【ヒットの公式】「必要だから売れる!」の落とし穴:失敗体験から学んだこと
突然に始まりました(笑)短期集中連載、本日は、第2回です。前回の最後に、「売れる」か「売れない」かを分ける最大のポイントは、「必要だから売れる」という発想と書きました。今回は、それを思い知った失敗談をお話しますね。
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編集脳アカデミーの藤岡信代です。
電子書籍出版サポートとコンテンツビジネスのコンサルティングを行っています。
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第1回を見逃したという方は、こちらをご覧ください。
■確かに必要だけど……。食育のための本
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これは、今でも切ない気持ちになる書籍の企画です。
そのときの自分のエネルギー、持てるスキルを全部使って作ったのに、思ったような売上げにならなかったからです。
スタッフも最高だったと思います。
でも、自分が想いを込めたかどうか、は関係ないんですね。大事なことは、お客様が「欲しい!」と思うことだから。
では、なぜこの企画が残念な結果に終わったか、お話しますね。
この本は、当時、ブームになり始めた「食育」をテーマに、親子でクッキングを楽しむためのレシピ本として企画されました。実は上司の肝いりの企画で、私はその担当として指名されたのです(緊張ものの企画でした)。
対象の読者は、
・幼稚園児とそのママ
コンセプトや特徴は、
・子どもが料理をつくるためのレシピ集
・漢字にはすべてルビをふる
・包丁の持ち方などの基本も教える
というものでした。
企画をもらって、さっそくイメージを始めました。
「子どもが最初に作りたい料理って、何だろう?」
「写真はどんな雰囲気にしようか?」
「見やすくて、読みやすい文章は、どうすればいいだろう?」
すでに販売されている類書も集め、研究もしました。
お料理に興味を持ち始めた子どもに、その好奇心を育てたいママに、伝えたいことは、たくさんありました。
親子クッキングに必要な情報は、たくさんあったんです。
でも、私は最後まで、「売れる」という確信を持つことができませんでした……。
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■親子の姿をイメージできていた?
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なぜなら、その本を買いに来る親子の姿が、どうしてもイメージできなかったから。この本を、子どもとママが一緒に読んでいる姿すら、想像できませんでした。
ママに知っておいて欲しい情報はたくさんある。
その情報を、ママが「欲しい!」と思うには?
いま思えば、その答えを、出していなかったのです。
どんなに「必要な情報」でも、それをエネルギーとスキルを尽くしてカタチにしても、「欲しい!」という感情を引き出すには、足りないことがある。
必要だから売れる、とは限らない。
必要でも、売れないものはある。
それを思い知った痛い、痛い体験でした。
【しつもん】
「必要だから」という言葉で
思考が止まっていませんか?
次回にお届けする失敗体験は、
「売れているテーマだから、売れる」という落とし穴にはまった話です。
ううう、なんだか自分で書いていても、つらい。
黒歴史です……。