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【「使える英語」を身につける】 自分に適した教材を探す

前回、英語「の」勉強をするより、英語「で」勉強して、ついでに英語力も磨いてしまう方が効率がいいですよ、という話をしました。

この中で、簡単に、レベル設定や教材選びの話もとりあげました。
今回は教材選びについてさらに掘り下げていきます。

ステップ 1:最終目標を意識し直す

効率よく「使える英語」を身に着けたい場合、どこで、誰と、どんな形で、どんな内容のコミュニケーションを取るための英語が必要なのか、という具体的なイメージづくりが欠かせません。

でも、英語に向き合っているとつい英語そのものに気を取られてしまい、このイメージがフワフワになってしまいがち。
教材選びの段階でこれが発生すると、もしかしたら、頑張っても目的達成になかなか近づけない教材を選んでしまうことが…!

そこで、教材選びの段階では、何よりも先に、自分のゴールを明確に意識しなおすことが成功の第一歩。

ゴール設定については他記事にまとめたのでそちらも参考にしてみてくださいね。

ステップ 2:最終目的達成ステージで必要となる語彙、文法などのレベルを特定する

最終目的とするイメージを明確に再認識したら、その目的を達成したステージにいる自分、そのステージで接するだろう人々がどんなコミュニケーションをとることになるか、とっているかを考えます。

ただこの時、もちろん自分はまだそのレベルではない = その世界が見えていないので、「どんな英語を使っているか」というのをイメージするのは難しいはず。
でも大丈夫。

ここでは日本語に置き換えたイメージ作りで問題ありません。

日本語でも、たとえば、高度な専門知識を扱う研究職につく場合と、人当たりや交渉力が物を言うタイプの仕事につく場合、またはスポーツ選手や職人さんなど個人の特別な技術で世界を渡っていく場合など、職業や生活のあり方によって、使う日本語のタイプが変わりますよね。

言葉づかいのフォーマル度、語彙の専門性、話す内容の幅広さなどを「日本語だったらどうかなあ」と考えてみましょう。
それがイメージできたら、それを英語でできるようになる、というのが目指すべきレベルになります。

ステップ 3:現在の英語力を見極める

目標がクリアになっても、今の実力がわからなければ、その目標と今の実力のギャップを測ることもできません。
ギャップを測ることが出来なければ、目標達成に向けた道筋や、その道筋の各段階におけるマイルストーンの設定も困難になります。

そこで、目標がクリアになったらやるべきことは、今の実力を見極めること。

ここで気をつけるべきなのは、「今の実力」というのは、「自分が決めた目標に対しての実力」であり、間違っても「〇〇テストで 〜 点」という点取力ではない、という点。

率直に言って、「テストで何点」というのは、就職、進学、昇進などの要件として求められることはあっても、実際に英語を使ってコミュニケーションがとれるかどうかの目安にはならないものです。
同じく、自分がこれから実力をつけていくために必要な実力の測定にも適さないので、テストのことは一旦忘れましょう。

ではどうするかというと、まず、ステップ 2 で思い描いた「こういう会話をしそう」「こういうメッセージをやりとりしそう」という内容を、何も調べず、現在の自力だけを使って、実際に何文か口に出し、文字に書き起こしてみましょう。

次に、試した結果が次の 5 パターンのどれに一番近いか考えます。

  1. 頑張って考えたが全く何も出てこなかった(またはそれに近い)

  2. 単語をいくつか出せたが、きちんとした文は作れなかった

  3. ある程度文が作れたが、正しい文かどうかわからない

  4. 文法上大きな問題のない文は作れたと思うが、英語圏の人に自然に理解してもらえる表現かどうか自信がない

  5. 英語圏の人に自然に理解してもらえる表現はできたと思うが、効果的で洗練された表現はできていない気がする(もっといい表現があるのでは?と思う)

ちなみに、上記の 5 パターンは、Second Language Acquisition(第二言語習得)理論の 5 Stages of language acquisition(言語習得の 5 ステージ)にゆるく沿った概念になっています。
※なぜ「ゆるく沿った」なのかというと、日本の環境や教育を前提としてアレンジしてあるからです。

そのため、この 5 段階のどこに自分がいるか把握すると、自分が次の段階としてどのくらいできることを目指すべきか、という目安もたてることができます。

そしてもしかすると、「自分の英語の問題はスピーキング/リスニングができないことだ」という認識の方は「どれも一致しない」と思うかもしれません。
その場合は、本当にスピーキング・リスニングだけの問題なのかどうか、しっかり切り分けすることをおすすめします。

スピーキング・リスニングだけの問題なのであれば、自分が目的とするレベルの専門書、そこで必要とされる会話が書き起こされていれば、それを日本語と同様のスムーズさで理解することができ、なんだったら文法の間違いや表現力の不足を指摘することもでき、完璧に近く、ひねりもきいた回答を即座に書いて返せるはず。

