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ワソマソ

 最初は壁当てだった。グローブとボールがあったから、テレビ中継、そしてパワプロクンポケット10で得た知識をもとに見様見真似で投げ始めた。ボールは壁と地面にそれぞれ1バウンド計2バウンドを経てグローブの中へ戻ってくる。大したことではないがただ楽しかった。
 とまるでプロ野球選手のサクセスストーリーかのように書き始めたが、ここで言う”壁当て”とはYouTubeのことである。8年ほど前、趣味としてなんとなくYouTubeに動画を投稿し始めた。誰かに見てもらうという目的ではなく、完成したプラモデルの置き場に困って新しい棚を買った程度の話である。それから今に至るまでYouTubeは続いている。有難いことに動画を見てくれる方もほんの少しではあるが増えてきた。気がつけばひとりぼっちの壁当てではなくなっていたのだ。始めた頃、まさかここまで続くとは思っていなかった。

 2024年8月12日月曜日。自身初となるワンマンライブが開催された。
未だ「アーティスト」「シンガーソングライター」と自称する時は「馬鹿野郎、調子に乗るな」とむず痒い気持ちになる。ラジオ、ライブなどでそういう風に自己紹介するのは「お前はアーティストなんだぞ!」と半ば自己暗示のようなものだと感じていた。
 でもこの日は違った。私はシンガーソングライターのちたへんりーである!と自己暗示でも虚勢でもなく当たり前のこととして自然とそう思えた。この日はちたへんりーを応援してくれている、曲を聴いてくれている方々を実際に生で目の前にした。その存在は思っていた以上に大きく広く感じた。上手い言葉は見つからないが大きく広く感じたのである。私はアーティストである!と胸を張れたのは、そんなたくさんの方に囲まれ、正しく主役としてライブさせてもらえた事で調子に乗っただけの可能性もある。ただ、そう感じられたことは自分自身にとってとても大きな大切な経験である。この日初めて本当の意味で”壁当て”ではなくなった、そんな気がするのだ。

 投げ方を工夫しなければ。フォームもよりプロっぽく、基礎体力もまだまだである。だって今ぼくがしているのはただの壁当てではないのだから。ボールをキャッチしてくれる人がいて、打ち返してくる人もいる。そんな風に考えると自信が湧いてくるし、楽しくなってくる。この調子なら甲子園だって目指せるさ、、、!!!

ということでなんとか無事初ワンマンは終幕。
一部始終を見守り応援してくださったみなさん。
そして一緒にあの日を作り上げて頂いた全ての方々に感謝です。
ありがとうございました!


これからも皆さんと楽しく野球できたら嬉しい。


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