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共に挑み、共に熱狂し、共に未来を作るために、ヘラルボニー「複業制度」で、異彩を放て。
「プロバスケットボール選手に復帰したいと思っています。」
6月上旬の面談だった。プロバスケ選手の現役に復帰したいというあまりの唐突すぎる告白に、双子ともに目が点になった。
岩手県唯一のバスケットボールチーム「岩手ビッグブルズ」のキャプテンとして活躍し、その誠実な人柄から信頼の厚い伊藤良太選手が、念願叶ってヘラルボニーに入社をしてくれたのは、つい昨年のことだった。
岩手に拠点を構えるヘラルボニーとしては、地元の人気スター選手が入社してくれるなんて・・・感激で胸がいっぱいの出来事である。急いで記者会見を設定し、大々的に「プレスリリース」を打った。たくさんの人が、共に喜び、応援してくれた。

もうすぐヘラルボニーは「創業5年目」を迎える。
50名の壁を突破を目前とし(スタートアップではひとつの壁とされる)毎月あたらしい仲間が増え続けている。
最大で、最速に、事業拡大に向けてさらに大きくアクセルを踏みたいこのタイミングに、組織の要である人事責任者がプロバスケットボール選手と会社員との「両立」を希望している。さて、経営者として、どうしようか。
ただ、迷いは、一才なかった。
歓迎する。一択だ。
それ以外の選択肢など、最初から僕たち双子は、持っていない。
仲間のチャレンジを応援する「複業制度」を導入します
決して、禁止をしていたわけではなく、ヘラルボニーには複業をしている社員もいる。とはいえ、特に理由があるわけで一切ないのだが、全社的にオープンには、あまりしてこなかった。
ヘラルボニーを創業して、僕たち双子がメンバーや社員に対して思っていることは「ありのまま」を大切にしてほしいということだ。
家族よりも大切な仕事はない、とよく話しているが、家族のいる社員には家族との時間を大切にしてもらいたいし、趣味のある社員には、とにかく何かに没頭する時間を大切にしてもらいたい。
自分自身との対話の中で出た「挑戦」というワードに抗ってほしくない。
何より、社会や、会社や、自分自身の変化を歓迎できる組織でありたいと思っている。そして福祉領域における変化の作り手となり、積極的に「変化の兆し」を発信していきたい、共にだ。
経営者として、甘いと言われるかもしれない。果たしてそうだろうか。僕たちは、自分達の掲げるビジョンである「異彩を、放て。」を社員皆が体現することに雇われている。そう思ったときに、社員やメンバーが自分の挑戦する心に忠実に、誰よりも異彩を放っていく選択を応援するべきだと思う。
人事責任者でもある伊藤良太の挑戦を応援することを決めたタイミングで、会社としても「複業」に関する就業規則を改めて定め、運用することにした。
会社に申請してもらえれば、「複業」をすることが可能だ。
業務時間外での複業だけでなく、週3でヘラルボニー、週2で複業といった働き方も選択することができる。
そうしたケースの場合に、ヘラルボニーにおける月の就業時間が規定の160時間を下回る場合は、勤務時間に応じた給与額とすることにした。
この複業に関する制度は、伊藤良太がプロ選手に復帰することを全社員に発表した会議のなかで同時に公開した。社員からの伊藤良太に対する温かい応援のメッセージがチャット欄に飛び交い、凄まじいスピードでフィードが流れていった。ヘラルボニーのカルチャーを、ものすごく誇らしく思った瞬間だった。(発表時のツイッターの引用リツイートで反応するメンバーにもご注目いただきたい)
今回リリースの通りですが、プロ選手として再出発します。しながわシティブースターの皆様、宜しくお願いします。昨年、新たな挑戦に背中を押して下さった皆様に心から感謝しています。チームを「勝利」に導く為に、そして1人でも多くの方が豊かに歩めるよう、全力を尽くします。宜しくお願いします! https://t.co/qY3DLJWm69
— 伊藤良太 (@ryo24ta723) June 14, 2023
ヘラルボニーには様々なバックグラウンドを持った社員が働いています。
「国籍」「人種」「民族」「宗教」「肌の色」「年齢」「性別」「性的指向」等々、ヘラルボニーはさまざまな多様性を尊重することを大切にします。だからこそ、伊藤良太選手に限らず、ぜひ、社員のなかで胸に秘めたチャレンジの想いがある人がいるならば、積極的に挑んでほしい。遠くに羽ばたいて欲しい、きっと仲間は応援してくれる、肯定してくれる、私たち双子も、その一人だ。
その経験を、ヘラルボニーにも還元してもらうことができれば、お互いにハッピーなことは、間違いない。
ちがいを認め合い、ありのままを受け入れる社会の実現を目指して、まずは社員みんなが「ありのまま」に挑戦のできる環境を整えていく。
個の集まりをチームの強さに変えていくことが、ヘラルボニーらしさだ。
よりよい変化を歓迎する組織です。
それは、社会のことも、会社のことも。
異彩を、放て。
ヘラルボニーの社員たち。
異彩を、放て。
伊藤良太選手。
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2023年6月20日
ヘラルボニー代表取締役社長 松田崇弥
代表取締役副社長 松田文登