ペイント大全ショウケース:ジャイアント・ミイラ パート2(配色決め、ウェットブラシ・アンダーコート、ペイント手順決め、古びた包帯のペイント)
よくぞ来た。前回モデリングし、アンダーコートからフィルアップまでを済ませた「ジャイアント・ミイラ」を、今回はどんどん塗り進めていく。
今回取り上げるトピックは以下の通り。
1.背景に想いをはせ、配色アイデアを練る
2.ウェットブラシ・アンダーコート
3,ペイント手順
3.年経て古びた包帯のペイント
それじゃあ、行ってみよう!
今回想像するドラマと背景、そして配色のアイデア
ハルクウーべン世界で、このジャイアント・ミイラには特別な背景が用意されている。カウンシル記事『モンスター温故知新』で語った通り、〈冥界〉の果てに広がる百夢の砂漠で死者らを治める神〈黒き太陽王〉だ。
じゃあ今回俺がペイントするジャイアント・ミイラは、〈黒き太陽王〉か? 違う。それはそれでかっこいいけど、デスグロで冒険者たちが〈黒き太陽王〉と遭遇するとは考えにくい(冒険者たちが〈冥界〉を治める神の一柱と相対している状況だからだ)。そこで今回は、レビューでも言及した“より現実的な方”で仕上げるつもりだ。
そう、俺が今回ペイントするのは〈黒き太陽王〉自身ではなく、砂漠文明のファラオと共に葬られ、(彼らが信じていたのとは全く違う形で)蘇った巨人のミイラさ! ジャイアント・ミイラの足元に転がる無数のドクロが何を示唆しているかは明白だ。砂漠の冒険は危険に満ちている。現実的とは言ったが、巨人のミイラと相対するのも十分に稀有だろう。
ペイントに入る前に、こいつの完成イメージを想像してみよう。ジャイアント・ミイラは全身を包帯に包まれた巨人の古い遺骸だ。スカラベの頭飾り、全能なる眼と翼を象った首飾り、まぶたのない眼を思わせる意匠の柄頭を持つ杖など、いい感じにファンタジー風味の効いた砂漠文明の匂いが漂う。これらの色味を考える時のいいスタート地点は、現実世界の古代エジプトでよく作られたミイラと副葬品の数々だろう。
熱と乾燥によってミイラ化した遺骸は黒から茶色、場合によっては赤みや灰みを帯びた色をしていて、包帯も当然変色し、灰みの強い黄土色になっている。装身具も経年変化によって朽ちたり変色したりしている。
だが、このジャイアント・ミイラは人ではなく巨人のミイラで、なおかつ超自然の力によって再び動いているファンタジー世界のモンスターだ。だから、別に古代エジプトのミイラをそのまま再現する必要はないし、リアルさを求めるあまり、埃や堆積物で金属や宝石の輝きを隠す必要もなく、副葬品を朽ちさせ過ぎたり、壊す必要もない。現実世界のものはあくまで参考であり、答えじゃないんだ。俺たちがしているのは表現であって、再現じゃないからね!
ただ、古代エジプトのミイラを配色の出発点にすると、多くの人が記号的に理解しやすい仕上がりになるだろう。そこにファンタジーならでのヒネリを加えつつ、いかにも実在しそうな説得力のある仕上がりを目指すことにしよう。
包帯はくすんだ象牙色にして、肉体はいかにも高温乾燥されたミイラぽさを出す。目や口から覗く長虫は、ちょっと後で考えよう。杖は見たところ木製だけど、金色や派手な色で塗られているだろうね。首飾りや頭飾りは、黄金や翡翠などの貴金属、宝石類を使いたい。転がるドクロとのあざとくない程度の色味差で、岩がちな地面を塗り上げてみようかな。
途中変更はあるかもしれないけど、とりあえずはこんな感じでいってみよう。想像力が翼を持ち、ペイントパワーがみなぎると、ヘヴィメタルが俺を呼ぶ。さあ、ペイントしようぜ。POWER SLAVE…!
ウェットブラシ・アンダーコート
俺は普段、黒アンダーコートの上に白サーフェイサーをスプレーするダブル・アンダーコートを基本にしている。凹凸の特に激しいミニチュアや鎧を着込んだミニチュアの場合は、黒アンダーコートの上に142【ガンメタル】でドライブラシをするガンメタル・ブラシも併用しているが、今回はまた別のアプローチを紹介しよう。
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