「羊は必要」ですか?
海外のクライアントと仕事をしてたり、いわゆる”外資系”に務める女友達が何人かいる。同世代で長く付き合いがあるのは2人。
Aは、高校時代からの数少ない”連れ”。洋画が大好きで、誘われては映画館で過ごした。我々の高校は地元志向が高く、東京に進学・就職する人はまれ。しかも大学が同じ…仲が続かないわけがない。中堅の映像関連会社で、長く海外との折衝を任されている。
Bは、大学時代で同じ学部にいた子だ。一見強面だけど、クラスの落ちこぼれだった私になぜか良くしてくれ、よく助けてもらった。就職浪人、離婚騒動、あらゆる”泣き”に付き合ってもらったと思う。超有名外資系でマーケティングをやっている。
2人とも同じ会社に10数年~20年近く在籍し、Aは役員、Bもアジア拠点や本社に駐在経験があり、多分、部門のトップぐらいにはなるんだろう。
飲んでいても「自分がエラい」自慢をされたことはないし、基本は話が面白くいい彼女たち。ただ1点気になる共通点?がある。
「きヴィしぃ」のだ。
Aはかつて、業務が多過ぎるので部下をつけていた。20代前半、30歳前後、年上──そのいずれもが、1~2年で退職している。A曰く、「仕事ができない。ミスが怖いので、隣に付けて逐一教えていた」そうだが…。
一方のB。「なんかさぁ、うちのクソ編集長、契約にあたれないからってあたしへのあたりが強くて。もー絶対パワハラだって」と弱音を吐いてた私に(このパワハラ云々については、いつか書く)、冷静にこう言った。
「組織だもん、羊は必要だよね」
羊=スケープゴート、ですよね…?(冷汗)。曰く、「上が部署をまとめるには、誰か犠牲者が必要。特に気が強い a(私)みたいなのは、ちょっときつくあたっても鬱にならなそうだし職務放棄もしないだろうから適任。それを見て他の人は、『かわいそうに。あぁはならないようにしよう』とか、まとまるんだよ。だから組織運営としては正しいやり方」。
Aは就職氷河期から最初は全く違う職種に就いたが、一念発起し海外留学。今や英語、フランス語を駆使し、様々な交渉を成功させるまでになった。交渉の最前線にいるので、スマートフォンを2台持ち、メールには即対応。英文書類”指差し確認”できちんと読む場面を、何度も見ている。
Bは昔から若干シニカル&カッコいいブリティッシュ音楽女子。海外遊学後、マーケティングのプロとして転職を繰り返していた。自分より年上で長く在籍してきた先輩や転職してきたばかりの部下、海外の駐在者まで、”段ボール1箱で即fire”される人たちのつらつら話は、飲みの定番だ。
そんな彼女たちからすると、周りにいる人や私は、「甘い」のだ。
「論理立ててプレゼン」し上司を納得させる。また競合のなかから好条件で「勝たなければいけない」。英語圏での仕事の厳しさが、20余年をかけて、彼女たちを変容させたのか。
よく言えば”成長”、なんだろうけど。でもさ。弱い私は思うのよ
羊、必要ですか?
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