奥田塾に通って新作テキスタイルが出来るまで1〜腕の筋肉痛と戦う防染編〜
前回上げたテキスタイルの名前を「粒雪/tsubuyuki」と名づけてみました。
「札幌の白/初雪」というコレクション名にしたので、初雪を冠した名前にもしようかと思ったのですが、社内アンケート(と言っても2人)の結果「粒雪/tsubuyuki」に。
「粒雪/tsubuyuki」の方が実際の雪のイメージが伝わるかな〜と私も思いました。
https://note.com/herzensnacht/n/nf7ed34c98221
今日はそんな「粒雪/tsubuyuki」が出来上がるまでの過程を。
以前もお話したシルクスクリーンの様々な技法を学ぶ奥田塾に月一回、一年近く通いました。
https://note.com/herzensnacht/n/nee127f17a8bc
この奥田塾に参加していく中で、今回のコレクション「粒雪/tsubuyuki」を作り上げていったのですが、作りたいイメージは、現在は亡き、奥田染工場の社長である奥田博伸さんにずっと相談していました。
まずは雪の白の部分をどう表現するか。
生地の土台の白場を活かすのか、白を乗せて行くのか。
そこから技法が変わって行くからです。
まずはデザイン画を奥田さんに見せて、相談していきました。
相談してアドバイスを頂いた技法を実際に自分で染めて行く中で、量産が可能な技法かを定めていった部分があります。
まず奥田さんからアドバイス頂いた技法は防染プリント。
以下は防染プリントをした時のメモ(ずっとnoteの下書きに保存してありました)↓
[防染とは]
色が重なりあう部分の色が混ざらないよう、染め分けをするために、色が入らないよう防ぎながら染める手法のこと。
防染は薬剤などの反応を利用した科学的防染と、物理的に盾を作って防染する物理的防染の2種類の方法がある。
科学的防染も物理的防染もどちらも一方では防ぎ切れないので、両方組み合わせることが多い。
[今回の作成したテキスタイルの方法]
今回、レタルのサンプル生地を試験的に作成することにした。
先に奥田さんにデザイン画を見せたところ、白色防染がいいのではないか?ということで今回は防染に挑戦。
白色防染は、防染のバインダー(糊のようなもの)がついたところが色が染まらない仕組み。
それを踏まえて今回はシルクスクリーンではなく、手描きで柄を描いていく(正確にはスポンジでバインダーを塗布)
さらにその上に生地霧吹きに染料を入れて塗布した。
[結果]
手描きなので、加減ができるものの、かなりの人力。これは量産が出来るかが課題。
出来上がった布は、自分のイメージに近くなったけど、あと一歩足りないので、さらに試験と研究が必要。
良かったのは今まで机上の空論だったので、それが一個形になって進むことが出来たのが一番の収穫。
自分のやりたいイメージも明確になった。
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これをnoteにずっとアップしたかったのですが、デザインが先に見えてしまうと思ったので、あえなく寝かせておりました…。
この段階ではイメージだけでモヤッとしていたのが形になって、こんなことができるのか、と思った段階です。
このときの防染プリントからさらに図案に落とし込む段階の話は次回に続きます。
追記
八王子にある奥田染工場の社長である奥田博伸氏は2023年10月5日に急逝されました。
日本のプリント工場、生地工場、そして八王子の活性化のために尽力された方でした。
また知識も豊富で、常にクリエイターに寄り添って下さり、ご自身も作家活動されることを喜びにしていた方です。
亡くなられたことが残念でなりません。
ご冥福をお祈り申し上げます。