喜利の大壺vol.9〜一番すげぇのは、沖縄の芸人なんだよ!〜
2023年5月13日(土)20時前、僕は壺屋にある演劇場の前に立っていた。
白い壁のおしゃれな雰囲気。
ふいと上を見ると、えんじ色にラベンダーの看板には、「かさね」と白い文字が踊る。
ここは「壺屋演劇場かさね」、大喜利から漫才、演劇、カポエイラまで開催されるというイベントスペース。
初めての場所は緊張する僕が、ここへ来たのは、師匠であり、プロレス仲間であるひがっすさんが出演するからだ。
話を聞くと、沖縄のフリーで活躍している芸人さんがメインで出演し、ネタをするという。
僕は、関西居住歴21年を誇る、言わばお笑いの街で生きてきた男(自分で言うかね)である。
お笑い好きの気持ちが先走り、ニヤケ顔になりそうだ。
などと言いながら、お笑いに詳しいわけでもなく、批評やなんかができるわけではない。
ただただ、「お笑いを楽しむ!」を心の芯に据えやって来たのだ。
だから、このレポートも基本、「楽しかったよぉ」を伝えることになるだろう。
批評を見たい!という方には、肩透かしになることを先に宣言しておくことをご容赦願いたい。
ま、堅苦しいこと言わずに始めよう!
初のお笑いライブのレポ、スタート!!
前説〜オープニング
前説を担当していたのは、「八ツ橋ず」のたつきさんと、「ライ麦畑でつかまえて」の照屋さん。
前説の定番、拍手の練習では、「いいとも」定番の手拍子が決まらないと言う、なんともジェネレーションギャップを感じる場面もあったが、お客さんの気持ちはほぐれて、準備万端。
この状態にするのも、前説の腕の見せ所。それをしっかりとやり切った2人。それだけで、このライブの期待感はアップする。初手から楽しみで仕方ない。
オープニングは、司会の「めたりか」さんの呼び込みで、出演者全員集合で始まる。
今日にかける意気込みを語る芸人さんや、つかみのギャグを入れてくる芸人さん、なかなか個性的な面々。
え!?ピンなのに、そんな名前なん!?と言う芸人さんもいて、前説でアップした期待感が、倍率ドン!さらに倍!
自分の中で「神回やで」とつぶやいてしまうくらいに、個性が爆発したオープニング。
さあ、いよいよネタが始まる!
1.八ツ橋ず
前説で登場した、たつきさんと、現役女子芸大生・島シーマさんのコンビ、「八ツ橋ず」。
たつきさんの服がボウリング場のスタッフのようだったので、それをつかみにしようとしていたようだ。
しかし、これをオープニングで司会のメタリカ・一作さんにバラされてしまうというハプニング。
つかみネタを押し通し、笑いが起きたものの、島シーマさんは不満気。それはそうだろう、まさかボケを暴露されるとは思っていもみないのだから。
しかし、それをあえて押し切る度胸には拍手。笑いも起こっていたので、結果オーライ!僕は笑ってしまったので(笑)
ネタは教師と不良の生徒と言う、ベタな設定。だが、ベタだからこそ、ネタに幅を持たすことができる。
教師なのに生徒に謝ったり、生徒をただ引っ叩くだけだったり(笑)。
こう来るかな?を裏切るネタ作りがツボ。
また、島シーマさんの声が個人的に好きで、聴き心地が良かった。高いトーンで会場内にピンッと通る感じは、聞いていてスッと入ってきた。
1番バッターから、グイッと心掴まれる。
2.ひがっす
心の師匠、そしてプロレス仲間のひがっすさんの登場。
別の舞台では何度も観ているのは、沖縄のミュージシャンにしてコメディスター・照屋林助氏をオマージュした「照れ屋リンシュケ」。
掴みのフレーズ「りんりん♪」はお馴染み。ポーズ付きなので、観客に一体感が生まれる素敵なギャグだ。
今回は、僕が初見の「コギミ・コタロー」ネタ。
ラジオ番組というシチュエーションから、パーソナリティが言葉遊びで畳み掛けるネタは圧巻。
そして、コギミ・コタローにも掴みギャグ「ギミギミ」が!
