イッキューパイセン
【橋】
「このはしわたるべからず」
そう立て札のある橋を前にして、イッキューパイセンは髪と筆、
いや違う髪は無いんだった。
紙と筆を懐から取り出すと、一筆「ブリッジ」と書いて立て札に貼りつけたのである。
なんたる発想の転換であろうか。
もはやブリッジになった橋を彼は堂々と渡り切った。
【屏風の虎】
イッキューパイセンに興味を持った領主が難題を出してきた。
「この屏風におる虎を捕えてみよ できなければ首をはねるぞ」
パワハラだ。
だがパイセンは動じない。
「シャレか」
「えっ」
領主は戸惑う。
「虎と捕えてをかけたシャレか」
パイセンの畳みかけ。
「いやそんなつもりでは…」
「つまんねえんだよ!」
パイセンの左フックだ!
【おわり】