【ヒットの公式】「売れたテーマだから売れる!」の落とし穴:失敗体験から学んだことその2
短期集中連載でお届けしている『ヒットの公式』、第3回をお届けします。今回も失敗エピソードから、「売れているテーマだから売れる!」の落とし穴についてお話しますね。
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編集脳アカデミーの藤岡信代です。
電子書籍出版サポートとコンテンツビジネスのコンサルティングを行っています。
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第1回、第2回を見逃したという方は、こちらをご覧ください。
■鉄板企画?「クッキーの本」
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この書籍の話をするのも、正直つらいです。
なぜなら、「とても良くできた!」と自分では思っていて、いま振り返っても大好きな本だからです。それでも、思ったようには売れなかった。
4~5万部はいくと思っていたのに、確か2刷りで終わったような気がします。いまでも悔やまれる企画です。
この企画は、
「売れているテーマだから、売れるとは限らない」
を教えてくれました。
まずは、どんなふうに企画が生まれ、制作していったかをお話しますね。
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■売れているテーマに乗れ!は正解だけど……
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この企画が立ち上がった当時、ブログ発の焼き菓子の本が大ヒット、快進撃をしていました。同じような企画も次々と発売され、「これは乗らないという選択はないでしょう!」という感じだったのですね。
類書が出ても、まだまだ売れそうな感触がありました。
いまでも変わっていないと思いますが、出版業界には、「2匹目、3匹目のどじょうは、恥ずかしいことではない」という考え方があります。
1つのヒットが生まれたら、そのテーマはしばらく売れ続ける。
その波に乗って、より良い商品を出していく。
というのは、編集者の普通の思考回路なんです。
(あ、もちろん、すぐれた編集者は二番煎じの企画をつくらないです。編集者全体の名誉のために付け加えておきます)。
焼き菓子と言えば、永遠の定番「クッキー」。
私自身、初めて自分で焼いたお菓子はクッキーでしたから、自然に力が入り、レシピの候補をピックアップしたり、構成を考えたり、が楽しくて仕方がありませんでした。
売れているヒット作があるので、それを参考に、表紙の写真も可愛くできたと思います。
編集者として、「売れる要素」はすべて押さえたつもりでした。
でも……。
出版してみたら、初速が重い。
売れてはいるけれども、狙った動きではない。
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■読者の「欲しい!」はどこにある?
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何がいけないの?
「売れたテーマ」で、「売れた本」を参考に作ったじゃない?
答えは、当時の上司の出版部長が教えてくれました。
「この本、フォーチュンクッキーから始まってたら良かったわね。
うちの娘に聞いたら、フォーチュンクッキーを作ってみたい、と言っていたわよ」
頭をハンマーで殴られたような気がしました。
私には、フォーチュンクッキーのレシピから始める、という発想は1ミリもなかったからです。
私は無意識のうちに、この本を欲しい!と思う人をイメージすることを忘れ、「売れるテーマ」だから、という固定観念のもと、定番の「バタークッキー」のレシピから始めてしまったのです。
バタークッキーを作りたいと思っている人がいる!
と確信しているわけでもないのに……。
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■「欲しい!」がすべてのスタート
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「売れているテーマ」の落とし穴は、無意識のうちに、思考停止に陥ること。
今ではそう考えています。
そもそも、その商品を「欲しい!」と思う人はどんな人?
なぜ欲しいの?
という基本をあらためて考えることをしないで、「売れている」先行商品の表面だけをなぞって作ってしまう。
私の失敗は、そこにあったと思っています。
もし、フォーチュンクッキーのレシピから始めよう!と思いついていたら……。
本を見ながら目を輝かせてクッキーを作っている、女子中学生の顔が思い浮かびます。
この、「欲しい!と言ってくれる人の顔が浮かぶ」ことが、『ヒットの公式』には必要なのです。
【しつもん】
「売れている」の先にある
お客様の顔が浮かんでいますか?
さて、
・必要だから売れるとは限らない
・売れているテーマだから売れるとは限らない
2つの失敗談をお話してきました。
メルマガ読者の方から、「私も同じ発想でした!でも、どう改善したらいいのか、わかりません…」というお声もいただいたので、続いては、ヒットにつながった成功体験を書こうと思います。
『ヒットの公式』に気づかせてくれた、30万部超売れた料理本のエピソードです。