ADHDとか。その5

話が前後して申し訳ないのだけど(この前後する様もADHDっぽいなぁと思ったり)、30歳になる手前で2社目の会社を辞め、私はそこから呼ばれる仕事をどんどんやるようになった。

パタンナー、デザイナー、営業、生産管理、ライター、バーテン、果てはマネージャーまでやっていた。

ADHDなのに(笑)。

それのどれも今思い返せばあまり長続きしなかった。

今なら長続きしなかった理由がわかる。

30歳になって少ししてから、企画会社のデザイナー職の紹介が来た。

デザイナー職とはよくわからず面接したら、多分大丈夫でしょう、と採用になった。

実は最初の会社はパタンナー志望だったけど、デザイナーで採用が決まっていた。

でも、デザイナー職にピンと来てなかった私は、やはりパタンナーになりたかったし、後輩のデザイナーをイジメ抜いては辞めさせるチーフが、デザイナーを半年程度やった頃に私がパタンナーに転向することを勧めてきた。

今ならデザイナーの方が向いているのかなと思う瞬間もあるが、なんせ当時はパタンナーになりたかった(服を作っているのはパタンナーだと思っていた)ので、デザイナー職はよくわからないチャラチャラした仕事だった。

そんな私も、ADHDが発覚してパタンナーを続けるのは無理と思い、デザイナーをやってみることにしたが、最初はかなり苦戦した。

しかも、特殊な状況の会社に入ってしまい、本社は大阪、東京支社を作り、そこでたった一人社員として配属されたのが私だった。

営業もいないそんな状況で、取引が簡単に決まるわけでもなく、決まりそうな雰囲気になっていざ作ってみたものの、会議に掛けたら白紙になって決まらないみたいなこともばかりで、社内で一人不安な時間を過ごした。

責任感の強い私は、デザイナーの仕事に手こずりながら、会社に一人でいる苦痛を感じながら、時に精神不安定になって追い詰められつつも試用期間の3ヶ月を過ごした。

3ヶ月過ぎて、ようやく試用期間も終わり、とりあえずは給料が上がるかと思ったところ、社長から「東京の売り上げ立ってないから、あと半年給料据え置きでお願いしたい。私たちの給料を下げる訳にはいかないので」みたいなことを言われた。

私は最初それを飲み込もうとしていたのだけど、自己肯定度が少し上がって、さらに私は、これは今も悩みなのだけど、怒ると苛烈になるところがあり(症状として病院でも認識されている)、それまでの不安も加勢して、会社の言い分の理不尽さに(特に自分の腹は痛ませられないという)社長に怒ったのだった。

結果私は、会社をその4日後くらいに夜逃げのように追い出されてしまった。

そこから、生活に困ってしまい、カードのバイトをやったり、知人から仕事をもらってしのぎ、会社と闘うために労基に行ったり、裁判所に行くことを検討したりした。

今思えば人生で初めて自分のために闘った。

私はそこから理不尽なことが苦手になった。

自己肯定度が上がったものの、理不尽さを感じると、なんとなくやり過ごす、ということが出来なくなり、それが結果会社とケンカするハメになって仕事が続かない原因になった。

ただ、そのあともすぐして仕事の話が舞い込んだし、仕事が切れては話が来て、仕事が切れては話が来て、をちょっと前までは繰り返していた。

だから、ここ数年は運良くあまり仕事に悩むことがなかった。

ただ、転々としていく自分に不安はあったのだが。

私は、一応会社に入るとどっかのタイミングでADHDはカムアウトするものの、あまりそれを相手からそれを深刻に捉えてもらえず、最初は一生懸命やらなきゃと追い詰められてそれなりにパフォーマンスを上げるため、そのせいで仕事が増えたり、出来るじゃん、と思われて配慮されなくなることが多い。

そのことに理不尽さを感じたり、また搾取されてると感じた途端に耐えられにくなってしまう。

自分としては、配慮されてもらいたい、まわりに迷惑をかけたくない気持ちがあって、それなりに勇気を出してADHDを報告しているのに「そんな風に見えないよ」と言われてしまうのも、実は苦しい。

実際はそんな風に見えないよう一生懸命努力しているつもりだ。

時々、仲のよい人でも「あなたはそんな障害ではないよ」と言われることもある。

相手の気持ちを考えると嬉しいけれど、事実までなかったことにされるのは苦しいし、じゃあ「障害に見えない」「障害じゃない」とされて、人並みのことを要求されて、失敗して怒られるのはもっと苦しいことだ。

最初は順調に行っても、人間関係につまづいて仕事が切れてしまうというのもなかなか辛い。

理不尽なことや、例えば無駄に思える仕事に耐えられないことを、先日カウンセラーの先生に相談したところ、ADHDであればそう感じるかもしれないという風に言われた。

現在、フリーランスという形態をとり、様々な仕事を少しずつして稼いでいるのは、この人間関係の摩擦係数を散らすためと、同じ仕事を続けると飽きやすく、パフォーマンスが下がるので、そうならないようにするためのライフハックでもあったりする。

しかし、30代半ばになり、現在仕事が前よりも薄くなり始めている。

アパレルの求人は、以前は外注で済ましていたデザイナーやパタンナーの仕事を、社内で人を抱えてやろうとする会社も多くなってきて、私は年齢的なこともあるだろうが、仕事のことで悩むようになった。

「さて、どうしようか」が今の課題になっている。

#ADHD #発達障害 #ADHDとか #ヒグチトモミ #パタンナー #cakesコンテスト


いいなと思ったら応援しよう!