見出し画像

【UKIBLE】が出来るまで


硬質ウレタンという言葉には皆さん馴染みがないかと思います。またウレタンという言葉からは、柔らかいものというイメージが先行してしまうかと思います。

ヘルメスの作っているものは、その馴染みのない方の硬質ウレタンによる成型品になります。硬質という言葉通り、できあがったものはカチカチのものです。元の原料はドロっとした液体ですが、型の中に流し込んで時間が経つと硬い製品に固まるという、摩訶不思議なものです。

そんな不思議な材料で皆さんのお役に立つものはできないか・・・無い知恵を振り絞ってみんなで考えてみました。

ヘルメスは、名古屋市内でも唯一海に面している港区というところに立地しています。そのため、何か防災で役立つものができないかということは常々考えていました。この硬質ウレタンの製品は軽くて浮力があるので、津波に備えた浮輪?・・・いや、海だけに限らずもう少し範囲を拡げて考えてみると川遊びかな?そんな中アウトドア派のスタッフから出たのが川遊びの事故に備えたものに使えないかと。それだけでは利用価値が低いので、キャンプ用品を入れるコンテナBOXをテーブルとして使えるようにする天板も兼ねたらもっといいよねと。そこからこの「UKIBLE」の開発が始まりました。 

開発の中で一番困ったのが、一番重要な浮力試験! 7.5kgのおもりを吊り下げた簡単な予備試験は一発クリアできたのですが、そこからサイズなどを少し改良したら沈んでしまう結果に。全員が文系頭のスタッフには訳が分からず、外部機関に相談してようやく浮力問題も解決しました。

その後は、実際に人が浮くことができるのか!? 理屈ではわかっていても、この製品で実際に75kgの人が本当に浮くことができるのかは半信半疑でした。一般のプールではそんな訳のわからない試作品の持ち込みが許可されはずもなく、お風呂では浅すぎるし・・・かといって真冬のさ中に海や川に入ることもできず、困っている時に助けていただいたのがダイビング好きの知人。ダイビングの練習用の淡水のプールをお借りして無事実地試験を終えることができました。

実際に水の中に入って製品を抱えてみると、滑りやすいことに気づきました。ただその解決策は簡単で、塗装スタッフの長年の経験で表面に少しざらっとした塗料を塗ることですぐに解決しました。さらに投げてみると意外に投げやすい。少し重めの製品重量が投げる際の反動をつけ、その上コントロールもしやすいということが分かりました。

そんなこんなでできあがった「UKIBLE」です。同じものがまだ世の中に存在しない製品ですが、モルタル調の質感が個性あふれるキャンプを演出し、いざという時にきっと役立つと自信をもっています。 

代表取締役 亀井 則宏

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?