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クビツリさん
「まず最初に、あなたは自分に不利だと思うことはわざわざ話さなくていい権利があります。これは嘘をついて良いという意味ではありません、わかりますね?」
「はい、わかります」
「それではあの日、副島雄介さんに何が起こったのか、順を追って聞いていきたいと思います。副島さんと知り合ったきっかけはなんですか」
「はい、えーと…あの、SNSっていうんですかね。それのなんかこう…世の中が嫌になっちゃった人が集まるような…グループがあって…」
「はい」
「そこでソエさん…あっ、副島さんに”ラクに終われる方法があるから一緒にやらない?”って声かけられて…あ、先月の30日ころです、履歴みるとわかるんですけど...」
「はい、大丈夫ですよ。で、どうなりましたか」
「それで、何回か連絡を取り合って、今回事件のあった日、ええと10時だったと思います。深山公園で一緒にすることになったんです」
「10時というのは午後10時ですね、するというのは何を?」
「あっはい午後です。するというのはその…ソエさんが言ってた楽に死ねる方法ってやつで」
「その方法について具体的に教えてください」
「はい、ソエさんは”クビツリさん”って呼んでて…」
「クビツリさん?」
「はい、目を閉じて”クビツリさんクビツリさんお願いします”って唱えたあと、その場でジャンプすると本当に首を吊ったみたいになるって」
「貴女はそれをソエさん、えーつまり副島さんと一緒に試したんですね?」
「でもあたし、ジャンプするときに怖くなって目開けちゃって。ああもうソエさんごめんなさいあたしごめんなさいあたし」
「落ち着いて。誰も貴女を責めませんよ。それでどうなりましたか」
「ソエさんが、横見たらソエさんが倒れてて…ああ!あたし…ソエさんごめんなさいごめんなさい!」
「大丈夫です落ち着いて落ちつ…あ、大鳥君、今聴取中なんでタバコ消してもらっ」
「ヒアブリさんヒアブリさんお願いします!」
《続く》