小規模事業者持続化補助金を申請してみた(全完了)
何かと話題の“持続化給付金”とは別に2020年4月30日に令和2年度補正予算が成立し、それに伴い“小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>”が設けられた。
“小規模事業者持続化補助金”とは、コロナ禍だけのものではなく、従来から行っている制度で、中小企業庁管掌の「小規模企業支援」という従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)等の小規模事業者を対象に、経営面や資金面で支援するものである。通常は上限50万円の補助金であるが、<コロナ特別対応型>は倍の100万円に上限が引き上げられた。詳しくはコチラから。
例の如く、不親切でわかりにくい行政関連のサービスなので、“小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>”もお約束通りわかりにくく、「日本商工会議所」と「全国商工会連合会」の2団体のどちらかから申請する必要がある。当社は前者の「日本商工会議所」経由で申請を行った。こちらがそのサイト。
先ずは、このサイトの“持続化補助金とは”を熟読し、全体像と適格者及び対象を理解した上で、申請するか、出来るかを判断しなければ、書類作成などの準備行為が無題に終わるので要注意。
サイトをご覧いただけばわかるが、現時点では全部で4回の公募がある。期限までに“公募要領”に則った必要書類を作成し提出すればよく、必要書類の作成の難易度は決して高くないと言える。作成に際しては、先述の「日本商工会議所」と「全国商工会連合会」の2団体のご自身が選んだ方の団体の地元地域の事務所に出向き、担当者と相談、指導してもらいながら行う事になる。
当社は第1回目の2021年5月15日締め切りに間に合うよう提出した。そして後日、以下のメールが送られてきた。
そして待つこと数日、次に郵送で以下の書類が送られてきた。
文末に下線で強調して書かれている通り、“補助金交付決定通知書”は同封されていなかったので、“採択”はされたが“交付決定”とまでは行かなかった。
採択通知書が届いた約3週間後に以下の文書が届き、即日対処し、書類を発送した。
後日、決定交付通知があれば追ってこの場で報告させていただく。
申請書類の訂正依頼に即日対応し、待つこと4週間。遂に“補助金交付決定通知書”が届いた。
これで一連の手続きは終了したので、後は粛々と申請した内容に沿って事業を進めていくばかり。
最終的には“事業完了報告”をして、補助額の100万円を手にすることになる。
そして時間が経過し事業完了報告を行ったのが2021年1月26日。当社は第1回目公募分だったので、その期限が2月末となっており、期限が迫っていた。
送付されてきていた提出書類とその記入方法の指南書を悪戦苦闘しながら読み、何とか郵送にて提出。なにぶん、こういった公的支援制度の申請も報告も初めてだったので、不慣れは勿論、行政が用いる語句一つも普段使っている概念とは異なっている部分も多く、戸惑うことが多かった。
それからしばらく一切の連絡は無く、2021年4月中旬、事務局から“小規模事業者持続化補助金 実績報告書等の提出物に係るお願い”という書類が届いた。
中を開けてみると、報告として提出した各書類が一覧化され、要は「書き間違い」、「必要書類として満たしていない」、「追加提出が必要」、「経費対象外」等と言った指摘がズラッと記載されていた。
これを見た時、愕然としつつ落胆した。自分なりに約20年経営者を経験しているので、事務面でも税務面でも多少なりの知識と経験はあり、支払いを客観的に裏付ける為に必要な理屈や書類の一通りは理解している自負心があったが、このリスト表を読むと「全部ダメ」と言わんばかりの指摘だったからである。
特に納得いかなかったのは、某ビジネスマッチングサイトを利用して業務を依頼し、納品してもらい、その費用をクレジットカードでそのサイトに支払ったのだが、そのプロセス上、相手からもらったのは見積書だけで、それ以外はそのサイトの機能を利用し、簡潔に事務的手続き、処理を行えたと思っていたことが、結果的に先述の指摘の対象のオンパレードとなったのである。
要は、見積書、発注書、受注書、納品書、請求書、受領書を全部提出しろ、と言うのだ。言い方を変えると、行政がやっている通りの手続きを踏襲しろと言うのだ。
呆れて絶句したが、反抗しては補助金は交付されないので、事務局担当者に電話で一つ一つ理屈を説明しながらお伺いを立てて、要望に則る状態を模索した。その回数3回。
事務局に電話すると担当者が決まっている、直ぐに取次はされず、担当者からの折り返しを待つという事になる。しかも当日とは限らず3日以内と言う状態。更に、チーム制で管理しているとの事で、1案件1担当者ではないので、チームの誰がかけてくるかは、その時にならないとわからないという状態。幸い、当社は全回一人の人と話すことが出来たので、スムースに事は運んだ。
新たな書類作成や既提出分の修正や業務依頼先への書類要求とその返事待ちなど、指摘事項をクリアーすべく要した期間は約1か月。2021年5月14日に再度事務局に書類一式を郵送した。
それから事務局の連絡はなく、再提出したものが適当であったのか否かも不明。居ても立っても居られず、2021年6月上旬に事務局に電話したところ、「書類内容に問題はありませんでした、今は最終審査の部署に渡っています」という返事。
この電話で不備なく、全部が経費として認められたこととなり一安心。そうすると次の関心事は「いつ支払われるのか?」。当社は先に半金入金済みであったので、急ぐ必要はなかったが、あって困るものではない現金なので、いつ残りの半金が入金されるのか気になりつつ待った。
そして2021年7月上旬、書類再提出から待つこと約1か月半。下記の書類が届いた。
しかし、喜ぶのはまだ早い。これは単なる“通知書”であって、入金された訳では無い。
更に待つこと約1か月。2021年8月6日に残金が入金された。振り返ると申請から約15か月。採択された事業内容を遂行する事は何ら苦にならず行ったものの、労力を要したのは補助金の申請手続き行為であった。
率直な感想は今疫病により、行政のデジタル遅れが顕著となり、捺印廃止やペーパーレス、更にはテレワークを行政自ら叫ぶが、当の本人たちが全く出来ていなければ理解に乏しく、従来の慣習を頑なに守る姿勢を痛感した。
具体的には事務局とはメールでのやり取りは無く電話対応。提出物は郵送で必要書類はプリントアウトし一部には捺印が必要。その書類の量たるや先述通りを必要とするので、ずっしりと重みを感じる量となる。細かいことを言うと、ホチキスではなくクリップでまとめて指定された表題を記して先頭にする。
いつぞや、こういったプロセスは改善されるのであろうか?先の見えぬ疫病の収束。願わぬが、この様な制度の支援を受けて事業継続を図らねばならないとして、この様な煩わしい労力を課せられるのであれば申込を尻込みする人も多少なり存在するだろう。
こんな煩わしいことだから、費用をとって代行する人や会社があるだろうが、それはこういった制度の本来趣旨からして、それは如何なものか?市民の為の行政サービスならば、それを享受する市民にとって便利で有効でなければ本末転倒。先進国とは言えない行政のデジタル遅れを出来るだけ早く挽回して欲しい。
当社にとっては、補助金をもらう事が目的ではないので、補助金で着手した事業を育て、そして収益を生むものにすることが目的であることをここに確認の意味を込めて明記する。
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