【「使える英語」を身につける】 発音力の鍛え方 #1
前回まで、Part 1 と 2 に分けて、リスニング力の鍛え方を取り上げました。
この中でも、その前にも、何度か「音読したほうがいい」ということを書いています。
そして、せっかく音読するなら発音の練習も一緒にできたらいいよね、ということで、今回は発音力の鍛え方を取り上げます。
発音力の鍛え方 Part 1 ではベースになる考え方や日本語話者に多い課題を、Part 2 では実際の発音矯正のポイントをまとめます!
発音の練習にもゴールが大事!
以前、英語の勉強全体に向けての話として、「ゴール設定は大事」「適切なゴールが設定できたら選択と集中で絞り込みができる=効率も上がる」という内容の記事を書きました。
発音についても、どういう発音を目指すのかでやることが変わってくるので、まずそこを先に決めましょう。
「よい発音」とは?
「よい発音」ってどんな発音?…という質問を日本で周りの人にしてみると、「ネイティブっぽい発音」という答えが返ってくることが多いです。
でも、アメリカやイギリスなど英語モノリンガル系の地域で生まれ育った英語ネイティブでも、発音は千差万別。
訛りが強ければ、英語ネイティブ同士でもやっぱりわかりません。
そして、英語ネイティブの人に「よい発音」ってどんなの?と聞き込むと、どうも彼らの中では「英語ネイティブに期待するよい発音」と、「英語ネイティブではない人に期待するよい発音」には明確に違いがあるようです。
英語ネイティブとしての「よい発音」
英語ネイティブがネイティブに期待する「よい発音」とはなにか。
わかりやすく言うと、それは「学校で国語として習う標準的な英語の発音」です。
アメリカ英語なら Standard American English (SAE) 、イギリス英語なら Received Pronunciation (RP)などがこれにあたります。
ちなみに日本で教育を受けるとアメリカ英語が世界のスタンダードであるかのような錯覚に陥りがちですが、これ、アメリカ中心な見方なのかもしれません。
自分は日本から外に出てみて、実際の世界スタンダードはイギリス英語の方で、アメリカ英語はたくさんある亜種の一つくらいの扱いなんだな、という方向に認識が変わりました。
なおイギリスの RP よりの発音は、アメリカも含め世界どこでも教育水準や社会的階級の高さを感じさせがちなので、個人的には、ゼロから身につけるならイギリス寄りの方がいいのではないかと思います。
特にホワイトカラーの、職位の高いポジションでの仕事では、この「教育水準/社会的階級が高い」というのが、日本とは比較にならないくらい重視されがちなので。
そのため、標準語と大きく異なる特徴のある話し方をする場所出身の方のなかには、場面によって自分のナチュラルな発音と標準語を器用に使い分ける方もたくさんいらっしゃるのです。
英語に限らず、日本語も、他の言語も、世界中の人がこういう使い分けって大なり小なりしているもの。
そう思うとなんだか親近感がわきませんか?
英語ネイティブが非ネイティブに期待する「よい発音」
英語ネイティブが非英語ネイティブに期待する「よい発音」、これは「聞き取りやすい、理解しやすい発音」、これにつきます。
では、この「聞き取りやすい、理解しやすい発音」とは何か。
これは絶対的正解のない領域の問いではありますが、おおむね、「一つ一つの音が英語として認識できる幅の中に収まっている」「イントネーションがおおむね英語のルールに則っている」といったところ。
そしてここを目指すことにすると、上に出てきた「ネイティブっぽい発音」よりだいぶハードルが下がるので、英語が苦手な方でも、「よい発音」を身につけられる可能性は飛躍的に上がってきます。
さらに、日本人が思う「ネイティブっぽい発音」、意外とネイティブから聞くとポイントを外していて逆に聞き取りにくい発音だったり、なんとなくイラッとする発音になっていることが結構あるのですが、これも避けられるので一石二鳥です。
どのレベルを目指す?
まずは、ここまでの内容を読んで、自分は「ネイティブに近い発音」を目指したいのか、それとも「聞き取りやすい、理解しやすい発音」を目指したいか考えましょう。
「ネイティブに近い発音」を目指す場合、英語ネイティブは言い回しや内容も含めて「ネイティブかどうか」を判断しますので、発音だけでなく、勉強すべき事は増えます。
「聞き取りやすい、理解しやすい発音」を目指す場合、日本人にありがちな癖を矯正して、イントネーションやリズムを学べば OK。
なお、とても正直な気持ちとして、後者は実際のコミュニケーションを通して磨かれていくと必然的に英語ネイティブにどんどん近づいていくものなので、個人的には後者を全員におすすめしたいです。
癖を矯正してイントネーションがあってくると、それだけで英語ネイティブの方から「たぶんこの人相当英語できる」って思われてすごい速さで話されてしまい、ついていけなくて困る…くらいにはなりますし。
「聞き取りやすい、理解しやすい発音」を身につける
「聞き取りやすい、理解しやすい発音」を身につけるには、下記 4 つに取り組む必要があります。
日本語話者の英語発音の問題点を理解する
理解の妨げにつながる音を英語の標準的な音に直す
英語のリズム、イントネーションを理解する
英語のリズム、イントネーションで話す練習をする
日本語話者の英語発音の問題点
日本では日本語の人の英語発音の課題は「R」だとか「TH」だとかリンキングだとか言われがちですが、英語の「R」や「TH」の音を出せない人世界中にたくさんいるので、これらができないことはあまり理解の妨げになりません。
たとえば、英語圏の乳幼児もこの発音はできないので、例えば「cRispy」を英語の赤ちゃん言葉で書くと「cWispy」になります。
「TH」にいたっては、英語でも訛りによっては「D」とか「T」とかに置き換わることもあり、言語によっては「S」や「Z」になることも多いので、これもほとんどの場合理解してもらえます。
では、日本語発音が通じにくい理由がどこにあるか。
それが、このあたり。
「W」の発音
「T / D / L / N」の発音(※舌の位置同じなのでまとめます)
子音に存在しない母音を付け足してしまう
英語より日本語に近いイントネーションで英語を話してしまう
この認識のズレが、日本語の人が聞くと「流暢」と感じるのに、英語の人が聞くと「何言ってるかわからん」と感じるズレに直結します。
わかりやすい例が空港や機内などのアナウンスですかね。
あれはたぶん、日本語の人からすると割とよく喋れているように聞こえるんじゃないかと思うのですが、英語の人からすると英語に聞こえず、「今何語だったのかすらわからない」と困られてしまうこともけっこうあります。
実際に発音をより英語の標準に近づけるための注意点や練習方法は、Part 2 でまとめます!
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