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椿

いつもの人混みを歩いていた

微かに君の香りがした気がしたから
振り返ってみたけどもうしない

もうここに君はいないのに

どこかで探してる僕がいたんだ
君を探してる僕がいたんだ

ねぇ 君が言ったことまだ覚えてる?


「椿の花は香りがないんだって」


その言葉を聞いた時僕は思ったんだ

君の香りはきっと椿の花の香り

君が椿 本当の花のように
綺麗に咲いて僕に香りの記憶を
残して枯れてゆく

淋しげな椿だったんだ

いつもの電車に乗っていた

近くで君の声がした気がしたから
振り返ってみたけど別の人だったよ

もうここに君はいないのに
どこかで探してる僕がいたんだ

君を探してる僕がいたんだ

ねぇ 君が言ったことまだ覚えてる?

「なぜ永遠の命はないの?」

その言葉を聞いた時僕は思ったんだ


君の命はきっと永遠に続くよ

君はずっと 僕を射止めた時のように
僕の心を永遠に離しはしない

綺麗な瞳で僕を泣かせた
その瞳がいつも
僕の心を離しはしない

追いかけても追いかけても

君は僕の手をすり抜けて
目の前から薄れて消えた

君の存在は儚すぎて
呆気なく過去になってしまった


君の香りはきっと椿の花の香り

君が椿 本当の花のように
綺麗に咲いて僕に香りの記憶を
残して枯れてゆく

淋しげな椿だったんだ

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