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「まんが編集の会」を始めてます。

一つ前のエントリーで書きましたが、noteのサークル機能を使って「まんが編集の会」というサークルを始めました。

ありがたいことに、現在37名の方が参加してくださっています。そのうち現役編集者が22名、その他が編集志望の方達です。

今はまだ立ち上げたばかりなので、ゆるゆると始めたところです。最初は皆さんに入会時に書いてもらったアンケートの質問に僕が答えることからスタートしました。

今日はそのうちの一つだけ軽くこちらにも公開してみます。


最初に選んだ質問は、参加者の皆さんから一番希望の多かった

「漫画家さんの描きたいものを引き出したり掘り下げたりするにはどうすればいいのか。」  

その質問については、こんな感じでお答えしました。

──よく講演や講義で話すのですが、「何でもいいから描きたいものを描いてください」というのは、依頼された側にはとてつもなく難しいオーダーです。

 何かしら「表現したいものを持っているのが凄い漫画家」というイメージがあるのでしょうけど、いきなり「何でもいい」だけでは漫画家さんも困ってしまいます。「先生の好きなものを」とか上乗せしても同じことです。

 そもそも、漫画家さんによって、表現したいものが最初からあるタイプと最初はないタイプがいます。

僕も昔は「表現したいことがある、ない」だけで漫画家の能力を判断しちゃっていたのですが、それは漫画家として優れているかどうかとはあまり関係ないです。

 編集者は「凄い漫画家なら誰でも表現したいものを持っていていつでも出せるはず」という思い込みを捨てることから始める必要があります。

 そして、漫画家が何かを描こうと思う時、そこには無数の選択肢があって、その中から描く価値があるものを選び抜いていくのは大変なことなのです。たとえ1枚のイラストを描く時であってもです。    

以前noteでオススメした『選択の科学』という本に書かれているのですが、大雑把に引用すると「人はあまりにも沢山のことから選択することはできない。なので経験のある信頼できるパートナーに選択肢を削ってもらうと良いのだ」とありました。

この本を読んで、それこそが編集者の存在価値の一つだと思ったものです。 

 では一体どうやって選択肢を削っていけば良いのでしょうか。

 まず、何をもとに選択をしていくのか、という指針や共通認識が必要だと思っています。 ですから、最初に漫画家さんと話すのは「何を目指すのか」という話です。  

「何を目指すか」という話をするには、「今どこにいるのか」の話も必須になります。

今どんな状況にいて、どのくらいの期間でどんな位置にたどり着きたいのか。それを共有しないと話は始まりません。

 例えば、何の結果も出てない人がいきなりすぐに100万部を実現するなら、とてつもなく企画力やインパクトが高くないと無理だし、一か八かな挑戦になります。でも、2年後に10万部を狙える連載を始めようという目標だとだいぶやることが変わりますよね。 だからまず目標を共有します。

 その話の中で、まずどんなお客さんを喜ばせるのかも決めた方がいいです。どんなジャンル、媒体であれ、一番最初に食いついてくれた人たちを喜ばせられなかったら全然評判が広まりません。

最初に読んでくれる人たちはどんな人たちなのか。それも共有します。

 次に、僕の場合、まずはその漫画家さんの長所を決めて伝えます。そして、その長所をできるだけ沢山見ることができる設定をやってほしいとお願いをします。

 目標の共有、喜ばせる相手の共有、長所を伝える。

ここまでの間で、相手の漫画家さんにポジティブな感情を持たせることが出来ていたら、結構「描きたいもの」は出てきます。

その時に、もしこちらの理想と違っていても、まず案を出してくれたことに感謝し、とりあえず面白がることが大事です。 漫画家さんも同じ人間で、自分のアイディアを人に伝える時はとても緊張するからです。──


この質問の答えは、まだあと2/3あります。

こんな感じで質問の答えを書きながら、段々と参加者の皆さんの希望も反映して、交流などやることを増やしていきたいと思っています。

よろしかったらお気軽にご参加ください。いつでもお待ちしてます。

サークル「まんが編集の会」についての詳しいことはこちらをどうぞ。

ではでは、お待ちしてます!

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鈴木重毅@しーげる
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