これまた観客がやりやすいポーズがあり、会場が一緒に「ギミギミ」!
しかも、観客全員がギミギミしてくれたのは初めてだったそうで、興奮「ギミギミ」だったようだ(笑)
僕にとっては新キャラだった「コギミ・コタロー」、みっちり楽しめました。
3.沖縄UC
Youtuberでもある沖縄UCの2人。恥ずかしながら、知らなかった…。早速、Youtubeチャンネルを登録。
何とも言えない不思議な雰囲気を持つ、前田よっしーさんと、明るく元気なキャラクターの大平きいちさんのコンビ。
ネタは、世間にある「少年〜」を「中年〜」に変えたものをジェスチャーから想像して当てるクイズもの。
観客も、「何だろう?」と考えながらネタに入り込める。
きいちさんのジェスチャーは分かりやすく、サッと答えられるはずなのに、よっしーさんが斜め上を行く答えで(笑)、観客を沸かせてくれる。
よっしーさんは天然なのか、きいちさんが、おそらく正解であろう某少年誌の名前を答えたのに不正解と答える。
会場も一瞬「え?」となったが、どうやら「週刊」が入っているから、違うと思った様子(たぶん笑)。
これは面白くて仕方なかった。
2人の掛け合いは、仲の良さが伝わってくるし、ジェスチャーがコミカルで面白かった。
YouTubeもチェックしてみなくては!
4.ひこバランス
4番バッターとして登場したのは、ひこバランスさん。
見た目は、美容師さんにいそうな感じ(個人的見解です笑)だったので、どんな芸をするのかワクワクして見ていた。
フリップを持っての登場だったので、フリップ芸で押してくるのかと思いきや、最初の1回だけやって終わりという、シュールさ。
そこから始まったギャグもシュールさ満載。
世界のバランスが乱れているからと、自らの芸でバランスを取り戻すという設定で一発ギャグを連発する。
ギャグを連発するのだが、次第に不安になったのか、ギャグの説明を加えてくる当たり、僕のツボに入った(笑)。
ナイキのデザインロゴは言わずもがな、僕は南京錠のネタが好きすぎて笑いまくった。
人の良さも垣間見られるのに、繰り出すギャグはシュールそのもの。
シュール好きには確実にハマる!と断言したい。
5.いっさく
めたりかから、ピンでも出場のいっさくさん。風貌がダンディなのに、まさかのネタに会場は爆笑に包まれた。
登場はベージュのパンツ一枚。そう、裸芸だ。
そして、やったネタがまた、ニッチなところを突いていて面白い(笑)。
動物(ネタ中は終始「アニマル」と言っていたが)の骨格はこうなっている!的な豆知識を基にした、形態模写チックなネタ。
ペンギンはずっと空気椅子状態だとか、馬はずっと指一本で立っているなど、注目する点が玄人好みだなぁと感心した(動物の玄人なのか、お笑いの玄人なのかは謎だが笑)。
そして、1番の爆笑をかっさらったのは、まさかのハプニング。
モニターに映し出されるはずの映像が、映し出されず「初期化」画面が映し出されることに。
スタッフさんが必死に回復を試みるが、ネタ中には回復することはなかった(笑)。
その時、舞台ではいっさくさんが、ずっと形態模写ネタを披露していたのだが、その時に必死の顔をしていて、また面白い(笑)。
狙っていたわけでないのだろうが、その顔まで込みでネタではないかと思わせるほどの面白さだった(笑)。
ライブにはハプニングがつきものだが、ハプニングを完全に味方につけた最高のシーンを見ることができた。
ありがとう、いっさくさん。最後まで、スクリーンに何を映し出したいのかが謎だった点も含めて面白かった(笑)。
6.きゃんまーぶ
お笑いといえば漫才。
これは僕が20年以上、関西に住んでいたことに由来する偏見だ。だが、関西に住んでいると、漫才は何気ない日常のシーンにも登場するから、仕方のないことなのかもしれない。
そんな、漫才大好きっ子の僕に心にグサッと刺さったのは、きゃんまーぶ。
よしもと沖縄所属の芸人さんのようだ。
よしもとだから、漫才がうまいということはないと思うのだが、2人は本当に素晴らしかったと思う。
ボケとツッコミのリズムが、小気味良いので、観客もノリが良くなる。
ツーリングが大好きな人の癖というか、職業病のようなものを「本当にあるかも!」と思わせてくれる話術が面白い。
ボケの緩急もあるし、小笑、爆笑が詰め込まれていて、本当に漫才好きの僕には堪らなかった。
漫才万歳!きゃんまーぶ万歳!
