100%の体で、ありのままの自分で。
はじめまして。
2022年4月より入社しました、北村茉里映(きたむらまりえ)です。
自分で音楽活動もするほど音楽が好きで、
社員名刺のアートは、作家・森 啓輔さんがCDジャケットのデヴィット・ボウイを描いた作品「Star Man」を選びました。
守り神がついていてくれるような、心強い気持ちになります。
新卒から9年間在籍した職場から、
10年目のタイミングでヘラルボニーに飛び込みました。
「変わるなら、今だ」と何かに大きく背中を押されたような、
でもいるべき場所に自然と引き寄せられたような、
そんな不思議な感覚です。
そして、ファンとしてずっと読んでいたあの入社エントリーを、
今自分が書く時が来ました。
ヘラルボニーに入社を決めた理由は本当に様々な角度から語れてしまうのですが、今日は3つのテーマに絞ってお話しようと思います。
それでも少し長くなってしまうと思うのですが、
どうかお付き合いください。
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ある日偶然SNS上で目にした、
色鮮やかなアートプロダクトの写真と、その先に現れたこの言葉。
感じたことのない衝撃と興奮を覚えた私は、その週末にちょうど開催されていたポップアップショップに駆け込みました。
これが、2年前の秋、私とヘラルボニーとの出会いです。
そこからすっかりヘラルボニーのファンに。
なぜこんなにも私の胸は高鳴ったのか。
それにはいくつもの理由がありました。
「“普通”じゃない」に囲まれた人生
「“普通”じゃない」
私の中では、この言葉はとてもポジティブで、大好きな言葉です。
だって、これまでの人生で“普通じゃない"素敵な人、大好きな人に、
たくさん出会ってきたから。
でも、世間の物差しをもってすると、
この言葉は、途端に悪しき言葉となります。
私には、年の離れた弟がいます。
彼は自閉スペクトラム症で、様々な特技を持っているのですが
(手の込んだ料理が得意だったり、この間は徹底した食事管理によって自発的に5kgの減量を成功させていました 笑)
一番の特技は、創作折り紙です。
使うのは大きな紙一枚のみ。
頭の中だけで自ら緻密な設計図を考え、その場で折って試行錯誤しながら、何時間もかけて作品を作っていきます。
紙の素材にも並々ならぬこだわりが。
「どうやって考えてるの?ここどうなってるの?」と質問しますが、
説明を聞いても私の頭ではさっぱり……
緻密で生き生きとした作品に、いつも圧倒されています。
こんなに魅力的で、人間として尊敬できる部分も多い弟なのに、
社会の中では「“普通”じゃない」と線引きをされ、
生きづらさを抱えてしまう。
また、我が家は弟が生まれたすぐ後から、母子家庭でもありました。
(原因は父の病気でした。父は空の上にいるのでもう質問はできませんが、おそらく彼も“普通”という概念に苦しめられたことがあるのではないかと、思うことがあります)
周りには他にも様々な、マイノリティと呼ばれる人たちがいました。
障害のある人だけに限らず、あらゆる「“普通”じゃない」人が
生きづらさを感じてしまう枠組みや制度や社会に、
私はいつも違和感や怒りを感じていました。
みんな、めちゃめちゃ素敵な「一人の人間」なのに。
どうして社会は、“普通”の物差しを平然と振りかざすの?
“普通” って、何?
私は、“普通じゃない”を肯定する生き方をしたい。
いつの日か、そんなことを強く思うようになっていました。
そんな私の前に、あの日、あの一文が、現れたのです。
私がアートを愛する理由
母をはじめとした家族には本当に感謝しているし、誰が悪いわけでもない。
でも「普通」ではなかった、そんな境遇の学生時代、
私を支えてくれていたのが、音楽でした。
音楽は、自分を現実と地続きのまま特別な場所に連れて行ってくれる。
普通じゃない自分を、肯定してくれる気がする。
中学高校では、吹奏楽に没頭し、全国大会出場も果たしました。
大人になったここ最近の私は、音楽だけでなく、
演劇や映画・絵画などアート全般を深く好むようになりました。
「こんな見え方、考え方もあるのか」
「こんな世界、こんな人生もあるのか」と、
新しい感覚や価値観に気づかせてくれる。見える世界を広げてくれる。
そしてやはり、様々な人間や生き方を肯定してくれる。
「生きることは捨てたもんじゃないな」と思わせてくれる。
アートには、固定観念や常識を壊し、
新たな気づきや価値観を生み出す力がある。
そしてアートを通して、様々な人間・生き方が肯定されていく。
そんなことを、ずっと信じています。
だから、「アートを通して世の中の価値観を変えていこうとする」
ヘラルボニーの存在に、深く深く、共感したのです。
自ら音楽活動をしているのも、例え微力でも、
このように“普通じゃない”自分や誰かの人生を肯定したり、
新たな気づきや変化を与えるきっかけを作りたい、という思いからです。
(コロナ禍に直面した際に自問自答し、改めてこのことを自覚しました)
アート全般を愛する気持ちは歳を重ねるごとに強くなっており、
人生を通して触れていたい、深く関わっていきたい、と
思うようになっていました。
自分に正直に、体の100%をやりたいことに
前述の通り吹奏楽部の活動に没頭した学生時代でしたが、
その後とある挫折を経て、音楽科ではなく普通の大学に進学します。
就職活動期間になり「とりあえず普通に就職しなくちゃ。奨学金も返さなきゃだし、家族に心配もかけられないし……」という思いで、
自由な社風で、上場企業で安定もしている、前職のアプリゲーム制作会社に就職。
楽しんで仕事をしていましたが、慣れてきた数年後、
「私の人生、これでよかったんだっけ?」
「私が本当にやりたいことって何だっけ?」と思うようになり、
仕事と並行して音楽活動を始めます。
平日は仕事、仕事以外の時間は音楽、という生活。
仕事の環境はとても恵まれており、
様々な責任ある貴重な経験もさせてもらいました。
でも、「私、これをやって生きているの!」とは言えない。
これは、お金を稼ぐための、仕事。
ヘラルボニーに入る前の私の体は
「50%は正直・50%はごまかし」といった状態でした。
そんな中、世界はコロナ禍に突入。
自分と向き合う時間も増え、
今まで見えなかった様々なことが見える、感じられるようになり、
「いつ終わるかもわからない人生。心から“やりたい!”と思えることに全ての時間を費やさねば」という思いが、どんどん強くなっていきました。
また、自分の大切なもののために、
社会に向けて行動を起こす人々を目にすることも増えました。
それも私にとって大きなことでした。
自分に正直に、体の100%をやりたいことに費やす自分になろう、
と決めました。
そして、自分の内側だけでなく、
社会に向けて動いていける自分になろう、とも。
そこに、運命的な偶然も重なり(問い合わせようと思った翌朝、初の正式な社員募集が始まったのです)、
ここまで書いてきた理由から、引き寄せられるように
「ここしかない!」とヘラルボニーに飛び込んだ、というわけです。
100%正直になれたこの体で、やりたいことをどれだけ叶えていけるか、
それはこれからの自分次第。
でも、ヘラルボニーという素晴らしい船に乗ることを選び、
素敵な仲間たちに出会えたこと、この船旅を選んで良かったと、
入社1ヶ月にしてすでに感じています。
いざ、本当に自分らしい、人生へ。
これからどうぞよろしくお願いいたします!
北村 茉里映 @marie_heralbony
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