「世の中にない!」は、「売れないかも?」と知っておこう
『痛い失敗体験から学んだ 愛される書籍の成功の秘訣(仮)』、今回は、企画のときの失敗談をお話しようと思います。
雑誌の企画に限らず、「商品づくり」に共通するヒントです。
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編集脳アカデミーの藤岡信代です。
電子書籍出版サポートとコンテンツビジネスのコンサルティングを行っています。
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■新しい情報は、人をワクワクさせる
これは“編集者あるある”だと思うのですが、仕事が少しわかってきた3年めくらいから、「これはまだない、新しいものかも?」「これはヒットにつながるかも?」という欲が出てきます。
取材をしていると、新しい情報がどんどん入ってきますし、たいていは今まで知らなかったことなので、ハッとする気づきが起こります。そして、
「知らなかった!」「これを必要としている人はたくさんいる!」
と思ってしまうのですね。
私自身、新しい視点や知識で「ハッ!」とする瞬間が大好きです。
その気づきが、人生を豊かにしてくれ、新しい道に導いてくれると思っています。
だからつい、読者にも同じようなワクワク感を届けたい、と思ってしまうんですね(これは今も変わりません。笑)。
これは新しい情報だ! 世の中にまだないものだ!
そう勢いこんで、「まだ世の中にないと思うんで、ぜひ記事にしたいです!」と企画会議に提案したとき、先輩編集者から思いがけない言葉をかけられました。
「世の中にまだない理由を考えてみた?」
■世の中にまだない理由は?
自分としては「世の中にまだない、新しい情報」と思っていても、よくよく考えてみると、3つの状況があります。
①本当は存在するのに勘違いしている
いちばん多い理由はこれです(笑)。
「まだない」と勘違いしていて、すでに存在している。私の新人時代は、まだインターネットが普及していなかったので、これ、やりがちでした。
いまはそれなりに時間をかければ、ネットを使って調査ができると思いますが、「世の中にまだない!」と思い込んでしまうと、気づかないこともあります。
②本当にまだ誰も気づいていない
これは「こうあって欲しい」状況ではありますが、実際には、ほとんどないと言ってよいと思います。インターネット以前でも書籍があるおかげで、人類の体験やそこから得られた気づきは共有されてきました。インターネット後は、その量は天文学的になっています。
③存在したが消えてしまった
まだないのではなく、以前はあったけれども、ニーズがなくて消えてしまったという状況です。これが、先輩編集者の問いかけの答えでした。
「世の中にまだない」という理由は、大部分がこれだろうと思います。
新しい情報には、消えてしまうものと残るものがあって、残るものは「ある」と認識できますが、消えてしまうものは「ない」と認識されるんですね。
私が長く携わった雑誌編集は、商業出版です。
つまり、雑誌という商品をつくって売り出すわけですから、必要とされるニーズのあるものを作らないとビジネスになりません。
「今までにないものをつくって、ヒットさせたい!」
そう思うなら、「ニーズはあるの?」が重要な鍵になるのです。
「いま存在しているもの」のほうが、ニーズがある可能性が高いということです。
■ヒット企画を考えるためのヒント
血気盛んな(?)20代の編集者にとって、「世の中にないものは、売れない」と言われるのは、かなりテンションが下がることでした。
けれども、これは決して「もう新しいものは生み出せない」という意味ではないんです。
新しい情報がもたらすワクワク感は、やっぱり人間が求めているもの。
「新しさ」をどこにつくるか?
という視点が大事だったんです。
これを、編集部ではよく「切り口を変える」と言っていました。
「切り口」を変えることで、情報に新しさを加えることができるのです。
そして、この「切り口」が、新しい「ハッ」とする気づきを与えることができたら……、
大ヒットにつながりやすいのです!
切り口を変えると言っても、ピンとこないかもしれないので、考え方のヒントを書いてみますね。
世の中ではこう言われているが、実はこういう方法もある
今まではこう見られてきたが、今は、こう捉えることもできる
常識ではこれが正しいとされているが、別の方法もある
こんな感じです。
ちょっとしたモデルケースが、自分の体験にあることを思い出したので、次回は、そのお話を書きたいと思います。
いまでも電子書籍で売れている、私の編著書の「切り口」の話です。
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