ジャズ喫茶ベイシー、菅原正二さんの魅力。
駆け込みになってしまいましたが、ようやく映画『ジャズ喫茶ベイシーSwiftyの譚詩(Ballad)』を観ました。
故郷にあるジャズ喫茶、この地に住んでいる誰もが存在、名前を知っていると思う偉大な場所です。私も学生時代から名前は知っていましたが、タモリさんなど著名な方が集う凄い場所で、どんな空間なのだろうと興味はありながらも恐れ多くてとても入れないなというのが正直な印象でした。
そんなベイシーの隣を歩いて、近くにある映画館へ。相当久し振り。
映画を通して初めて足を踏み入れることが出来るような感覚で、歴史とともに音を楽しみながらマスター菅原正二さんの生き様、言葉、周りに集まる人の想い。刺激に溢れていました。物事を極め続ける人たちが語り合う空間。
生き様がカッコイイ人間が言葉と音を紡いでいくドキュメンタリー。
「ジャズというジャンルはない。ジャズな人がいるだけだ」
「『ダメな人』ではなくて『ダメの人』は魅力的」
「みんな寂しいんですよ」
実際にベイシーの入口をくぐることはまだ出来ていないが、マスター菅原さんにお会いする機会があった。緊張しながらお茶を差し出すと「どうも、お構いなく」と笑顔で声を掛けてくれた。ジャケットを着たカッコイイ佇まいと、落ち着いた声、その柔らかい笑顔が心の奥に入り込んできて一瞬で惚れてしまった。それは同じように初対面で感じた菅原ファミリーのオーラだった。
音の素晴らしさと、菅原正二さんという人の魅力がたまらない。
現在、お店は休業中。再開される日があれば、どうにか勇気を振り絞って、入ってみたい。総武線の車内で目の前に座っていた野口久光さんに声を掛けたという早稲田大学在学時代の菅原正二さんのように。
「オレも生意気だとかずいぶん言われてるけど、カウント・ベイシー、ジム・ランシング、レコードを作ってきたたくさんの無名の人たち…全方位にずっとひれ伏しているんですよ」
謙虚な姿勢と、好きなことを追求する好奇心。
「この2020年は『時が経てばコロナが無くなる幻想』を期待して、ただ時だけが過ぎていくのを待つだけのような1年、一体何をしていたのだろう」と後悔もする私ですが……。もっと出来ること、やれることは色々ある。
「良い時間を過ごせた」と思えた休日でした。