それができない場合、おそらく問題はスピーキング・リスニングだけにあるのではなく、総合力も上記の 4、5 いずれかに該当する場合が多いのではないかと思います。

リスニングについては別途まとめてあるので、ご参考までにそちらもどうぞ。


ステップ 4:実力に応じた教材の特徴を理解する

1 〜 3 に該当する場合

上記 1 〜 3 パターンに該当する場合、今は全体的な英語力の底上げが必要な段階です。
効果的に底上げをするために、以下の 2 種類の教材を探してみましょう。

  • 自分に必要な語彙を身につけるための教材

  • 文法の基礎を身につけるための教材

最初の「自分に必要な語彙を身につけるための教材」は、自分のゴールを意識し、そこに直結するものを選びます。
専門領域があるなら最初から専門書を使ってもいいですし、その分野に関わる小説や、その分野につながる子供向けの教科書やドリルを選ぶのも手です。

大事なのは「日本語でその分野の英語について説明してある何か」を選ぶのではなく、「英語で書かれた英語圏向けの人の何か」を選ぶこと。
たとえばアマゾンで「children textbook science」や「English vocaburary Builder」「Business」など検索すると難しいものから簡単なものまで色々ありますので、こういったものを使っていきます。

こちらは語彙力をつけるのが目的なので、内容を深く理解する必要もなく、たくさん出てくる言葉を脳に染み込ませることができればそれでいいです。
電子版がある場合はパソコンやタブレットの読み上げ機能で音も聞けますし、翻訳版もある場合は意味も理解しやすいので、電子本+日本語訳本をあわせて使っても効果的です。

続いて「文法の基礎を身につけるための教材」は、中学生向けの問題集か、または TOEIC 向けの問題集などで十分です。
よく「中学英語で十分」と言われ(るけど実際は中学レベルの英語だと仕事にはならないと思い)ますが、「最低限必要なベースを作るには」という前提条件をつけると、このご意見、正しくなります。

なぜ文法の教科書でなく問題集なのかというと、「使える英語」を身につけるためには、文法事項は知らなくていいからです。
文法を意識しなくても概ね正しい日本が使えるのと同様、英語も文法はあまりわかっていなくても正しい文を読み、書き、話すことはできるようになります。

そのベース作りのためには問題集が使えます。
最初から全部答えを見て、正解を先に知ってから、答えを隠して、正答を文として書き出す、口頭で読み上げる練習を 1 冊やりとげると、それだけでかなり底上げになります。

コツとしては、穴埋め問題の穴に入る単語だけ書く・言う、語順並び替えで入れ替えたところだけ書く・言うのではなく、完全な文を書き、読むこと。
それを繰り返して「理屈はわからないけど何となくこうだと思う」で 8 割以上正解できるレベルになれば、テストの点取りにもつながるし、実際の実力アップにもつながるので一石二鳥です。

4、5 に該当する場合

4、5 のレベルになると、基本的には日本語力をあげるのと同じ学習法を取り入れると効果的…つまり、平たく言うと「本を読む」が基本になってきます。

この場合、目指すゴールにもよりますが、読むべき本にはいくつか傾向があります。

  • 効果的な表現力をつけたい → 社会的スキル関連の How to 本

  • 洗練された表現力をつけたい → 文学

  • プロフェッショナルな表現力をつけたい → 専門書

効果的な表現力については、英語圏でもお悩みの方は多いので、「business vocabulary in use」「social skills」「effective communication」といったキーワードで検索し、評価の高い物を選ぶと役に立つものがけっこう見つかります。

洗練された表現力については、これは学校教育の違いによるものなのではないかと思うのですが、英語圏で高等教育を受けた、洗練された表現力を駆使する人々は文学の造詣が深いことが非常に多い印象。
プレゼンテーションなどでも、効果的に引用を使うとすごくウケがよかったりしますし、知的な会話を好む人だと会話に突然詩や文学作品の一節を盛り込んできたりするので、日本語で読んでおくだけでも価値があると思うくらいです。

ですのでひとまず「100 Books You Must Read Before You Die」シリーズはおすすめ。

本気で 100 冊入っているので全部読むのはちょっと難しいかもしれませんが、そのうちのいくつかを読むためだけでも買う価値はあります。
そしてこのシリーズ、なんでこんなに安いかちょっと理解できないです…。
著作権が失効している作品が多いからなのかな、とも思うんですが、日本語でこれだけの名作を集めた本がこんな投げ売り価格で売られてるの見たことないです。

あとは月並みですがシェイクスピアの戯曲なんかも抑えておくといいですね。

最後にプロフェッショナルな表現力ですが、これは専門書を読む、そして英語で何かトレーニングコースなどを受講するのがおすすめです。

OpenCourseWare など、一流大学が無料で一般公開している講義もたくさんありますし、edX など視聴だけでなく単位ベースで試験を受け大学の講座修了資格を取れる有料プログラムもあります。
そして University of London など、オンラインまたはほぼオンラインで学士号や修士号が取れるプログラムを多数持っているところもあります(University of London はオンライン受講の授業料がめっちゃ安いです…!!)

なんだかんだ言っても、レベルが上がれば上がるほど、英語圏で最高水準の教育を受けた英語ネイティブと互角に渡り合わないとならない可能性がどんどん高くなります。
現時点ですでに 4、5 に該当するレベルの英語力をすでに持っているなら、目標を高めに設定して、上のステージで四苦八苦するほうが実力の伸びは速いと思います!

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