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中学の頃、黒板に書く字がめちゃくちゃうまい社会の先生がいた。朝比奈先生という。担任を受け持っていただいたことはなく、社会の授業を教わっただけである。正直言って、彼にどんな授業をしていただいたか、またどんな先生であったかは、失礼ながらほとんど覚えていない。 だが、朝比奈先生がある日、授業の前に突然黒板にチョークで大きく書いた美しい「恕」の文字を、俺は覚えている。それは論語の一節...古代中国の思想家である孔子が、弟子である子貢の問いに答えた時に出てくる言葉だ。 書き下せば「