7.ライ麦畑でつかまえて
前説で登場した、照屋さんはタンクトップ姿で登場。思っていた通り、ムキムキの素晴らしい肉体をしていた。
そして、相方はツバキさん。
出てきた時から、キャラ作りだとは思うが、照屋さんに対して素っ気ない態度。
それもそのはず、トレーニングしているムキムキの人が嫌いという設定(だと思いたいくらい表情の作り方が真に迫っていた!)。
トレーニングをしている人特有の明るく前向きなワードを投げかける照屋さん。
しかし、それを嫌そうにいなすツバキさん。
この温度差の出し方が面白すぎた(笑)。
「え、この子、本当に相方のこと嫌いなんちゃう?」と思わせてくれるくらいの冷たさ(笑)。
この演技力(であってくれ!笑)と、照屋さんの「〇〇なボディビルダーに〇〇されたの!?」というツッコミが面白くて堪らない。
男女コンビで温度差と聞くと、南海キャンディーズさんを思い出すが、それとはまた違った温度差が良い。
頼む、本当に演技であってくれ!と思わせるツバキさんの表情、最高だった。
照屋さんのツッコミのワードのチョイス、絶妙で面白すぎた(笑)。
8.あの素晴らしい日々
名前を聞くと、どんなコンビが登場するのかと期待してしまう「あの素晴らしい日々」。
なんとこれが、ピン芸人というのが面白い。
略称は「あのすば」や「あの日々」を推していたが、なぜか、一作さんに「あのちゃん」にされそうだったのにひと笑い(笑)。
そして、この喜利の大壺が初舞台になるという。
芸人さんがデビューする舞台が見られるのって、貴重ではないだろうか?
と同時に、老母心ながら、緊張しすぎてしまわないだろうか?などと思ってしまった僕に喝を入れてやりたい。
デビューとは思えないほどの堂々たるネタ披露!
記憶喪失になった人間が、仕事をこなす中で記憶を取り戻していくという設定なのだが、悪い言葉を吐く様が面白い。
客商売の人が言っちゃダメだろという言葉をバシバシ投げかける(笑)。
そして、個人的にクスッとしてのは、記憶を少しずつ取り戻す度に流れる音。
完全にパチスロの音。僕自身はやらないけれど、関西在住の頃の友達が、パチンコ大好き人間なので、連れて行かれた記憶がよみがえった(笑)。あいつ、今どうしてるかな?という郷愁を誘う、良いネタでした(笑)。
オチもタイムリープな感じがあって、もうちょっと見てみたいと思わせてくれる「あの素晴らしい日々」。注目ですね!
9. A16
A16と書いてエーイチローと読むそうだ。これも僕の悪い癖だが、「きっとおしゃれな芸風に違いない」と思い込んでいた。
しかし、オープニングで「クローズゼロ2を観たから影響された」と言ってはしゃぐ様を見て、その印象は崩れた。もちろん、良い意味で(笑)。
おしゃれすぎる笑いが苦手ということもあるのだと思う。鳳仙学園を意識したという、衣装はおしゃれだったが、中身は良い感じに弾けているようだ。
そんな僕の期待を裏切らないネタの展開。
サッカー日本代表の中にいた桐◯美玲が、巨大化するという展開に客席がポカンとなる中、ネタを進めるA16。
本人曰く、この瞬間は帰りたくなったそうだ(笑)。僕は笑ってしまったが、確かになんで桐◯美玲が巨大化するのかは分からないし(笑)、展開が斜め上すぎて、付いていけない人もいたのかもしれない。
しかし、発想がぶっ飛んでいると、次何が起こるだろうという期待感を持ってネタを見ることができる。
そして、さらに斜め上の展開だと、期待感は大爆発する。
もちろん、好き嫌いはあると思うが(笑)、僕は大好きなネタだった。
次ネタを見る機会があったら、きっと、「誰が巨大化するんだろう?いや、もちろん、あの女優さんに違いない!」と思ってワクワクして見るに違いない!
