RubyKaigi 2023という冒険
RubyKaigiで発表した
5/11〜13に松本で開催された今年のRubyKaigiで発表しました。
福山を前日の夕方に出て名古屋で前泊し、翌朝会場へ。
発表のタイトルは、「The Adventure of RedAmber - A data frame library in Ruby」で、Apache Arrowを利用したRubyistのためのデータフレームライブラリについてのお話でした。発表のスライドはこちらです。
私の発表は3日目の午前中のRubyKaigiCで、Open Studioという名前の通り少し明るい感じのとても心地良い会場でした。聴いてくださった方、本当にありがとうございました。
兎が逃げる事件
発表には Rubyist御用達のプレゼンツール Rabbit を使わせていただきました。Rabbitは単独でもスライドを作ることができますが、私の発表ではデータフレームを表形式で表したものを多用していることと、従来からドキュメント用に作ってきたKeynoteの素材があったことから、スライドをpdfに落としてRabbitのビューワーとしての機能とタイマー機能(ウサギとカメが追いかけっこするやつ)を使うことにしました。
私のGithub/Twitterアイコンは鳥獣戯画の蛙なので、タイマーに鳥獣戯画に登場する兎と蛙の画像を使うことにして、会場で作者の須藤(@ktou)さんに画像差し替えのためのtheme設定を教えていただきました。当日使ったアイコン画像とタイマー設定とスライドpdfファイルは下記に置いてあります。
ところが発表の前にスライドの表示確認をした後、タイマーのリセットを忘れてしまい、発表が始まったら兎がどんどん先に進んでいるという事件が!
発表中の私の頭の中では、発表を続けているメインスレッドと、「なにこれ?時間がわからん!なんで?どうしたら直る?」などと考えているサブスレッドがCPU時間の奪い合いをしていました。
そのうちサブスレッドが、手元にあるオフィシャルの30分タイマーと進捗を表す蛙のアイコンを組み合わせれば何とかなることにようやく気づき、「兎が先に行ってしまって動揺しています」と口にする(エラーメッセージを出力する)ことでちょっとだけ笑いを取ることができました。
おそらく、カメさんとウサギさんの仲を引き裂いてウサギさんに慣れないタイムキーパーの役をやらせたための祟りだったのでしょう。Rabbitで今後このようなことが無いように次の日に四柱神社と縄手通りの蛙さまに発表安全のお祈りをしておきました。
初めてのRubyKaigiは?
私にとっては初めての現地参加でもありました。私の本業は電子部品の開発技術者で仕事でRubyを使うというわけでもないので、この業界に知り合いがいない参加者でした。それでも、Day1のオフィシャルパーティとDay2のMNTSQさんのパーティで色々な方とお話しすることができました。Rubyistの熱をひしひしと感じました(私の業界とは大違い)。
Day1の夜の後半では Red Data Tools の2次会にも参加できて、現地参加のメンバーとお話しできたのもとっても良かったです。
研鑽本はちゃんと持っていったので作者のサインをいただくことができました!しかも2日目には須藤さんについて行ってJeremy Evansさんとお昼をご一緒することもできました!翻訳の方が本の大きさがコンパクトという話から日本語の記述能力が高い話を経て、お寿司で出てくる漢字にまで話が及んだりして楽しかったです。また研鑽本の方が原著よりもコードが綺麗にハイライティングされているので良い、とも仰っておられました。ちなみに、「新しいアイデアを思いつくのはどんな時ですか」の問いの答えは「シャワーの時」とのことでした。
Day3終演後〜Day4
Day3の土曜日は妻が松本に来て、昼間は草間彌生美術館などを回っていました。 Kaigi終了後に合流して新三よしで馬肉料理を頂きました。
Day4は、松本に来てからいわさきちひろの美術館が近くにあることを知ったので、天気のことも考えて午前中は松本城と街中散策、午後は安曇野ちひろ美術館に行くことにしました。
松本城天守はびっくりするほど急な階段で、妻は帰ってからしばらく筋肉痛に悩まされていました。落ちたら恥ずかしいので相当踏ん張って降りたらしいです。
松本駅から大糸線で信濃松川に向かい、そこからタクシーで移動の予定だったのですが、タクシーが遠くまで行っていて戻るのに40分くらいかかるとのことで、安曇野の田舎道を30分歩くことにしました。雨が降ったり止んだりの天候で北アルプスも見えなくて残念でしたが良いハイキングになったと思います。
ちひろ美術館では彼女の描く愛らしい子供の姿に心が浄化されていくのを感じました。一方で、時代を象徴するように戦争と子供たちに関係するテーマの展示もあり、胸を打つものがありました。
美術館からの帰路も結局歩きました!頑張れば一つ前の電車に間に合いそうだったので25分で踏破!図らずも信州の自然を感じるハイキングの実績も解除してしまった我が家の冒険でしたが、妻も私も大満足の松本旅行となりました。
偉大なRubyに石を積む
帰ってきてから、曽野綾子の「湖水誕生」の舞台となった高瀬ダムが近くにあることに気づきました。高瀬ダムは現地にある石を積み上げて作られるロックフィルダムというタイプのダムで、そのタイプのダムとしては日本一の高さだそうです(全ダムの中でも黒部に次いで2位)。いつか行ってみたいです。
ダムは完成したらそこからさらに石を積むことは無いし、そもそも誰でも工事に参加できるわけではないけれど、私たちRubyistはRubyという偉大な言語が形作る世界にちょっとずつ小石を積み上げていくことが許されています。私も少しずつRubyの世界に貢献してRubyistの皆さんに再会したいと思っています。