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小説 第一回AI Selection (5) 銀河
2032年紆余曲折がありながらも、世界をカバーするメタワールドが完成した。いくつかのグローバル企業が連携して作り上げたそれは、Univ#Earth と呼ばれた。しかし各国で、その国独自の呼称が作られて、日本は、銀河と言う名で呼ばれることとなった。
銀河には自動翻訳が標準装備され、バーチャルリアルティの世界で、人々はどこの国の人たちとも母国語で会話ができた。また仮想通貨により、銀河内で売買が可能で、特に絵画や音楽、電子書籍、映像、教育まで、銀河内で取引され、多くのユーデューバーは、銀河に居住し、そこに自らの放送局を設立した。
一般ユーザーは、何かを得るときのみ、仮想通貨による支払いがあ必要となったが、何かを売るものは、それぞれにテナント料と銀河内における販売税が課せられた。
銀河には小学生になることには、みんな自分のアバターを作るようになり、老人もまた自分の分身をそこに作った。アバターは死ぬことはなく、仮に本物の人物が死んだとしても、アバターは生き続けた。
アバターは、Yomi Toを通じて、実際の人物の性格とリンクし、独自の思考を持ちえた。本物を失ったアバターは、創人と呼ばれた。震災後は、多くのアバターが創人となった。
地震や津波により亡くなった人を探す場合は、銀河の中で、その人を訪ね、創人かどうかで確認ができた。
創人の頭には、輪がついていた。
僕は、銀河の中で、百々野津まり。つまり女性のキャラクターだった。そして、一年前、彼女が初代首相となった。