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バイイング イン インド☆my traveling diary

かつて小さなお店をつくり、旅をしながら遊ぶように仕事をしていた6年間の記憶をつづりたいと思います。買い付け女一人旅。出会った人々。私にとってのインドとは? 新しい旅をはじめるための心の整理。同じように新しい旅路に直面している人たちとこの物語をシェアできればとても幸せです☆


Ⅰ  西に石があるらしいよ

インドの西に石があるらしいよ 
友人からのこのショートメールで、私のインド行きは決まった。

当時私は小さなお店をやっていた。ひっそりとした小商いだったため、やはりただ‘やっていた‘という言葉がしっくりくる。 店舗兼アトリエという形態で、小さな古い木造2階建て一軒家をお店風に改装し、2階にあった部屋を自室として始めた。建物はわかりにくい場所で、人ひとりしか通れないような路地に立つ3軒並びの真ん中の家。ところどころはげた空色のペンキがほどよいシャビー感で、隠れ家のようなお店にしたかった私にはおもいがけず良い雰囲気だった。

自分で編んだ紐と、石やシルバー、ビーズなどを組み合わせてつくるアクセサリーを作り、それまでは出店という形で販売していた。 買ってくださるお客さんがいるという経験によって、私には欲がでてきた。それらのパーツを日本の店で買い集めるのではなく、自分の足で、現地にて調達したいと思った。 旅の中で私が直接そのパーツ達に出会うことで、お客さんにもそのアクセサリーのストーリーを語り継ぐことができる。 またお店をオープンするにあたって、現地に出向くのであれば、かの地で作られる様々な手仕事による美しいものも買い付けたいと思った。 自分の作品を売るだけで生活できる自信もなかったので、それらを販売することで、経営が成り立つのではないかとも考えたのだ。

初めての買い付け旅はこれまで何度か訪れたことのあるタイと、ずっと行きたいと焦がれていたネパールに決めた。実際、私の使っていたシルバービーズはタイのカレン族のものだったし、様々な石やパーツ類はネパールからのものも少なくなかった。ネパールに長期滞在したことのある友人が身近にいたこともあり、情報は手軽に手に入った。そして何よりも、私は子どものときからなぜかヒマラヤ山脈に特別な思いを抱いていた。

しかし、買い付けという意味では、プロの知り合いもおらず、ただでさえ友人に乏しく、人間関係に消極的な私には、一人でネパールに出向くことより、そのような人を探して教えを乞うことの方が勇気が必要だった。

幸運にも(?)、私はそのような時いつでも、先入観を持たず、経験によって感じたこと、学んだことを大切にしたいと思う性質であった。 20代前半、イギリスへ一年間の語学留学をした時にも、イギリスについての前情報を極力インプットせずに出向いた。それが自分にとって良かったのかは今でもよくわからないが、自分で道を開拓したいという、志だけは大きく持って出かけることにした。


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