「戦う顔をしていない」と騎士団を追放された俺〜二遊間が手薄で後悔してももう遅い〜
俺の名前は安倍 京太郎(あべ きょうたろう)。誰もが憧れるSランク冒険者だ。俊足と好守にかけては王国で随一と謳われている。
所属する「竜の騎士団(ドラグナーズ)」でも切り込み隊長を務め、やたらと肩幅が広い先代団長にも可愛がってもらっていた。
風向きが変わったのは今の団長に代わってから。
「お前は守りだけで、全然攻撃に貢献していないじゃないか」
そんな難癖をつけられて、巨人討伐や虎退治のメンバーから外されてしまった。
攻撃もなにも、遊撃の役目が何よりもまずディフェンスなのは常識だ。何代か前の遊撃役は例外的に素晴らしいアタッカーでもあったらしいけど、一度守りでヘマをしたばかりに毎年珍プレー大賞で笑い物にされている。でも新団長はそんなことお構いなしだ。
「戦う顔をしていない」
ついにはそんな難癖をつけられ、俺はドラグナーズをクビになってしまった。
「お前、変わらんかったな」
そう嘲られた俺は、ドラグナーズへの復讐を固く誓った。
先祖が陰陽師だった俺はすぐさま呪詛に取りかかった。
すると俺の後釜の遊撃は呪われて戦線を離脱し、ドラグナーズはBランクモンスターの化け狸の討伐に失敗して面目を失った。今までは俺が補助の加護をかけていたおかげで目立たなかったが、そもそもドラグナーズには俺以外にもまともな攻撃役はいないのだ。
今のドラグナーズは遊撃不足に悩み、相次いで他のギルドに斡旋を依頼しているという。俺を呼び戻そうとしても、もう遅い。
ちなみに俺は移籍先で三塁に転向したがレギュラーが絶賛三冠王なので相変わらず控えだ。
あとよく見たら字が間違ってて、呪符が発動してなかったーー「しげ」は「繁」、「将ぎ」は「将棋」と書かなくてはいけなかったようだ。
後釜は普通に脱臼したらしい。早く治るといいな。
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