共創する力と即興性〜ピンチをチャンスに変える力〜
インプロショーと呼ばれる即興演劇を人前で見せるエンタメがあります。私は観るのも出演するのも大好きです。
インプロ(即興演劇)ショーとは、お客様からアイデアを貰い、その場で打ち合わせをせず即興で物語を共創していきます。
少し前にインプロショーの中でチームワークががたがたと崩れる瞬間を目撃し、少し悲しい気持ちになりました。
ある一人のプレイヤーが出したアイデアが少し突飛だったために、他のプレイヤーがそれに拒否反応が生じました。そしてそのアイデアを受け入れなければいけず、話が発展しても違和感が残りながら演じていくので、なんとも言えないぎこちなさを残しているのです。
インプロの特徴としてあるアイデアが決まったら、それを受け入れなければどうしようもないときが存在します。例えば、そのアイデアが非常に興味深いものだったり、興味深くしてしまったときです。お客様に期待させてしまい、その続きが見たいと思わせてしまった訳です。
私が悲しくなり、チームワークがガタガタと崩れていく瞬間、その元となったアイデアは、私は少し突飛と書きましたが、他のプレイヤーにはそうは思えなかったようです。受け入れがたく、本人に責任を取らせるように本人への静かな詰問が始まりました。
その静かな詰問は悲しいかな、インプロの玄人にしかわからない形で表現されました。突飛なアイデアが出た場合、正当化という作業がインプロでは必要になってきます。お客様もえっどういうこと?と思ったときにすかさず他のプレイヤーがフォローする訳です。
そのフォローが明るく素早く表現されたときは笑いに変わったり、拍手が起きたりもします。
今回は、そのフォローがなく、困っている本人に質問で決めさせる行為に出ました。明らかに演じているキャラクターのセリフではなく、プレイヤーとしての怒りがあらわに出ていたのです。
しかもショーが終わった後にもそのことに対してお客様が見ている中でその本人を罵っていました。自分がさも正しいかのようにです。
インプロは非常に難しいものです、ちょっとしたミスや大きなミスが頻繁に起きます。それをどう捉えフォローできるか毎回試されます。
私たちは心理的安全性アンバサダー認定ワークショップではYes andという肯定的にまず受け入れリアクションし、そこで生まれてきたアイデアを付け加える手法を核としています。
Yes andの一つの考え方として、Yesで
『それはちょうど良い!』と肯定的に受け取り、ピンチをチャンスに変える発想を生み出す発想手法、コミュニケーション手法があります。
誰かミスをしたときに、『それはちょうど良い!』と肯定的に受け取って、ピンチをチャンスに変える発想をし、明るくすぐフォローに入る。この一連のコミュニケーションが出来たら見ているお客様は喝采し、チームワークもぐんと上がります。
日常や業務の中においても誰でもミスをすることはあります。それをどう瞬間的に肯定的に捉えチャンスに変えることが出来るかが心理的安全性の醸成には欠かせません。
さて、静かな詰問をしてしまった他のプレイヤーはどうするべきだったのでしょうか?
この状況は、2つ前の投稿で『場を瞬間的に理解する力』で書きましたが、観客と他のプレイヤーの中でズレが生じた瞬間です。
観客はそこまで突飛なアイデアだと思っていない、むしろ思い切り飛び込んで欲しいと思っていたわけです。
お客様は今どう思っているのだろうか?と考えることが出来れば、自分たちは突飛だと思っていてもお客様はそう感じてないはず、『それはちょうど良い!』と考えて、このアイデアを深掘りし正当化して納得できるまでちょっと話し合ってみようとなります。
もちろん本人との関係性があり溜まりに溜まったものが出たのかもしれません。ですが、やはり観客からしてみれば不快な行為でした。
インプロの厳しさは演技力がプロ並みに優れてないとそのときの感情を隠せず、ピンチの時ほど漏れ出てしまうことです。インプロにはインプロゲームというエクササイズがたくさんあります。ありのままの自分自身を隠すことが出来ないインプロのエクササイズは自身のコミュニケーションを写す鏡といっても良いかもしれません。
長くなりましたが今日はピンチをチャンスに変える力についてでした。
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