もったいないオバケ
「ケッ、またノーマルかよ!レア全然出ね―じゃん、インチキかよ」
「ヤスくん、今度カら3丁目のスーパーで買わネ?」
愚痴をこぼしながら並んで帰宅している男性2人組は高校2年生の仲良しコンビ、ヤス坊とアランドロ。
ここいら一帯では喧嘩最強として知られる不良で、ブカブカの学ランには彼らがまだ習っていないなんか強そうな漢字の刺繍が入っている。
2人は校則で禁止されている買い食い行為をおこない、オマケシール付きのウエハースチョコ「世界の毒サソリチョコ」を買ったがお目当てのものが出なかったのだ。
「はー、流石にこのチョコも食い飽きたよなー」
潜水艦艦首リーゼントのヤス坊が言う。
「捨てチゃエばイイっしョ」
金髪マンドリルヘアーのアランドロが答える。
ヤス坊が軽く頷いてチョコの袋を道端に放り捨てたそのときだ!
「KORRRRRRRRRRNNNNNN!!!」
キモイ雄たけびと共に前方電柱の影から異形の存在が彼らの前に立ちはだかったのである!
頭部にはクリーム色の歪んだ円錐のようなものを被り、両手の指先にはまるで付け爪のように同じような円錐状物体を嵌めている。
「な…なンダてめェ!!」
アランドロの誰何の声にその存在は地の底から響くような不気味な声で答えた。
「オレはもったいないオバケ、とんがりコーンverだ」
「ざけんなコラー!」
ヤス坊が襲いかかるがオバケは半身でパンチをかわすとその胴体にコーンクロ―ボディブローを撃ちこむ!
「ゲバーッ!」
胴体貫通しヤス坊死亡!
「このヤロォッォ!」
アランドロが折りたたみ式警棒で襲いかかるがオバケはヘッドバッドで警棒粉砕!返す刀でアランドロの両眼にコーンクローサミングだ!
「ズボボーッ!」
後頭部まで貫通しアランドロ死亡!
2人が動かなくなったのを確認したコーン男は、ヤス坊の捨てたチョコウエハースの袋を拾うと、中身を齧りながらこう言った。
「ちっ ノーマルかよ」
【おわり】