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すべての文字・数字をつなげて生み出される線の造形美アーティスト 小林覚
現在ヘラルボニーが挑戦する「日常を美しく彩る、サステナブルなリバーシブルアートマスク」のクラウドファンディングの実施にあたり、アートマスクを彩るアーティストにインタビューを行わせて頂きました。
今回は第1段として、アートマスクに使用させて頂いている「夏の魔物」という作品を描いた岩手県花巻市のるんびにい美術館に所属する小林覚さんにフォーカスしてご紹介していきます。
井上陽水やビートルズなど音楽が好きな覚さん。日々の生活や作品作りへのこだわりな覚さんと支援員の石ヶ森さんを交えてお話を伺って参りました。(聞き手:丹野晋太郎)
Q1.覚さんのご出身はどちらでしょうか?
岩手県の沿岸にある釜石市という地域の出身です。
左が支援員の石ヶ森さん、右がアーティストの小林覚さん
Q2.覚さんの好きなことを教えてください
クイーンやビートルズなど音楽を聴くことが好きです。作品制作をするときも好きな音楽を聴きながら作業していることもあります。
Q3.創作活動をはじめたきっかけを教えてください
覚さんの中学生時代のお話になりますが、当時の覚さんは日記や作文を書くときにアレンジして書いてしまっていて学校の先生も辞めさせようと考えてはいたのですが、当時の恩師の方が無理に辞めさせないで続けさせてくれたことを転機に、今の造形表現をするようになったと聞いています。
作品タイトル:数字
作品タイトル:埴生の宿
Q4.ご自身の作品「夏の魔物」がアートマスクになった感想を教えてください
すごく良い。(小林覚さん)
サンプルで持参したご自身の作品がプリントされたアートマスクが気に入ったのかその場で着用もしてくれました。
Q5.覚さんが日常でこだわっていることはありますか?
こだわりと呼べるかは分かりませんが、寮棟の窓は締めたいですし、お風呂の椅子は並べたいですし、お部屋の電気をつけたり消したりしてますね。あとは、寮棟の鍵を締めたいとか本当にたくさんあります。あとは、飲み物があれば全て飲み干してしまったりします。
Q6.日常生活で起こった小林覚さんとの思い出を教えてください
現在は新型コロナウイルスの影響もあって外出ができていないですが、年1回利用者さんの行きたいところに行く機会があるのですが、覚さんは食べることが好きなので以前一緒に回転寿司に行きました。皿の枚数で行くと15皿くらい食べていて、合計30貫くらいですね。個人的に意外だったのは、自分の限界を見極めてお寿司を食べることを辞めていたことでした。
Q7.小林覚さんの人柄を教えてください
基本的に男性より女性の方が好きですね(笑)
あとは、すごく質問を多くしてくれる方なので不安なことはしっかり払拭したいんだと思います。不安が解決されると笑顔になってくれます。楽しい時は笑顔になってくれる方なので、外出した時はよく笑ってくれています。
そして、最近の変化として誰かにモノを渡すときにひっくり返したまま渡さず、相手が見やすい方向で書類を渡すなど気を遣う瞬間をよく見るようになりました。この変化もであい授業で講師をやるようになっていたからかもしれないです。
※「であい授業プロジェクト」は、知的障害の当事者である人が講師を務める出前授業と、その手法の普及とを目指す取り組みです。岩手県花巻市のるんびにい美術館を中心とするプロジェクトチームが推進しています。
詳細URL:https://www.facebook.com/deai.jugyo/
最後に
終始和やかな雰囲気の中取材を行わせて頂きました。小林覚さんに質問をすると空気に文字を描く素振りを見せながら受け答えしてくれました。支援員の石ヶ森さんによると、支援員が発した言葉を復唱するように空気に文字を書いているらしく、支援員さんの中では「空字(そらじ)」と読んでいるそうです。
空気に文字を書きながら受け答えしてくれる覚さん
線の造形美から生まれる美しくも力強い小林覚さんの作品達。アートマスクにも作品が使用されておりますのでアートマスクから覚さんの世界を感じて見てはいかがでしょうか。
アーティストプロフィール
小林 覚(こばやし さとる)
好きな音楽家はビリー・ジョエル、クイーン、井上陽水、スピッツ、THE BOOM。そして散歩が大好き。 小林は養護学校中等部の在学中に、日記も作文もすべての文字を独特の形にアレンジして書くようになった。 初め学校の先生も何とか直せないかと苦心したが、やがてこれを魅力的な造形表現ととらえることに切り替える。 これを転機に、彼の表現は多くの人に喜びを与えるアートとして羽ばたき始めた。