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I AM A COMEDIAN テレビから消えた男

ウーマンラッシュアワー 村本大輔さんのドキュメンタリー映画を名古屋の映画館で観てきました。

私の知り合いが熱心な村本さんファンで、地元に何回か呼んでくれて、ライブを2回ほど観に行ったことがあります。

私はテレビに出ていた彼のことはあまり記憶にないので、ライブで初めて見るマンシンガントークとタブーのないネタ、そして彼自身から発しているエネルギーに圧倒されました。
笑いっぱなしだけど、少ししんみりしたり考えさせられたり、聞いているこちらもたくさんエネルギーを使って対峙するような独演会です。

原発の話、米軍基地の話、得している人損している人両方いて、議論しても進まないどうしようもない、日本では闇の部分。
那覇で偶然若者と米軍基地の話になったとき、若者から「興味を持ってくれてありがとう」と言われたそう。
賛成、反対どちらでもいいけど、無視されるのが一番辛い、と。

どうしようもない問題でも当事者の人たちはいる。
私たちは問題に関心を持って、考えて、話し合うことが大事なんだと、改めて気付かされました。
愛の反対は無関心。


映画のサブタイトルは「テレビから消えた男」。
テレビの漫才ショーレースで人気を博して年間200本以上も出演していた人が、ある時から段々と姿が見えなくなって、完全にテレビから消えるとはどういうことか?

テレビに出られないのは分かっていながら、自分のスタンスを変えず自分が面白いと思う世界を追求する。
努力して自分の力で獲得したものを捨ててでも、表現したい届けたいものがある。

相当な勇気と覚悟を持ったStay foolishの人だと思いました。

テレビから消えた後、彼の活動拠点はよしもとの劇場と全国各地のライブ会場になっていました。
そしてコロナ禍。独演会の予定は軒並みキャンセル。

アメリカに行ってスタンドアップコメディをやる!という目標が彼にはあり、そのための資金が必要です。
資金集めできない、喋る場がない、悶々としていた中、Zoomでのライブを開催します。
たくさんのお客さんの顔が画面に並んでいてみんな笑ってくれている。
彼は泣きながら「メディア(表現の場)がどうこうじゃないですね。結局は自分がどうするか、ですね。」と言っていました。

今やZoomやSkypeなどを使ってオンラインで何かやることは当たり前になりましたが、コロナが始まった頃はまだまだその土壌がなく、特にエンターテインメント業界の方たちにとっては厳しい時期だったと思います。

無事渡米することが出来て、ニューヨークの小さなバーのような店で、現地の人たちがそれぞれスタンドアップコメディをやっているなか、村本さんが登場します。
稚拙な英語で、しかもメモを見ながら喋っているので、正直面白くない。
ピクリともウケず、会場がシーンとするなか退場。

彼はこう言います。「若い頃は自分で椅子を並べるような小さいライブハウスでやっていたから、あの時と同じ道をもう一度通過しているだけです。通過できるかそこで止まるかは分からないけど(笑)」

強いなあと思いました。
40歳過ぎてから、異国でゼロからのスタート。

彼は「自分はもっと変身できると思う」と言います。
蝶になったけど、その先にまだ他の何かになれるんじゃないか?それが見てみたいと。

自分で自分を信じて、自分に期待すること。だからもっとやれる、もっと成長した自分が見てみたい。
格好いい生き方!

私も自分に期待して、10年後こうなっているはずという姿を描いて、どんどん前進しよう!と勇気をもらえる映画でした。