頭上で光る神の啓示
私は4人男兄弟の次男である。
ごく平凡な両親の元に生まれたのだが、その両親が結婚に至った経緯がなんとも面白かったので書いてみる。
父も母も山口県生まれだが、当時父と母は萩市というところに居を構えていた。
父は国家公務員なので転勤はしょっちゅう。母は地元で銀行員をしていた。
母は理由は知らないが当時英会話教室に通っており、父は転勤で萩市に来たばかりだったので、友達作りのために同じ英会話教室に入会したそうだ。
父は母親を見つけるや否や、母に一目惚れでもしたのかご飯等々に誘うようになった。
母は当時5年ほど付き合っていた遠方の彼氏がおり、その彼と結婚も意識していたので、父とは友達くらいにしか考えていなかった。
母は父と一緒にパスタを食べに行った時、父のあまりにも汚い食べ方を見て、
「この人と結婚する人は大変だろうな」
と思ったそうだ。
おそらく何回かぐらいしかまだ遊んでない時、父は広島に異動することになった。
そこで父は
「俺と一緒に広島に来てくれないか?」
と母に言った。まるで告白とプロポーズを同時にしているようなものだ。
母は当然断るつもりでいたのだが、その瞬間頭上でピカーーーーーーーーっ!と何かが光り、
この人についていきなさい
という強烈な啓示を受けたそうだ。
ちなみに、母はなんの信仰心もなかったのだけれど、自分でも訳が分からず、広島についていくと答えて"しまった"そうだ。
だから、訳もわからないまま、付き合っていた遠方の彼に電話して泣きながら別れ話をし、父と広島に引っ越して籍を入れた。
顕在意識的には意味が分からない。なぜこの人と結婚する事になってるのかが謎で仕方がなかったそうだ。
だから、結婚当初はお互いのことを全然知らないまま結婚したから、喧嘩が絶えなかったとのこと。
しかし、40年経った今では父のことをブーブー言いながらも、とても平和で楽しそうな母の姿がある。
父は今でも母のことが大好きで、母が虫などで少しでも悲鳴を上げれば駆けつけてくる。
とはいえ、兄弟4人はいろいろあった。
病気等もあったし、まあいろいろ。
親も大変だっただろう。
それでもなんだかんだで仲良くやってる。
あの時、頭上でピカーーーーーーーーと光って、神の啓示があったからといって、何も困難がないわけではなかった。
むしろ、両親にとっては困難続きだったかもしれない。
けど、そこで親なりに努力をしたわけだ。
私は思うのだ。
私の両親は分かりやすいカタチで神の啓示を受けたが、基本どこのカップルもただ知らないだけで神の啓示を受けている。
この何十億人もいる地球上で、結婚しないまま生涯を終える人も増えている中、目の前の相手と結婚した。
母は特に霊能力等はないし、感性が鋭いわけではない。
むしろ鈍感な方だと思うが、信心深くはあるかな。
それは母が素直だったからだろう。素直じゃなかったら、訳もわからない啓示に従わない。
だから、本当はみんな神の啓示がある。
「この人と結婚したい!」
という気持ちも立派な啓示である。
だから、そうやって啓示を受けて結婚した相手とは必ず学びがある。
その学びは良いことばかりではなく、学びなんだから苦しいこともたくさんある。
しかし、我慢とは違う。我慢ではない。
それでも自分を幸せにしようとする勇気。
それでも自分を表現していく覚悟。
たとえ別れることになっても。