The negotiator 映画
アトラクション系サスペンスアクションムービー。第三者視点で時間設定が直線で単純なため、エンターテインメントとして観ているだけでたのしい、そんな定番のおすすめ映画だと思う。 時代はまだポケベルが使われ電話も牛乳パックくらいの大きさな80、90年代、テロ事件や立てこもり事件で犯人と交渉役を仕事とするダニー・ローマンが主人公だ。ある日、相棒であるネイサンが警察年金基金が横領されていることに気づくが、何者かにそれが露呈し殺されてしまう。後日ダニーの家から横領の証拠が発見され彼は殺人と横領の罪で逮捕される。しかし、納得できない彼は殺人、横領の黒幕を暴くため壮大な立てこもり事件を引き起こす。交渉人対交渉人の勝負が幕を上げる。
交渉人と交渉人がお互いの最大限のスキルを使って対立して進んでいくサスペンスである本作だが、複雑な心理テクニックや交渉術が見え隠れするわけでもなく、むしろサミュエルのアクションに注目してしまう。脚本上緊張する場面が多いため、登場人物の顔がアップされる回数が多いため、通常は少し長いなと感じてしまいがちだが彼は違う。人質を取る表情、妻と話す表情、同情を誘うスピーチの表情、怒り狂って乱している表情(本当か演技かはわからない)など豊かな表情は見てて楽しい。
さて、少し撮影面の話をしようと思う。この映画は、全体的に色が少ない。ほとんどが暗い、冷たい色で固められていて怪しげな雰囲気をずっと醸し出していた。唯一の白はネイサンの葬儀だけだろうか(印象に残ったのがそれだけ)。そして、なんとなくダニーの肌の色、服装、背景色など映画の多くが茶色を基調としていた。茶色から連想される感覚は“大地”、地球の全ての基盤となる安定な色である。これは主人公ダニーを連想する。冤罪犯として追い詰められたはずの彼は、決して自分をなくさず、必ず自分の思う通りになると信じきっている彼の安定感、どっしりとした構え、信念の貫きが映画全体を通して伝わってきた。また彼以外のほとんどを白人で埋めることにより彼の茶色が際立ちより一層信念が強調されていてわかりやすい。
細かいところは90年代アクションハリウッドなので見ては行けないのだが、ラストシーンでのはったりや立てこもりからの脱出など非現実的で目に余る映像もある。しかし、エンターテインメントとして、アトラクションとして何も考えずに見れる映画としてすごく楽しいものになっていると思う。キャプテンマーベルのサミュエルとも映像がかぶるし(キャプテンマーベルではサミュエルが若かりし頃になるよう特殊編集されているため見た目が同じ)この時期に見て楽しかったなと思う。
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