10.ようじ教
独特の雰囲気と言えば、この方、ようじ教さんだ。
登場はまさかのいっさくさんと半被り(いっさくさんが上半身も裸に対して、ようじ教さんはタンクトップ姿)にひと笑い。
手には「1+1=?」と書かれたフリップを持ちながら答えを観客にたずねる。
一瞬、会場はどうしたら良いのか分からない雰囲気。観客の一人が「2」と答えると、「なるほどね〜」を連呼しながら舞台へ帰っていく。
すると、今度はビンのフタの開け方が分からないようで、その方法を聞いて客席に降りてくる。
フタを開けると、「なるほどね〜」を連呼して舞台へ。
これを繰り返すのだが、この何とも言えない空気感が面白い。小ボケばかりかと思えば、ジーパンを頭からかぶって、抜けなくなったから脱がしてくれという大技(笑)まで。
芸人さんの持っている雰囲気は、大事な武器なのだろう。その雰囲気が観客に伝われば、会場全体を巻き込んだボケが可能になる。
キャーキャー言いながら参加するのも、ライブの面白さだろう。
最後はバナナの食べ方を教えて欲しいと観客の方へ。しっかりと皮を剥いたまで良かったのだが、まさかのバナナを食べられてしまうというハプニング。
オチをかっさらわれるという、大ハプニングに会場は爆笑。
まさか、こんなオチが待っているとは(笑)。
観客を巻き込んだがゆえのオチ。ハプニングだったが、これは最高に笑えるオチがつくという結果だった(笑)。
11.めたりか
めたりかは、ピンで登場したいっさく(一作)さんと、クレさんのコンビ芸人。
クレさんは、会場となっている「かさね」で開催されている、誰もが参加できる大喜利で有名な「大喜利の壺」の主催でもある。
喜利の大壺、トリを務めるコントは、まさかの「ケンシロウ」ネタ(笑)。
母の日イブということで、母親に母の日のプレゼントを渡すのだがしかし・・・という内容。
北斗の拳好きには堪らないシチュエーション。クレさんも顔と体にペイントを入れて気合十分(笑)。
一作さんお女装姿は、髭が見えるものの、「こんなお母さんいそう!」と思うほど(笑)。
ケンシロウが渡したのは、カーネーションと肩叩き券という、子供が送るプレゼントのど定番。
しかし、肩叩き券というだけで、その先が見えてしまう(笑)。
が、先が見えても笑わせてくれるのが、めたりかの真骨頂ではないだろうか。
予想通りながら、実はコリが取れていただけだったり、痩せただけだったりだが、最後は間違えて死んでしまう秘孔を付いていたという展開。
締めはやはり、名台詞「ユリアアアアア!」(笑)
北斗の拳の世界をうまく取り入れ、ベタな内容ながら、台詞回しと動きできっちり笑わせてくれる。
めたりかの2人、めちゃめちゃ面白かった!
目の輝きに憧れたよる
大いに笑わせてもらった「喜利の大壺vol.9」。
1番印象的だったのは、出演した芸人の皆さんの目の輝き。
人を楽しませることが、本当に好きなんだろうなということが分かる、キラキラとした目に、僕は感動したんだと思う。
だからこそ、僕も「もっと、もっと、もっと、もっと、もっとー!頑張るぞ!」と思わせてもらえた。
目を輝かせて、文章を書けるように努力したい。
そして、感動だけでなく、最高の笑いをいただいたことにも感謝したい。
久し振りに涙が出るほど笑った。
沖縄には、個性的で、雰囲気を持ったすげぇ芸人さんが、まだまだたくさんいるのだろう。
そんな、パワフルな芸人さんたちに会いに、僕はまた、ライブに足を運びたいと思う。
一番すげぇのは、沖縄のお笑い芸人なんだよ!イヤァオ!!
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