コロナvs 日本自動車業界

製造業における自動車産業の依存率は2018年度には自動車・同附属品製造業は製造業の売上高の約17.5%を占めると言う。

インパクト大のTOYOTA

その17.5%の中でもトヨタ関係の占める割合は多い。
売上高割合は17.5%中約7.5%。全産業の中では2%。
営業利益は製造業の中で12.9%,全産業では約3.6%。

日本の労働力人口のうち0.7%にある46万人はトヨタの従業員だと言う。

全産業においての自動車業界

日本が世界に誇る化学関係業界では、成長戦略として「自動車メーカーの軽量化ニーズへの対応」をあげる企業が多いと言う。
鉄鋼業界の普通鉄鋼材の需要の約4分の1は自動車向けで、もちろん自動車部品業界の自動車依存も顕著である。
それに危機を覚えた自動車部品メーカーは生き残りをかけて、他業界への横転換を狙い、その最たる例が三菱重工の「スペースジェット」。
部品業界に新たな市場を・・・!と思う経済産業省の思惑が働いた結果である。

半導体は完成品を作るメーカーは日本からはもういないが、自動車業界は完成品を作るトヨタ・ホンダなどがいるからこそ、ここに依存する体質が出来た。

だからこそ、よく聞く「自動車業界がコケると日本経済がこける」はここからきている。

2020年度決算説明会でのトヨタ

自動車業界王者のトヨタは2021年度3月きの営業利益は5000億と(前期比79.5%減)と発表した。

「コロナショックはリーマンよりもインパクトは強い」

2021年3月期の前期比と比較した79.5%がその厳しさを表現している。

自動車業界には「CASE」(コネクテッド、自動運転などの4つの技術トレンド)の波がコロナ直前は押し寄せていた。
車が巨大なスマホ化する100年に1度の大変革期を迎えようとしていた。

そこに世界販売台数が21年3月期に2割減となる大減産となるコロナショックが起きる。

自動車業界以外のIT業界のGAFAや中国のIT企業がこの自動車業界に参入しようとしている中でのコロナショックが持つ意味は、いろんな意味でインパクトBIGである。

コロナショック前の自動車業界の動き

まず、自動車業界のメンバーとIT業界の違いは意思決定スピードにある。また、資金的な面でもIT技術の面でもIT業界は脅威でもある。
 脅威たちとの勝負に備えて、無駄を徹底排除して意思決定スピードアップする対策として、下請け企業や事業の整理をしていた。

実際に豊田は、トヨタ紡織は2015年にアイシン精機とシロキ工業からトヨタグループ向けのシート骨格機構部品事業を譲り受けた。
 また、デンソーは2019から愛三工業へパワートレイン事業の一部譲渡と愛三工業に対する出資比率引き上げによる発言権の拡大を狙っている。
 アイシン精機も2019年に子会社であるアイシン・エィ・ダブリュとの統合を決めた。
重複部品を作っている企業の事業統合や、競争力を維持できる企業を中心に部品業界の再編が始まっていた。
 グローバル競争で生き残るために、品質向上とコスト低減は必須で、なるべくサプライチェーンを簡潔にする必要があるのだ。

トヨタ以外・・・

マツダ・日産に関しては、資金が枯渇するかもしれないリスクがあり、トヨタのような改革がまだ十分に出来ていないという。
このコロナショックで技術力のある下請けが倒産するリスクは大きい。
また、今後、グローバル競争を乗り切っていくために値引き圧力が高まる可能性は大きく、下請けの部品メーカーには厳しい局面が続く。

また、トヨタは下請け救済に向けて3回に分けて支払っていた入金を一括にするなど資金繰りをなんとかしようという動きがある。下請けが倒れると、完成品メーカーへのダメージは大きいがためだ。

一方、競争力がある企業にとっては健全に事業集約が進んだ方が今までよりも仕事をもらえる可能性が大きい。この局面を乗り切っていけるかどうかは、各企業が培ってきた技術力によるところが大きいということだろう・・・。

自動車部品業界の皆様も、まずは、この大減産危機を乗り切ってほしいものだ・・・。


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