教えて貰えること、出来ること

小さい頃から、絵を描くことが大嫌いだった。
みんなみんな、私の絵に寄って集っては笑うの。

態々悪口を言う為に見に来る人だって沢山いた。

でもこの人生で1回、調子のいい日があって、みんなから絵を褒めて貰えた日もあった。
本当に1回、その日その時間だけ。

相変わらず私の絵は汚くて、描く事が大嫌いだった。
描けたらどんなに楽しいか、誇らしいかと思うが、どうしても上手に描けなかった。

ある日、絵の上手なお姉さんに出会った。

お姉さんは「絵はコツさえ掴めば誰でも描けるよ。教えてあげる」って。

私は無謀にも、実写化する程有名な、魔法の絨毯に乗った某プリンスとプリンセスを選んだ。
「私にもこれが描けますか?」と。

お姉さんは自信満々に「描けるよ!」


いざ教えて貰って解った。
絵の上手な人は、何も考えずスイスイ描いてる訳じゃなくて、
バランスや顔や身体のパーツをじっくりじっくり見ながら描いてる。
私は何度も描いては消し、手を止めてはまた動かし、
沢山時間をかけて、大好きなキャラクターの大好きなシーンを描いた。

沢山描き直したせいで紙は真っ黒。
とても綺麗と言える絵では無かったと思う。
だけどいままでお姉さん達はみんな「上手!素敵!」と、褒めてくれた。

絵と一緒に撮影された写真の私は、恥ずかしいような嬉しいような顔をしていた。

きっとあのお姉さんに会わなかったら、ずっと知らないままだった。
お姉さんは「もっと教えたい!もっと上手になれる!」っても言ってくれた。

いつか私にもかけるかな……綺麗な絵本。

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