鉄鋼・非鉄金属の違いと快削材・難削材について【前編】
金属加工の現場ではさまざまな「金属材料」が使われます。
金属材料にはそれぞれ特性があり、素材と加工の組み合わせによっては、品質にバラつきがでたり、製品不良の原因になることも。
材料の選定は製品の「仕様」や「コスト」によって決められますが、切削やプレスなど 加工方法にあわせた材料選び も重要です。
代表的な「金属材料」の種類と特徴に【前編】【後編】に分かれてご紹介します。
金属の種類
金属材料に使われる素材は、おおきく「鉄鋼」と「非鉄金属」に分けられます。製品や加工目的によって、さまざまな素材が使い分けられています。
鉄鋼の種類について
鉄鋼は、金属材料のなかでも低コストで加工性がよく熱処理しやすいことから、たくさんの製品に使われています。
鉄鋼は工業製品の90%を占めるといわれ、産業機械や鉄道・航空などなどあらゆる産業の基盤となっています。
炭素鋼(鋼 はがね)
炭素鋼(たんそこう、carbon steel)とは、鉄と炭素の合金である鋼の一種で、炭素以外の含有元素の量が合金鋼に分類されない量以下である鋼である。加工が容易で廉価なので一般的によく使用される鉄鋼材料である。
SPCC(冷間圧延鋼板)
SPCCは、板金や「プレス加工」「曲げ加工」などで使われる板状の金属材料です。低コストで加工性がよいため、自動車や家電などの一般的な部品材料として広く利用されています。
SS材(一般構造用圧延鋼材)
SS材は、ビルや橋などの建築・土木で使われる「構造用」の金属材料です。
じん性(ねばり強さ)がありコストパフォーマンスも高いため、船舶などのおおきな構造物にも利用されます。
SS400など、SSの後ろに「引張り強度」をつけて表します。
溶接や熱処理はせずに使われるのが一般的です。
SC材(機械構造用炭素鋼鋼材)
SC材は歯車や軸部品など、「機械部品」の素材として使われる金属材料です。加工性がよく焼入れもできるため、強度が必要とされる産業用部品として広く利用されています。
S45C・S55C など、SとCのあいだに「含まれる炭素量」をつけて表します。
SK材(炭素工具鋼鋼材)
SK材はドリルやハンドツールなど、「工具」の素材として使われる金属材料です。硬さと耐摩耗性に優れているのが特徴です。
クロムやタングステンなどを加えた「SKH」は、マシニングセンタの高速加工にも広く利用されています。
SK95など、Sの後ろに「含まれる炭素量」をつけて表します。
合金鋼
合金鋼は「炭素鋼」をベースに、さまざまな金属を加えた金属材料です。
クロムやモリブデンなどさまざまな元素を加えることで、もとの金属よりも強度や機械的性能を高めることができます。
耐食性を高めた「ステンレス鋼」や、溶接性を高めた「マンガンモリブデン鋼」などが知られています。
鋳鉄(ちゅうてつ)
鋳鉄(ちゅうてつ)は、主に「鋳造(ちゅうぞう)」で使われる金属材料です。炭素を多く含むため融点が低く、鋳型のすみずみにまで金属を流し込むことができます。
内部のグラファイト(黒鉛)を変化させることで、硬さや切削加工性を向上させた「ダクタイル鋳鉄」とよばれる金属材料もあります。
高い強度がもとめられる、自動車部品やマンホール・水道管などに利用されています。
特殊鋼
特殊鋼は、鉄に炭素以外のさまざまな元素を加えた金属材料です。
添加する元素の性質によって、強度や硬度、耐食性・耐摩耗性など、材料に特性を持たせることができます。
【前編】はココまでです♪
次回は非鉄金属の種類や金属材料の「快削材」と「難削材」についてご紹介致します。
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