レタル展示会記録2:ピカレスクとコラボの件。
私は北海道教育大学の美術科を出たからか、ファッションの仕事に何年も関わっているのに、展示会というのがしっくり来ない。
しっくり来ないのに展示会をやっているから、うまくビジネスになっていないのかもしれない。
だったら、違う方向を向いた方がいいと思う。
高校時代はファッションの専門学校に行くか美術を学ぶために教育大学に行くか迷ったけど、大学に受かったこともあって大学に行った。
そして成り行きで陶芸専攻に行った。
最初は陶芸専攻であることに気乗りはしなかったけど、陶器に服を着せればいいんだと思って切り替えたのだった。
大学が終わって、やっぱり服の仕事に就きたいと思って上京してきた。
「自分はなぜ服が好きなのか?」と考えたときに、服は単なるデザインと呼ぶには、妙にアートのような揺らぎを含んでいるからじゃないかと思う。
陶器も毎日使うものだけど…服はそれよりも人間に近く、身体というものを纏い、それがその人のパーソナルを表現するものである。
その人のパーソナル性を表現すること、そこが揺らぎやアートっぽさを含むのだと思う。
言うならば服は、デザイナーが一次的に表現し、さらに消費者が二次的に表現するものなのではないか。
服だけ飾るのはもう違う気がする
セレクトショップが流行して結構な時間が経つ。
もう私達は服だけ売ってるお店では満足出来なくなっているようにも思う。
雑貨があり、ときには飲食もあり、そういうショールームみたいなショップがごく一般的になってきた。
私自身も服が好きだけど、服ばかり観ていると飽きがくる。
服って、ちょっと重いのだ。
白いシャツを沢山飾るという狂気性みたいなものは、前回の展示でやったので、今回はシャツ一つ一つにスポットを当てて、世界観を出していきたいと思った。
展示のコーディネーターを探しているときに、以前『流れる線の調べと空白のシャツ』でコラボした武盾一郎さんに相談したら、参宮橋のギャラリーを運営しているピカレスクの松岡詩美さんを紹介された。
↑武盾一郎さんとコラボした『流れる線の調べと空白のシャツ』
ピカレスクのサイトはこちら↓
https://picaresquejpn.com/
武さんは「松岡さんとヒグチさんは気が合うんじゃないかな」のようなことを言っていた。
参宮橋ピカレスクに行き打ち合わせをする。
実は一度打ち合わせようと思ったところ、私が風邪を引いてしまい、延期となった。
Piという看板が印象的なピカレスク。
お隣の大家さんが陶芸作家ということで沢山の陶芸作品がギャリー前のスペースに並ぶ。
前回書いた汐月陽子さんがコーディネーターをすることになったので、ピカレスクの松岡さんには、ピカレスクの作家さんの作品を委託してもらうことにしたのだ。
汐月陽子さんの話はこちら↓
レタル展示会記録1:汐月陽子さんを召喚する。その理由とは?
https://note.mu/herzensnacht/n/n0338191613c2
ピカレスクのオーナー松岡詩美さんのこと
ピカレスクのオーナー松岡詩美さんは、もともと東京芸大の先端芸術学科を出ている。
ちなみに高校時代の私の行きたい学科であった(笑)。
芸大生だった松岡さんは、自由なはずなのに型に縛られている現代の日本のアート業界の在り方に疑問があり、自分が作家になるのではなく、作家とお客様を繋ぐギャラリーの仕事をするようになったそうだ。
アートギャラリーの敷居の高さにも疑問を感じたため「わたしにちょうどいいアート」というコンセプトでピカレスクを始めたらしい。
ちなみに“ピカレスク”という名前は、スペインを中心に流行した悪漢小説を指すのだそうだ。
私は文学にひどく疎いためわかっていなかったけど、汐月さんが不思議に思ったらしく、松岡さんに「なんで“ピカレスク”なのですか?」と聞いていた。
松岡さんは「今の"絶対的正義"に対して、別の観点、立場から"NO"を打ち出してゆく物語性に共感して。ピカレスクヒーローって、悲しい最期が多いんですが、ああいうアンチテーゼも魅力的で…」とお話ししてくれた。
あのルパン3世なんかもピカレスクヒーローにあたるんだそう。
松岡さんは、ふんわりした感じでとってもキュートな女性だったけど、芯は強い方なんだろうなぁと思った。
ピカレスクは会社登記されてるらしく、私としては頭が下がるばかりだ。
ピカレスクとのコラボ
レタルとしては、服の世界観を強化するためにピカレスクの作家さんの作品を一緒に展示をする感覚なので、ロイヤリティなどは手数料程度の契約にした。
本来なら「貸し出し料」を払うくらいのことだと思うので、ロイヤリティをもらうのもな…と思いつつ、その分作家さんの宣伝や、販売を頑張ろうと思っている。
作家さんの紹介などはおいおいやります。
2回目に汐月さんも同行してピカレスクに行ったのだが、汐月さんが「森っぽい!」と言っていた。
ピカレスクは松岡さんのふんわりとした、しかし芯のある魅力がそのまま現れたような作品が多く、それが森のような印象なのかなと。
レタルはもう少しシリアスなので、ピカレスクの中でも少しシリアスなものをピックアップした。
アクセサリーは顧客様を思い浮かべながらピックアップしてきたので、ぜひ楽しみにしていて欲しい。
そういうアート作品も含めて、今回はインスタレーションのような感覚の展示を目指している。
展示会の入り口としては、「服を買う」という即物的な行為ではなく、「服を含めて展示を観る」という行為を楽しんでもらってから、「買う」という行為に繋がっていけばいいなと思う。
それがこれからの服の一つの在り方な気もしているので、そういう取り組みとしても表現していきたい。
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2019年白いシャツの店レタル展示会
会期:5月23日(木)〜26日(日)
会場:西荻窪ギャラリーステラ
〒167-0042 東京都杉並区西荻北3-13-11-1F
5月23日 16時〜20時
24日・25日 11時〜20時
26日 11時〜18時30分
レタルの新作の白いシャツの展示会となります。
レタルのシャツ以外に参宮橋ピカレスクギャラリーからアート作品とアクセサリー、Miyako Gotoの帽子を一緒に展示販売します。
『いままでのシャツ』も注文可能です。
本展示会は受注生産となります。
お支払いはVISA/Master、代引き対応可能。
9年目に突入するレタルの新しい世界観をどうぞお楽しみにくださいませ。
白いシャツの店レタル
http://retar-amip.jp
問い合わせ
retar.amip@gmail.com
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