツの大中規模の都市においては自分が想像していた以上に英語が通じることも実感しました。実際理系学部の修士以上の過程では英語で教えられる学部の方が選択肢が多かったり、きっと英語でコミュニケーションを行うオフィスも決して少なくないことでしょう。
ただ、いわゆるMini-job, Mid-Job(日本におけるバイトのような労働形態)のほとんどの職場では、職種によってその程度は違えどドイツ語力が求められるのが現実です。
ここまで文章を読んでくださった人はお察しかもしれません。
生活のために使用するお金がここ数年で急激に増加したことにより、私は大学に入学してからそれまで想定していたよりかなり早い段階でドイツ語能力が求められるようになっていました。
私は入学前にドイツ語力の求められない英語で履修できる大学への入学を目指しているため、ドイツ語を使用してその能力を養うことを学校生活に期待することは無謀でしょう。最初の2年ほどの生活費が保障できるほどの貯金があればまだ未来の自分にドイツ語技能の会得を託すことも現実的でしたが、先日物価を目の当たりにして自分が今そのような金銭的余裕のある立場ではないことを初めて自覚したのです。
来年度冬学期の大学入学は時期尚早であるという結論
ここから導き出される結論は一つ、それまでの予定よりさらに1年入学を遅らし、入学前にドイツでの経済能力、生活能力を身につけるという選択をすることでした。
すなわち来年度の大学入学シーズンにドイツにわたり、ワーキングホリデービザを利用して一年間現地での生活費を自ら稼ぐことを意味します。
実のところこの選択は以前から念頭にあったものの、「日本でしか受験できない共通テストの受験まで国内に身を置きながらバイトで貯金をした」今年度の過ごし方を否定するようで自分の中で許しがたいものでした。というのも、ワーキングホリデーピザを利用して海外で自分その時々の生活費を稼ぎながら生活するというのは今年度も選択可能な過ごし方であり、バイトに注力して勉強がおろそかになった現状を見ると今年度の過ごし方について悔いざるを得ないからです。
ただ1年前を思い返せば高校が卒業できる確証もない、学校に通うこともままならず予定は正午を過ぎないと入れられない、毎日のように働く体力もない、留学に対するモチベーションもさほど高くない状態だったので人並みに活動できるようになっただけでこの1年は収穫が多かったのかもしれません。
一年余裕を持とうが
共通テストでの目標点数を上回る学力
三ヶ月ほどの滞在で現地で仕事を見つけられるレベルのドイツ語力
大学入学水準の英語力
を残り半年で獲得しようとするなど今の実力に見合わない難しいことをしようとしていることには変わりはありませんが、人生で初めて努力によって自分で思い描いた夢をかなえる経験にできたらと思っています。